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FreeDom  作者: ユユキ
仮想世界
58/138

「蛇」 6


4車線道路に肉が散乱している。人気はもうない。そして、その渦中にいるのはティアだ。

 優「ここまできたらもはやネタだな。回数的な方で」

 ヨナ「今回は大規模にいくらしいぞ」

と、後ろからヨナが声を掛けてきた。

 優「こっちとしては一緒だけどな」

 ヨナ「ついでに、ここで『蛇』全員を殺さないと木以外消滅するらしい。ああ、月羽はもう違うから除外な」

 優「なんとかできないのか?創世者」

 アルル「装置壊されたし、そもそも飾りだからね」

 優「どこまでいってもそれだな、この世界は。まあ、当然といえば当然だが。母ちゃんならどうよ?」

 月羽「今も昔も、私は姉さんの背中を眺めるだけよ」

 優「せめて追ってくれ」

 ヨナ「はは、息子に突っ込まれたな」

 月羽「情けないことは自覚しているわ」

 優「ならいいんじゃないか。じゃ、そろそろ相手してやるか」

 アルル「がんばってね」

 ヨナ「俺は複雑なところだが、任せることにするかな」

 月羽「私は、正直やる気ない」

 優「えー、まとめると、俺一人かよ」

 アルル「行ってこーい」

 優「やばくなったら助けろよ」

銃を錬成し、ティナに歩み寄る。

 ティナ「妹じゃなくて姉だ」

 優「ああ、そうなんだ」

ティナは一瞬で間合いを詰め、刀で銃を持っている方の腕を切り落とす。

 優「うぉ、銃全然駄目だな」

霊子体なので腕はすぐに再生する。が、維持力はそれなりに減った。維持力とは文字どおり維持する力。そして何を維持するのかというと、存在だ。粒子だけでは何もない状態。結合させ、維持して形となる。そういう感じだ。再生にしか使わないが、再生すれば減る。ゲームで言うならHPみたいなもの。それがなくなれば霊子体といえどお陀仏だ。個人差は殆どない。耐久度は致命傷十発前後といったところか。ちなみに、今の攻撃は0.5ぐらいだ。

追撃で片足を斬られる。中途半端ではなく、すっぱり。切れ味は抜群なようだ。

後ろを確認してみる。暗に助けを求めたのだが、望み薄そうだ。

 優「おいおい、ギャグで死にたくねぇぞ」

手榴弾を錬成し至近距離で爆破。威力は5人は軽く粉微塵にできる程だ。ちなみに、この攻撃は1。質ではなく、悪まで回数だ。

俺もティナも粒子状態となり、別の場所で再生する。どういう仕組かというと、維持力の塊の状態で足を使って移動しているだけだ。透明人間みたいなものか。

よって、ぴったりくっつこうと思えば余裕だ。残念ながら、相手の方が速い。

が、なんとか離れてくれたようだ。とりあえず、一端仕切り直しだ。

が、そこで毎度おなじみ次元の穴が2つ開く。

 蘇芳「よう、おいしいところ取りにきたぞ。俺じゃないけどな」

 優「じゃあそっちの飛鳥の方か。何気に一年ぶりだな」 

 飛鳥「そうですね。あなたが薄情なのはわかりました」

目が紅くなっている以外は普通だ。雰囲気は明らかに変わっているが。

 蘇芳「もはやおまえより強いんだぜ。見せてやれよ、大好きな優君に」

 飛鳥「言葉には気をつけてください。私が力をくれたからといって恩を感じるように見えますか?」

 蘇芳「それは大丈夫だ。俺も恩を売る気はない。後は好きにすればいいさ。できたらだけどな」

 飛鳥「そこは自己責任だから恨みませんよ」

 蘇芳「そこまで精神が出来上がっているならそれでいい。俺は長生きしたいから高みの見物といこう。そういうことで、俺は除外だ。まあ、どうしてもというなら相手してもいいけどな」

 優「俺は遠慮しとく」

 蘇芳「おまえには期待しているんだ。しっかり頼むぜ、主人公」

と、言い残して蘇芳は次元の穴へと消えていった。

 優「スケットってことでいいのか?」

 飛鳥「いえ、引っ込んでいてください」

 優「霊子体だから被弾も大丈夫だろ」

 飛鳥「私の仕事です」

 優「そうか、そこまで言うなら見せてもらうか」

飛鳥は剣を錬成し、さらに背中から天使の翼を出現させる。が、その翼は本来のものではなく半透明というか実態がないというか。例の薄緑のやつだ。まるでポリゴンで描かれているようで、生物的な躍動感は感じられない。

