試練 6
帰る方法は確かに簡単だった。ただキューブの前に立っただけだ。僕も東側に移れば、溢れる方ということか。
と、いうことで西側キューブ付近。さすがに出迎えではないだろうが、さっそく那綱と会うことができた。
那綱「おう、兄様」
那綱が嬉しそうに飛びついて来る。素直にこちらも嬉しい。
連「他のみんなは?」
那綱「適当に集まっていた奴は結局散り散り。飛鳥以外はそこのビルにいる。その飛鳥は蘇芳とどっかに行きやがった。こんちくしょう」
連「そうか。それは仕方ないね」
那綱「わかってたのか?」
連「那綱と戯れている時以外は若干上の空だったからね」
那綱「マジか」
連「こればかりは仕方ない。さっそく案内頼むよ」
那綱「よしきた」
が、その必要はなかった。近場のビル一階部分の壁が壊されフード付きのローブを着た人が出て来た。一目でわかる。僕が使っていた妄執だ。続いて神楽と周が現れる。と、いうことは残りのランファがローブの正体ということになる。
神楽「根性出せや」
周「いや、霊子体だがそろそろやばいだろ。そもそも俺達戦闘要員じゃないし」
神楽「そろそろちゃんと生きるようぜ、お互い」
周「まあ、とりあえずあの二人に任せることをお勧めするけどな」
神楽「帰っとたんかい。じゃあ、任せた」
周「案外あっさりだな。せめて一緒にとかじゃないのか?」
神楽「違うな。そうだろ、れっちゃん」
ちなみに、初めてそう呼ばれたがここはスルーしよう。
連「そうだね。期待には応えるつもりだ」
那綱「さすが、兄様」
神楽「だとさ」
周「まあ、やる気もアテもない俺としては邪魔する理由も邪険にする理由もないな」
神楽「素直じゃないな」
周「自覚はしてるよ」
連「とりあえず、ここは一人で行くよ」
那綱「む、仕方ない」
と、一歩踏み出すとデジャブの如く、勢い良くランファが抱きついてきた。
那綱「どういうこと」
連「まあ、こういうことみたいだね」
周「ったく、とんだ噛ませ犬だったな」
神楽「愛だよ、愛、愛」
周「それ余計噛ませ犬感出るわ」




