リアルファンタジー第一章 3
ユニット戦後。目の前では痴話喧嘩が始まっている。
優「斬新な光景だな」
アリア「いわゆる生か死かというやつですね、わかります」
優「強い奴にしたらそもそも生かす理由がないからな」
アリア「羽虫を潰すようにですね、わかります」
優「わかるのかよ。ま、たまには虫も愛でてやらないとな。フェイ辺りは容赦なさそうだな」
アリア「外は大変だね」
優「まったくだ。じゃ、帰るか」
アリア「まだ駄目」
優「何かアイテムでもくれるのか?」
アリア「もっと大切なあれさ」
優「まさかの愛と友情か?」
アリア「そう、それ。勇者に仲間は付き物だよ」
優「まあ確かに、この世界でのコミュニティーはないのか」
ちなみに、揉めている内容は葵の棄権。独断だったようだ。このゲームにチャットはないので、あの状況じゃそもそも話せないだろうが。しかし、この4人にはそんなことより重要な話があるはずだ。
優「よう、シャルと霞は葵のことが好きらしいな。ヘイは……もう何か頑張れ」
霞「は?何言ってんだ?頭大丈夫か?」
シャル「好きです」
霞「抜け駆けかい」
葵「よろしくお願いします」
霞「両想いかい」
優「ゲームは負けてなんぼ。そういうものだし、そうじゃないとつまらない。またやればいいじゃないか、ということでもう憂いはないな」
シャル「お疲れ様でした」
葵「えっと、お疲れ様でした」
霞「いや、もう棄権のことはいいけど、憂いありまくりだろ」
優「帰るか」
アリア「おつかれー。私は一人寂しくあの城で待ってるよ」
優「それは大変だな」
アリア「まあ、出れるようになれば、常に一人じゃなくなるけどね」
優「すっごい極端だな」
アリア「そうだね。その時はよろしく」
優「アレンじゃないのか?」
アリア「おまえだ」
優「俺か」
割と重要なことを言われた気もするが、そのままログアウト。それに便乗する形で葵とシャルも続いてログアウトする。
ヘイ「頑張るか」
霞「うるさい、黙れ」
アリア「大変ですね。リアルの世界、頑張ってください」
霞「……」
ヘイ「……」