 ティア「ふむ、弟よりは楽しめそう」

 優「その設定、押すんだな」

と、言っている内に飛鳥はすでに攻撃を始めていた。

格ゲーの如く途切れのない剣による斬撃。

一度別の場所に再生しても、飛鳥は食らいついていく。

時間は一分も経っていないだろう。ティアは文字通り為す術もなく消滅した。

 蘇芳「対霊子体を意識してみた。現実の方でも主流になるからな。いやー、さすが俺。ばっちりだな」

 優「帰れよ」

 蘇芳「説明しに来てやったんだろ。まあ、9割おちょくりにだけどな」

 優「だろうな」

今度こそ蘇芳は帰って行った、はずだ。いや、高みの見物だからいるのか。今回は手を出す気がないようなので、そこはそっとしておくことにしよう。

 ヨナ「じゃあ次は俺だな」

 飛鳥「私はその人には手を出しません」

 優「ああ、そういう基準か。ならいっそ、親子対決にでもするか」

その時、ヨナの近くで次元の穴が開く。そしてヨナが吹き飛んだ。

ヨナは次元の穴から距離を取り、再生する。

 ヨナ「危ないな。一応仲間だろ?」

 凪「思ってもいないことを言わなくてもいいわよ」

 ヨナ「相変わらずぶっ飛んでんな。昔から」

 凪「相変わらず普通ね。昔から。二人共。虫唾が走るわ」

 ヨナ「えらい言われようだな」

 月羽「そうね。そろそろ私も決めるわ」

 ヨナ「さすが、げっちゃん。というか、普通に凪とは違う生き方だよな。凪は結婚しないだろうし。人を殺してもいなければ、憎んでもいないんだろ?」

 月羽「そんなにいいものでもないけどね」

 ヨナ「おいおい、そこで優にもその部分が遺伝したとか言いたかったのに」

 月羽「事実だからね。でも、今は誇れると思う」

 ヨナ「言い切らないな。まあ、その方がおまえらしい。そして、そんなところが好きだ」

 月羽「ありがとう」

 凪「確かに、身の丈ではあるわね」

凪が戦闘に移る。

結果は先と同じだ。

 凪「敢えて否定しないとしても足りないのよ。それだけではね」

 蘇芳「結局、聖痕は使わずじまいか。せっかく用意したのに。ちなみに、天使の力が使えるという効果だったんだがな」

 優「ああ、手刀で人殺してたもんな」

ちなみに、先も凪がそれで暴れていた。

 蘇芳「現実では天使はいないからな。いや、今創ったんだった。それでもここ限定だけどな」

 優「いわゆるボツネタか」

 蘇芳「ま、成功するのが目的じゃないからな。そういう時もあるさ」

と、また律儀に次元の穴へと戻って行く。

 優「もうずっと居ればいいのにな」

 アルル「そうだね」

 優「そういえば、おまえ天使だから最終的には一緒に消えるってオチか?」

 アルル「知らなーい」

 蘇芳「天使ではなくなるが、消えることはない。中々融通が利くだろう?」

 アルル「おう、それはよかった」

 優「珍しく本当に融通が利いてるな。そして、もう突っ込まん」

 蘇芳「じゃあ俺は懲りずに戻るか」

 優「本当、懲りないな」

 リオ「この世界の命運が懸かっているのに呑気なものだな」

向こう側からリオがやって来る。

 優「カシやんファミリーもちゃっかり死んだか。確かに、これで最終決戦ってことになるのか」

 アルル「仕方ない。私もいこう」

 優「いけるのか?」

 アルル「知らなーい」

 優「マジでか」

 リオ「とりあえず、おまえらはどいてろ」

 凪「あらあら、そういう展開?」

 リオ「いっちょまえに感化されたようでな」

 凪「まったく、どいつもこいつも。それで、そっちの二人はどうするの?」

 蘇芳「やめとけ、やめとけ。現実世界までは俺が囲ってやるからよ」

 優「結局、やられっぱなしか」

 蘇芳「ここで死んだらな。で、そっちはどうする?一応、あいつも対象だろ?」

 飛鳥「やめておきます」

 蘇芳「おまえも立派にこっち側ということか。よかったな同じ舞台に立てて」

 飛鳥「……」

 蘇芳「ちなみに、システムは対象として処理するだろうな。ここでは効果が薄いし、まだ馴染んでいないのもある」

 飛鳥「わかっています。今となってはあなたよりね」

 

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