掃き溜め
所は変わり木の中。つまり異世界ということになる。リアルファンタジーがベースらしいが(その辺の話はエタに聞いた。ちなみに、次元印やこの世界に導いたのもエタだ)その面影はなく世界観は現実世界と大差ない。ちなみに、必殺技なども発動できたりしない。が、一般人も含めて全員もれなく霊子体になった。とはいえ、それによる影響といえば食べ物を食べなくなり寿命で死ななくなったぐらいだ。それにより戦火が広がったということはない。むしろ現実より平和なぐらいだ。無論、それには理由があるし弊害がまったくないわけではないが。
この世界は西と東の大きな大陸2つで成り立っている。この2つの大陸はトンネルのような物で繋がれている。通称バキューム、悪まで見た目だけで役目は違うということだ。
東側は春とシオンが仕切っており、俗に言う平穏な世界らしい(実際に見たことはまだない)。これがこの世界が平和な理由の大部分を占めているのは確かだろう。
そしてここ西側はその掃き溜め。俗に言う社会不適合者がバキュームによってこの大陸へ送られる。犯罪者とかそういう類の者ではなく、浅い言い方になるが引き篭もりとかそういう類だ。おかげで現実のエデン外のように殺伐とした、ということはない。無気力、という言葉がしっくりとくるだろう。
西側バキューム前。つまり、排出先だ。この場にいるのは僕こと連、那綱そして飛鳥だ。ここに来た一年前からこの三人で行動している。
周りはビルで地面は道路。ごく一般的な近代の風景だ。それを管理する者はいないが、電脳粒子性なので劣化などはせず真新しいままだ。西側にはまとまった国や街、組織はなく皆ばらばらに暮らしている。その孤立感も相まっての無気力なのだろう。ほぼゴーストタウンと化している。ほぼ、というのは人が少なからずいる、それだけの話だ。
飛鳥「バキューム前なんて絶好の場所なのに誰もいませんね」
那綱「今更だな。ここに来て一年だぞ」
飛鳥「一年経ってもですよ。バーカバーカ」
那綱「上等だ」
連「仲が良くてなによりだ」
飛鳥「そんな呑気なことを言っている場合ではないですよ」
那綱「わかっとるわ」
連「くっ、墓穴を掘られた」
飛鳥「真面目な話、そろそろですね」
連「『蛇』か」
飛鳥「残念ながら時間は限られています。まあ、連に任せきりなのもあれですが」
那綱「いいや、兄様に任せろ」
飛鳥「プレッシャーかけますね」
那綱「この程度、余裕で乗り越えるさ」
連「そう、だね」
ちょうど歯切れが悪くなったところにバキュームから人が出てきた。
連「ベタベタにちょうど私と連と同い歳ぐらいの女の子ですね」
連「それがベタかは微妙だけどね」
さらに付け足すと、普通に学校に通っていそうなごくごく一般的な人だ。極端に暗い印象もない。どちらかというと逆の印象だ。
ランファ「あ、ランファです」
敢えてボロを探すなら、少し天然そうぐらいか。まさかその程度で弾かれたわけではないと思いたいところだ。と、狙ったようなタイミングでそれなりに大きな次元の穴が開く。まあ、明らかに狙ったと断言できる程には長い付き合いだ。
そこから現れたのはベラに乗ったリンネとルーテだ。リンネは不敵に笑いながら、飛んでいるベラから飛び降りる。
ルーテ「ねえ、私連れて来た意味あるの?」
リンネ「今からしゃべるところだろ、野暮な奴だ」
ルーテ「ああ、ないんだね。わかってたけど」
リンネ「よう、旧世代、いやクズ共」
飛鳥「さっきの会話の後だと締まらないですね」
那綱「はは、バーカバーカ」
リンネ「そんな奴にはドーン」
リンネがわざとらしく何かのスイッチを押す。
リンネ「ふん、分をわきまえろ。私は人類最強でおまえらはそれ以下だ」
さらに次元の穴(今回は人並みの大きさ)が開き中から蘇芳が現れる。
蘇芳「あー、これはもう限界だな。下地が出来ていたとはいえ、一年でこれか。早いな」
リンネ「じゃあもう帰れよ。邪魔だ邪魔」
蘇芳「たまにはかわいい娘の相手もしてやらないといけないんでね」
リンネ「なんだ、マジだったのか?」
蘇芳「俺にもロマンスぐらいあったということだ」
リンネ「本当かよ」
ルーテ「残念ながら」
蘇芳「残念とはおざなりだな。人間時代は幸せだっただろ?ルーテ」
リンネ「人間時代ね」
蘇芳「そう、俺は既におまえを超えている」
リンネ「ほう、それは興味深いな」
蘇芳「わーい逃げろ」
ルーテ「キャラ的に無理があると思うよー」
3人+一匹はそのまま柄に合わないノリでこの場を去って行った。
連「はぁ、きっとロクなことじゃないんだろうな」
飛鳥「そうですね。速攻性がない所ですでにロクでもないです」
ランファ「あのスイッチのことですか?」
連「しばらくは一緒に行動した方がいいかもしれないな。リンネの性格的に君が一番危ない」
ランファ「それは願ったり叶ったりです」




