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FreeDom  作者: ユユキ
仮想世界
27/138

「狗」 1


ここは港町。貿易で発展しているらしく、規則正しくビルが建っている。しかしその奥は一変、東方街、文字通り東方風の建物が建ち並ぶ。その一帯が『狗』の本拠地にあたる。

ちなみに、今いるメンバーは私こと桜とシオン、ベンさんとソンファだ。

 桜「そろそろ『さん』付けネタいいか」

 シオン「そうですね。糞面倒です」

 ベン「今明らかに気のせいじゃないと確信したが、シオンの性格的なものが変わっている気がするのだが」

 桜「人格強制プログラムだってさ」

 ベン「聞いたこともないな。まあ、猟兵課業しかしてこなかったからな」

 ソンファ「こっち見んなジジィ」

 シオン「三下の話ですね」

 ソンファ「ジジィ」

 ベン「これが終われば仲間入りできるかもな」

 ソンファ「終わればか、考えてなかったな」

 桜「じゃ、さっさと終わらせるか」

ここで目の前の状況を説明しよう。空には数台の武装ヘリコプター。街のいたるところから装甲車が現われ、そこから武装した人間がわらわら降りてきている。つまり、今この街は絶賛『狗』に襲われ中だ。

 桜「やっぱ大ボスはそっち持ちか?」

 ベン「そうしてくれるとありがたいな」

 シオン「仕方ないですね、雑魚は私が持ちましょう」

 桜「お、珍しい」

 シオン「そうですか?私は比較的優しい方ですよ」

 桜「はは、そうだな」

シオンは堂々と街の方へと歩を進めて行く。

 ベン「東方街に入ると門番ぽいのが二人いると思うからそいつらを頼む。何なら3人で行ってもいいんだけどな」

 桜「その必要はない」

 ベン「そうか」

 ソンファ「じゃ、さっさと行くか」


東方街。東方風の高さが低い建物が密集している。どのくらいの密集具合かというと、脇道が殆ど存在しない程だ。もう狭苦しいので屋根の上に乗っている。屋根は平らで足場は良好、こちらの方が見晴らしはいい。というか、建物の高さがほとんど統一されているので遮蔽物がないくらいだ。そして対峙するのは十八歳前後の少女で双子のシャオとクー。ベンとソンファは先行して奥の一際大きいいかにも本拠地っぽい建物に向って行った。

 シャオ「ほな、始めっでー」

 クー「レッツらゴー」

ちなみに、レッツらゴーして来たのはシャオだ。

とりあえず、牽制に銃を撃つ。

シャオはそれを避けると、銃を持っている腕を取り、そのまま背負い投げに繋げた。

実戦でこんな芸当はさすがに意外だ、というのは言い訳か。成す術なく投げられている途中でクーが銃を撃つ。銃弾は見事急所に当たり、まず一回死んだ。

復活と同時に銃を撃つ。今は仰向け状態なので姿勢としてはむしろ撃ちやすい方だ。狙いは目の前のシャオ。

しかし、シャオは勘付き足で私の両腕を踏みつける。

自分で言うのもなんだが、これで終わる私ではない。銃を持っていない方の手に手榴弾を練成。

そのまま起爆させる。

威力は私の体を吹き飛ばす程。地面代わりの屋根は吹き飛び、二人共家屋の中に落ちた。

二回目の復活。幸い人はいなかったようだ。一応、気配でわかっていたが。

銃を構える。狙いは向かいの壁に激突したはずのシャオ。

が、シャオはもう体勢を整えるどころか、こちらに向かって来ていた。家屋の中には普通に物が置かれている。大きな動きは出来なそうだ。近接戦は免れない。

結果、敢え無く上空に投げ飛ばされた。

そして、家屋から出たところで再びクーの射撃。衝撃で死体は穴を飛び越え屋根の上に落ちる。

三回目の復活。すでに穴からシャオが出て来ている。

 桜「昔より弱くなったかな。少しランクが上がるとこの様か」

ちなみに、ユイにはいろいろと機能が付いており、まあ、パワーアップさせてもらっていた。その中でも電脳人の能力が使えるようになるのは大きい。電脳人は電脳粒子をフル活用できる。センサー機能や簡易防壁、果ては自己治癒まで。要は頼り過ぎていたということだ。『鉛姫』もユイありきということか。

 シオン「だらしないですね。三下相手に」

気付けば、市街の上空を飛んでいた武装ヘリコプターはいなくなっており、『狗』優勢だった戦闘情勢も傾いている。ちなみに、この街の自警団が対処している。こうなることはわかっていたようで傭兵などもいるようだ。別れてからそう時間は経っていない。多く見積もって30分程度だ。

次元の穴が開き、そこから蛇のような龍が勢い良く現われる。

その勢いで向う先はクー。

クーはさすがに驚いたらしく慌てて後ろにさがる。

着地先は穴の中。家屋の中だ。

龍がそれを追う。

家屋の中は狭い。龍との近接戦は免れないだろう。

 シャオ「ちょっ、クー」

シャオが穴に駆け寄る。仲のいい姉妹だ。 

私はそんなシャオの背中を躊躇いなく撃つ。

銃弾は急所に命中。シャオはそのまま穴の中へ。

次元の穴が消えている。破壊音もしない。クーの方も終わったようだ。

 シオン「こっちもだらしないですね。30分程度でオーバーヒートなんて」

 桜「はは、すごい差だな。これは私もそろそろ潮時だな」

 シオン「そうですか。結局、つまらないオチだった、ということですか」

 桜「私はそもそも噛ませ犬だからな。そういうことで、ぜひ春の方を手伝ってほしいんだが」

 シオン「無理ですね」

 桜「そうか、残念だ」


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