醜悪祭 1
その後、シオンは春の所に行った。結局、凪と俺だけになったということか。
朝食、ダイニングにて。四人掛けの普通の四角いテーブルに俺と凪、飛鳥とアレンが着く。朝食は二人分。天使は素で霊子体(なので印はない)、俺も霊子体なのでそもそも食事は摂らなくていい。摂ること自体(ちゃんと消化もする。ちなみに、排泄はしない)は出来る。料理を作ったのは飛鳥だ。
優「おまえ何気に居付いてるな」
アレン「出番少なくてわかりづらいけどな」
飛鳥「やっぱり二人も食べないと締まらないですね」
優「資源の無駄使いとか言われるぞ」
凪「資源はみんなのものなら、自分の為に使ってもいいでしょ。むしろ、使うなという方が傲慢ね」
飛鳥「私の為にここは一つ」
優「そこまで拒絶するつもりはないが、ほどほどにな」
アレン「じゃ、パソしてくるわ」
優「おまえも好きだな」
アレン「好き過ぎてもう人と話さないぐらいだ」
優「それはそれで羨ましい限りだな」
アレンは食器も片付けず、そのまま定位置のパソコンに向う。
優「こういう場合、普通は怒るらしいがどうだ?」
飛鳥「私が好きでやったことだからいいですよ」
優「まあ、嫌なら作らなきゃいいしな」
凪「恩着せがましいってやつね。そういう言葉があるくらいだから、案外自覚してたりして」
優「結局、なんだかんだで割合的にはアレン派の方が多いからな。少なくとも今の時代は。さてと、そんな世間話はいいとして」
飛鳥「すごい世間話ですね」
優「これからまさかの普通に学校に行くわけだが、どうなんだ?いろいろ」
ちなみに、もうゼウスの暗示はないが学籍は残っているらしい。
凪「ぶっちゃけ暇だからね」
優「まあ、仕事とかもうないからな。しかも何気にやる必要もないし」
飛鳥「じゃあ、いいんじゃないですか」
凪「そうそう、ここで『一般人なんて』って言う器でもないでしょ?」
優「そう言われたら、器のデカさを見せておかないとな」
凪「それ以前に制服着て行く気満々な奴が、という話だけどね」
優「よし、行くか」
飛鳥「これで弁当も無駄にならずに済みました」
優「もうそのネタいいだろ」
飛鳥「ネタって言わないでください」
学校。今は文化祭の準備中らしくここしばらく授業はない。生徒達も自由に学校内を行き来している。今のところ抑止解放の影響はないようだ。悪まで今のところ。この世界にいる限り逃れることはできない。ちなみに、連と那綱はあっちに集中するらしく学校を退学した。
優「暇だな」
飛鳥「手伝いますか?」
優「そういう暇潰しは嫌いだ」
飛鳥「それ以前に、という気もしますが」
優「この狭苦しい世界、自由に生きたいんだよ俺は」
霞「どこの批判家だ、おまえは」
そう言って、霞が教室に入って来た。まあ、意表は突かれたが驚く程ではない。同じ学校の同学年ということだ。
優「本当、狭苦しいな」
飛鳥「ギャルゲーか」
優「とりあえず、おまえは落ち着け。ちなみに、後の3人は?」
霞「昔馴染みが華の高校生活最後で同じ学校の同じクラスになった、というところだ」
優「その後会わないやつだな」
飛鳥「いちいちケチつけなくていいですよ」
霞「それ以前に、おまえのお陰で今そうなっているけどな」
優「仕方ない。暇だから付き合ってやるか」
飛鳥「意地でも手伝わない気ですね」
優「一応、学校内の出来事だろ?クラスに縛られるのもつまらない」
飛鳥「いつも正論ですね」
優「そこはいろいろな事情で自論にしておこう」
飛鳥「自由の道も厳しいですね」
優「まったくだ」
霞のクラス。とりあえず、窓越しに教室の中を窺う。
3人共教室にいるようだ。
優「確かに、ギクシャクしてるな。しかし、葵とシャルまでそうなってるのはどういうことだ?一般人特有の何かか?」
飛鳥「同じ人間ですよ。と、いうことで私にもわかりません」
優「なるほど、そう考えると割合は悪いがちゃんと十人十色にはなってるな。で、身内の見解はどうだ?」
霞「そこは私も不思議なところだ」
優「じゃ、まずは懐柔しやすそうなヘイだな」
霞「それが妥当だろうな」
飛鳥「何か扱い雑ですね」




