試練 3
目が覚めるとそこは教会の長椅子の上だった。大きさは標準的だ。大聖堂という程大きいわけではない。
春「一応説明しておくと、強制的に東側へ吸いだされてここにいる。ここは私とシオンちゃんの家みたいな所かな」
と、一列目に座っていた春が言う。ちなみに、僕はすぐ後ろの二列目で寝ていたようだ。
そして教壇からシオンが生えてきた。どうやら地下があるようだ。
春「結局戻したのね」
シオンの手には銃に戻ったユイが握られている。
シオン「心外ですね。桜が勝手に戻しただけです」
春「そうなるとあの子なりの気遣いだろうけど、正直かなり持ち運びに苦労したわ」
ユイ『釘は刺したのだけど、また無理したみたいね』
シオン「くだらない話ですね。考えることを放棄して手頃な模倣を実行した結果です」
春「相変わらず手厳しいね。そういえば、前はゴテゴテしていたのにシンプルになったね」
シオン「ぶっちゃけ、あれはただの飾りです」
春「そうだったんだ。ちょっとびっくり」
シオン「結局、最初の汎用型に戻っただけです。これもくだらない話ですね」
シオンはシンプルになったらしい銃を入り口の方に向ける。デザインとしては近未来的でベースとしてはオートマチック(映画でよく出るあれ)でサイズは素人目で見ても一回り大きいことがわかる。そしてそこから放たれたのは銃弾ではなくレーザーだ。少し回転していたように見える。ちなみに、撃たれた扉には大きな穴が空いたが電脳粒子によりすぐ再生した。
シオン「進歩がないと言われるのは癪なので回転を加えましたが。これで貫通性能が上がり、壁一枚くらいは余裕でしょう」
春「なんか違うのが出た気がするけど。これじゃ元がわからないよ、シオンちゃん」
シオン「個人的には銃弾の方がいいのだけど、資源と効率を考えた文明の結果です。こことは違う世界の話なので気にしても無駄ですよ」
春「暗に関係ないということね。冷たいな」
シオン「そういうことはやることやってから言うことです」
春「手厳しい」
連「えっと、用事がないなら帰り方を教えてくれるとありがたいんだけど」
春「その点は問題ないわ。ただキューブの所に行くだけだから。その前にこの世界でも見て行く?そろそろお互いの立ち位置も決めないといけないし」
連「それは……そうですね」
シオン「歯切れが悪いですね」
春「まあまあ、シオンちゃん。あなたが先に行き過ぎなんだって」
シオン「 私にとってはそれが全てです」
春「まあ、身勝手なのは合わせろって言ってる方だからね」
シオン「共生を望むならせめて視界に入ることです」
春「共生を謳う者として肝に銘じておきます」




