試練 5
東側の街並みはヨーロッパ風というかファンタジー風というか、ビルなどは一切なく二、三階建ての建物が綺麗に並んでいる。道路も石畳だ。
そんな街並みにある学校の屋上。ちなみに、学校などの公共施設は例外に入りここは5階建てだ。まあ、何事にも例外はあるということで。おかげで見晴らしはかなりいい。
春「木にほとんどの人口が集まったわけだけど、この世界に実体化されたのは3割程度。それでも溢れる人はいるけどね。西側に行ったほとんどの人はそれね。ちなみに、あなたが出会った3人は違うけど」
連「いまいち違いがわからないんだけど」
春「あなたもまだまだね。社会には役割があるでしょう?必要悪も含めてね。ちなみに、個人的には必要悪の方は必要ないと思うけどね。何がどう必要なのか説明してほしいぐらいだわ。この東側にもあからさまなものはないけど、やっぱりなくならないものね。拒絶も立派な悪意。その被害者が先の3人ね。それはさておき、人口は放っておけば増え続ける。その社会の役割を超える程にね。例えば、一つの工場にそこまで人はいらないでしょう?簡単に言うと、やることなくなる人が出てくるわけね。最近は食べる、寝る以外にもいろいろ娯楽、芸術が出ているようだけど、それでも駄目そうね。国とか街とかで細分化したところで臭いものに蓋。まあ、当然だけど。このままだと確実に自滅するわけだけど、どうする?」
連「終わりというより、むしろこれからだよ。やっとそういう動物的なものから解放されたんだ。これでどんどん新しいものが創れる。例えば、今では常識になっているその娯楽や芸術だけ見ても十分動物離れしている。皮肉屋や動物愛護家は動物でも少しはできると言うかもしれないけど、言うまでもなく格が違う。それにまだ未開発の場所はあるし、もういっそ宇宙に行ってもいいかもしれない。こう言うとまた皮肉屋が喰い潰している、とかわけのわからないことを言うかもしれないけど、人間は共生も選べる。それでも死んでしまったならそれは仕方ない。少し酷だけど、ついていけない方が悪いからね。環境破壊とか言わずに、動物や植物、果てはこの星にも頑張ってもらわないと。そういう一面も人間だ。皮肉にせず、もはや誇るべきだ。と、母さんが言ってたよ」
春「ああ、そういうオチね。そういえば、意志がどうたらとか言ってたっけ」
連「後付けがましいけど、僕も納得したからね」
春「私には前半部分のようなことしか言わなかった気がするけど」
連「シオンに釘を刺されている、と言っていたよ」
春「なるほど。存外、過保護ね。話を戻すけど、具体的にどうする?」
連「線引が妥当だと思う。とにかく居場所を創らないと」
春「そうね、味気ないけど同感。実際、東側は理想郷になった。すべてを西側に吐き出して。世知辛い話ね、本当に」
屋上から校庭を見下ろすと、楽しそうに部活動中だ。ちなみに、僕の放課後は那綱と適当に街で時間を潰してから頃合いを見て家に帰るというものだ。じゃあ、おまえもやれば、と言われればはっきり言ってそれは無理だ。だから妬むつもりもないが、時間を持て余すぐらいに肩身は狭い。
連「結局、自分の為になるのかな」
春「まあ、人間らしくていいんじゃない?エレクレインにもそうなるよう言われたんでしょ?」
連「なぜそれを」
春「それは今更な突っ込みね」




