「蛇」 4
街というか区画。例の組織以外の人間は大抵ここに集まっている。街並みは現代、ビルとコンクリートだ。そこから少し離れたビルの屋上。今回は拒絶されたのではなく、門番ということらしい。
ビルのすぐ下の道路ではルリベラとルカが闘い合っているというか、じゃれあっているというか。まあ、素直に仲がいいと思う。割りとこういう素直さ、というのは久しぶりかもしれない。
優「しかしあれか?掃除屋の続き的なことか?」
カシヤス「いや、アニメを守るらしい」
優「なるほど。逆にわかりやすい」
カシヤス「そっちはどうだ?」
優「ボコボコだよ」
カシヤス「そうか。まあ、どの道感もあるけどな。生身じゃないし」
優「身も蓋もないな。俺の言いそうな台詞ベスト5ぐらいには入りそうだが、実際言われると面白味がなさ過ぎる。俺は面白い人間の方が好きだな」
アルル「そこでエタが味を付けたわけだね」
優「エタの依頼か。あれってそういうオチ?」
アルル「そう。最後に私が出て来てネタばらしする予定だったんだけど」
優「それは残念だったな。まあ、最悪役には立ったよ」
アルル「一般人と触れ合って優男になったってこと?」
優「一括りにされるのは不愉快だな。敢えて言うならダブルだ。いわゆる多面性だな」
カシヤス「確かに、おまえがそれだともはや気持ち悪さを感じるからな」
優「さすが、わかってるじゃないか」
そこで勢い良く屋上の扉が開け放たれる。そこから現れたのは今までいなかったシャロンだ。
シャロン「来たぜ、来たぜ、カシやん」
カシヤス「そうか。割りとちょうどいいかもしれないな。華でも添えるとしよう」
優「なんだ?そういうオチか?それならいっそ、全員でやったら意外に勝てるんじゃないか?」
カシヤス「俺が言うのもなんだが、命は大切にな」
優「もはや二度オチどころじゃないな。おかげで一皮剥けたわ」
カシヤス「なら、もっと剥いてもらうとしよう」
優「そういえば、おまえ『蛇』だから生身なのか?」
カシヤス「いや、俺はここでだからな」
優「じゃあ最期に、俺の優男面が言いそうな台詞ベスト5を贈ろう。一応機械に話していたってことになるんだろうが、その前はもちろん事実を知った後も人間と思わなかったことはない。まあそれ以前に、俺も違うどころか結局同じになったんだったな。そうなると、この世界が残るというのも面白い話だ。そして面白い人間が好きということは、俺もそうあるべきということになる。自分を嫌う趣味はないからな。結論を言うとだ、俺も参加させてもらう」
カシヤス「かっこ良く決めたところ悪いが、じゃああっち頼む」
優「ああ、そういえば総出だったな」
カシヤス「残念ながら、死亡フラグらしい」
優「とはいえ、やられっぱなしもあれだろ」
カシヤス「そうだな。たまには本気出すか」
優「最初から出せとか言う奴もいるが、それができたら苦労しないよな。いろいろな意味で」
カシヤス「それ、このタイミングで言うことか?」
優「今回は優男の方だ」
カシヤス「ふむ、貴重な機会ということか?」
優「そういうことだ。結果がどうあれな」




