これから
所は変わり木の中。キューブ付近にあったその辺のビルの屋上。正直やることもないので、特に移動もすることなくここでダベっているというのが今の現状だ。カインに啖呵を切っておいて情けない、と自分でも思う今日この頃。
メンバーは変わらず僕こと連、那綱、飛鳥そしてランファだ。
ランファ「何にもないけど、これだけ何にも起きなかったのは初めてかな」
連「言いたいことはよくわかるよ」
那綱「あいつ等しつこいからな。せめて放っておけばいいものを」
飛鳥「結局、批難組に回んですね」
那綱「やっぱ無理だぜ、兄様」
連「正直、迷走はしているね」
ランファ「とりあえず私は居場所があればいいかな。何がなんでも気に食わないみたいだし」
連「線引か。……少し寂しいけど仕方ないか」
神楽「勝手に不幸にするな」
と、叫びながら地面を割って現れたのは同い年ぐらいの少女だ。それに続いて二十代前半ぐらいの男性が付き合わされている感満点で穴から出てきた。
神楽「盗み聞きがなんぼのもんじゃい」
ランファ「誰も咎めてないよ?」
神楽「声がなぜ響くか知っているか?伝える為だ。それは自分のテリトリーだけじゃない。その証拠に、こうして無駄に聞こえるだろ?人類皆兄弟。私は敢えて聞こう」
飛鳥「今聞いてほしいですけどね」
神楽「こんな私でも、とか言うが幸せになっていいに決まっているだろ。逆に駄目な理由がわからないぐらいだ」
那綱「これは同じ匂いがするぜ」
飛鳥「なっちゃん、自分で言っては駄目です」
ここで思わず吹き出してしまった。腹を抱える程(実際は抱えてないけど)。とはいえ、これほど笑えたのは久しぶりだ。初めてと言ってもいいだろう。ちなみに、その理由は次の話で。
那綱「ついに切羽詰まり過ぎて兄様が」
飛鳥「ここはすべてを吐き出させて、それから支えてあげましょう」
ランファ「私も新参者ながら頑張る」
連「とりあえず、大丈夫。ただの思い出し笑いだよ」
飛鳥「また母親絡みですか?」
那綱「シスコンでマザコンだと」
ランファ「おー」
連「まあ、否定はしないけど」
神楽「これは期待できそうじゃないか?周。ろくでもない人生にピリオドだ」
周「だといいけどな」
神楽「おまえはそればっかりだな。もはや口癖か」
周「じゃあ、おまえ以外の話相手ぐらいはできるかもな、という期待ぐらいは持っておこう」
神楽「希望があるのはいいことだ、それはお互い嫌というほどわかっていることだろ?」
周「そうだな、嫌というほどな」




