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FreeDom  作者: ユユキ
仮想世界
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カシヤスファミリー 2


反神派本拠地。建築様式としてはビルだ。立地はエデンの近くの普通のビルが建ち並ぶ街の一画。ちなみに、反神派とは文字通りゼウスに反する組織。そうなると、おのずと反エデンの者達も集まってくる。そういう組織だ。正直、俺からして見ればただのやっかみだが、悪まで俺一個人の意見ということにしておこう。ビルに入るとすぐ開けたロビーがある。その辺のビルと造りは変わらないようだ。ただ、人気はまったくない。ロビー中央を陣取っている二人以外には。

 ルカ「何だ、結局こっちに来るのかよ」

 カシヤス「正直、リオに付き合っていたところもあるからな」

 ルカ「おまえが来たらあいつも来るだろ」

 ルリベラ「もう来てるわよ」

 ルカ「なんでだよ」

 シャロン「はは、おもしろーい」

俺の隣に次元の穴が開き、中からルリベラが現われる。相変わらず、コスプレばりのフリフリの服だ。ちなみに、オリジナルに拘るのがモットーらしい。

 カシヤス「『蛇』はもうやめたのか?」

 ルリベラ「やっぱカシやんいないとつまらないわ」

 カシヤス「今初めてそう呼ばれたけど、流す所なのか?ここは」

 ルリベラ「要はデレたということね。もちろん、ルカはカスのままだけど」

 ルカ「はっ、上等だ」

 シャロン「喧嘩じゃい」

 カシヤス「ま、ここはリオに感謝だな。フェイは融通が利かないからな」

 ルリベラ「さすがにあの子はおっかないからね。それはそれで面白そうだったけど。例えば、馬鹿みたいに来ていたルカを囮にするとか。もはや、『依存』で命令すれば一発だったわね」

 シャロン「くっそー、ぐぅの音も出ないぜ」

 ルカ「おまえは俺を馬鹿にしてるだろ」

 カシヤス「それで、どうゆう状況なんだ?」

 ルカ「抑止解放だかなんだかで拍車が掛かって、馬鹿みたいに俺とシャロン以外全員ゼウスを、いやエデンをだな、それを潰しに行った所だ」

 ルリベラ「それはそれは、下衆いことこの上ないわね。それはそうと、よく耐えたわね。誉めてあげましょうか」

 ルカ「言ってろ。とにかく、俺達は後始末しに行く。邪魔をするなら、ここの方がいいだろ?お互い」

 ルリベラ「どうかしらね。どうせカインはそっちにつくだろうし、ここは逆に私ものって全部私がしてしまうのもいいかもしれないわね。というか、もう決定だけど」

 ルカ「それで上回れば、俺の方が格上だな」

 ルリベラ「できればね」


エデン付近。反神派以外にも多数いるようだ。のっかり具合が半端ない。そういえば、こういう状況アニメでもあったな。まさかリアルで見るハメになるとは。本当にこうなるのかという驚きよりも、見事にこうなったという失望感の方が強い。正直、見るに耐えない。

 カシヤス「このまま殺すのもあれだと思うんだよな」

 ルリベラ「あらあら、そんなつまらない偽善どこで覚えたのかしら」

 カシヤス「そうだな、一つのゲームということでどうだ?」

 ルリベラ「それはいいわね。ルカには無理だろうし」

 ルカ「どちらかというと、おまえの方だけどな」

 ルリベラ「ああ、弱過ぎてね」

 ルカ「よし、さっそくやるか。後でそれ、言い訳にするなよ。まあ、それはそれで惨めで笑えるがな」

 ルリベラ「そうね。そんなあなたの姿が目に浮かぶわ」

 ルカ「言ってろ」

その時、上空から巨大な杭が降って来た。大きさは先から人だかりができているコンピュータと同じくらい。そして、そのコンピュータに突き刺さった。


エデン上空、もう少し詳しく言うと巨大コンピュータの真上。そこを飛んでいるのは中型の龍ベラ。そしてそこに乗るのは前とは別の人物、見た目二十代前半の女性、リンネだ。

 リンネ「まだ群れを為すことに執着しているのか。やはりあの時点で限界だったな。所詮は獣。新世界を創るには荷が重過ぎたようだ」

ベラは口を開き、コンピュータの方に向ける。そこから吐き出されるのは俗に言うブレスなどではなく、自分と一回り程度小さいだけのほぼ身の丈程はある杭だ。

 リンネ「幕引きだ、旧世代」


巨大コンピュータをたやすく壊し、地面に突き刺さった木で出来た杭は淡い緑色に発光している。異変はその直後に起こる。その周りにいた者達から順にどんどん電脳粒子化が始まっていった。現象としては、淡い緑色の雪が天に昇っていく、そんな感じだ。もう俺達の目の前に人はいない。

 カシヤス「どうやら例の木に取り込まれたみたいだな」

 ルリベラ「つまらない話ね」

 カシヤス「それは意外だな。どちらかというと『ざまぁみろ』かと思っていたが」

 ルリベラ「馬鹿ね、アニメ観れないでしょ」

 カシヤス「ああ、そんなんでいいんだ」

 シャロン「人間いい加減が一番ですよ、お父様」

 カシヤス「そうなのか?」

 ルカ「そうだよ」

 カシヤス「そうか、覚えておこう」


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