理想郷 爆誕 1
電脳人の住む街。大陸の西側に位置し大きさはこの大陸の六分の一程度(この世界の大陸は一つなので世界の六分の一と言ってもいいだろう)、ここにほぼすべての電脳人が住んでいる。周りは壁で隔離されており、付近は森に覆われている。コンクリート、正確には電脳ジャングルなこのご時勢、砂漠にすら自然を感じるこの時代にこれだけの自然も珍しい。環境保護は全く関係なく、その辺りは残留者(宇宙にでずにこの星に残った者)との微妙な関係が理由だろう。完全に拒絶されることなく微妙なのは、電脳人がこの星に帰還して三百年の月日が経過してさすがに、というところか。むしろ今では、今の最先端の殆ど(特に電脳技術)を教わる程には仲良しになっている。ここまできたら、もう差別とかしなくてもいいだろ。と、思うぐらいだ。
ここには守護者がいる。風龍。ちなみに、ドラゴンの方だ。名前は風助らしい。大きさは5メートル前後。イメージよりは小ぶりだが、十分な大きさだ。
優「ファンタジーだな」
凪「天使の時点でね」
優「あ、本当だ」
少し離れた所で風助と睨み合っていたが、リオが一歩踏み出しそのまま進んで行く。
リオ「飽きたからもう抜けるわ。あー、ぱっとしない。萌えポイントマイナス1000万ね」
優「なるほど、もの凄く失望したってことだな」
リオのすぐ傍で次元の穴が開き、その中から月羽と蘇芳が現われる。
蘇芳「なんだ、師匠は戻らないのか」
桜「シオンはずっと私と一緒だ」
シオン「そういうことです、弟子」
蘇芳「師匠と組めばもっとすごいことができるんだがな」
シオン「気持ち悪いからやめてください」
蘇芳「昔ならノリノリだったのに、ぞっこんだな。貶すつもりはないが、俺には縁はないだろうな」
シオン「そうですね」
蘇芳「じゃ、俺は俺の道を行くとするかな。って、もう風助消えてる」
ちなみに、先の会話中に行なわれた戦闘過程はこうだ。
月羽が『止まれ』と言うと風助はピクリとも動かなくなった。おそらく『依存』の力だろう。
そして月羽は上向きに居合い斬りを放つ。狙いは首。刃は全くもって届いていなかったが、風助の首は見事に切断された。その後風助は淡い緑色の光に包まれ消えていった。どうやら霊子体だったようだ。
月羽「ただの霊子体やろ。つまらん男やのー」
蘇芳「決め付けはよくないな。何でも一応試しておくものだ。機械じゃあるまいし、人間無駄に生きないと逆に損だろ」
リオは風助が消えた後に落とした掌サイズの珠を拾い上げる。
リオ「次ぎ、『転嫁』ね」
桜「おう、それならユイを返すついでに私が貰っておこう」
リオ「じゃ、帰る」
月羽「はいよ」
月羽は次元の穴を開く。
リオ「まあ、精々頑張りなさい。私はそっち方面は諦めるわ」




