回想:周
木の中東側バキューム付近。街並みはいたって普通のビルが立ち並ぶコンクリートジャングル。が、違った部分というか役割がある。
東側から弾かれる者はここに集まり、順に吸い出されていく。自主的に?といえば、その通りだ。
大抵集まるのは居場所がない者。諦め、新天地への希望。まあ、大半の者は諦めだろう。俺も例によってそのクチだ。
異論はない。むしろ、大歓迎だ。意地でもなんでもない。ただ事実として居場所がないのだから。
こうなると、もはや精神論以前の問題だ。そもそも存在しないのだから。
と、そんなことを思いながらバキューム前に突って立っていると向こうから人が来た。
俺より少し若い高校生ぐらいの少女。ここに送られて来る者には珍しく陰を感じない。
出る杭は打たれる。まあ、それほど珍しい話でもないか。
神楽「よう、お互い大変だな」
周「おまえはそう見えないけどな」
神楽「そんなことはないさ」
周「まあ、そうだろうな」
神楽「暗いな。だから見下されて不幸だとか言われるんだぞ」
周「おまえは違うのか?」
神楽「違うな」
周「俺もそれを言われるのは不愉快だが、幸せでもないだろ」
神楽「言い切るな。が、結局それ、普通ってことだろ?」
周「まあ、そうだな。結局、この世界がイカレているということだ。俺達じゃなくてな」
神楽「どこで間違えたのかねぇ」
周「さあな」
神楽「特に難しいことじゃないと思うんだが。むしろ今の方がややこしいな」
周「正直終わりだろ。収集がつく気がしない」
神楽「共倒れする気か?」
周「それは、冗談じゃないな」
神楽「そうなると、必然的におざなりには出来ないだろ」
周「達観してるな。残念ながら俺は割り切れない」
神楽「割り切る必要はない。そもそも、そこで押し付けたら同類だ。だから創るのさ、私達の世界を」
周「そうか。まあ、邪魔はしない」
神楽「さて、行くか」
周「一緒にやろうってことか?先も言った通り、できる気がしないからな。他を当たってくれ」
神楽「こんなに話したのも、あんなことを言ったのも初めてだ」
周「……」
神楽「今はそれで十分だろ?お互い」
周「あまり期待するなよ」
神楽「それは正直私にもだ」




