試練 4
私は教会に残り、春と連は外へと出かけて行った。ユイは手に持ったままだ。これからも春の手に渡ることはないだろう。
長椅子の一列目に座っていると正面に次元の穴が開く。そこから現れたのは凪だ。ちなみに、私は元『蛇』なので全ての事情を知っている。つまり、私も元は生身ということだ。
凪「あーあ、とんだ体たらくね」
凪はユイに視線を移す。
凪「結局、ウロボロスでピークだったようね」
シオン「今は休業中です」
凪「一生寝てなさい」
凪は掌サイズの珠を投げ渡す。『転嫁』だ。
凪「これで華でも添えることね」
シオン「一面性と多面性どちらかといえば、多面性です。どちらがつまらないかと言えば、言うまでもないですね。まあ、今一般人よりなのは認めますが。あなたは結局何を求めるのですか?」
凪「何も。未来も快楽もね。欲求としては見たい、ね。有り体な理由を付けるとしたら、この程度で壊れるなら、ってやつね。結果がどうあれ死ぬ気はないけど」
シオン「死に急いでいるようにしか見えませんが」
凪「そんな風なこと言って、誰もしなかったわけね。私は絶対に全人類殺すわ」
シオン「そうですか。もう勝手にしてください。それもまた一面なのでしょう」
凪「それはそれは、認めてもらえてなにより。じゃ、そろそろ帰るかな」
シオン「仮にその後はどうする気ですか?」
凪「あら、聞いてなかったの?敢えて答えるなら、その時考えるわ」




