掃除屋稼業 1
エデン拠点。二階建ての一軒家。そのリビングにて。
リオ「はい、今日は久しぶりの掃除屋らしい依頼よ。嬉しいだろ」
桜「いやっほー、最高」
優「頭ぶつけたか?」
ユイ『ただの戦闘狂よ』
今リビングにいるのは掃除屋『フリーダム』のフルメンバー。優、リオ、桜、ユイ、シオン、カシヤス、凪だ。珍しく、全員手持ち無沙汰だ。
リオ「さらに珍しく、無駄話なしで行きましょうか」
と、いうことらしい。ちなみに今回はエデンの外の話。
どこにでもある現代風の街。エデンと遜色はないだろう。当然、皆が皆戦闘狂ではないのでこういう場所も外にはある。むしろ、武器が無制限とはいえ無法地帯の方が数は少ない。エデンより治安は良くないが、十分人間社会を営んでいると言っていいだろう。外=狂人、というよりは外=エデンに入れなかった者(さすがのエデンにも許容量がある)の方がしっくりくるのかもしれない。
ビル屋上。街並みは普通のビジネス街と言ったところか。
リオ「今回は『狗』五人ね」
優「ベンさんとソンファがいた所か」
リオ「正直、『狗』は主要五人だけね。ちなみに、今回の五人は全然違うけど」
優「じゃあ、直でいいんじゃないか?」
リオ「何事も油断は禁物よ。一応ね、一応」
優「一応なんだ」
シオン「纏めると、味見兼保険ということですね」
優「逃げるなら放っておけばいいと思うけどな」
リオ「掃除屋だからね。まあ、むかつくだけだけど」
優「ああ、そうなんだ」
シオン「では、そろそろいきましょう」
桜「もう私一人で十分だな。うん、うん」
リオ「それを言うなら、シオン特製のシールドで十分ね」
桜「フリーダム、私は自由だ」
ユイ『やめておきなさい』
リオ「そうそう、楽しみはとっておくものよ。ここであっさり死なれたらつまらないでしょ」
桜「よし、納得した」
凪「私達台詞ないね」
カシヤス「無理やり入るとギャグ要員になるぞ」
凪「うわ、危なっ」
リオ「先に言った手前ではないけど、フルセットの六枚張りにしましょう。全部破れたら誉めてあげないとね」
桜「そうしたら、もういいだろ?」
リオ「そうね。ご褒美は早い方がいいし」
優「えげつない会話だな」
リオ「ただの事実よ。じゃ、そういう手筈でいこう」
向かいの建物から例の五人が現われる。メンバーは二十代前半、リオと同じくらいの女性、イサラ。十五歳前後、桜とシオンと同じくらいの少女、リリエラ。三十代前半、カシヤスと同じくらいの男性ガズ。イサラと同じくらいの男性、篝。同じく女性のサルサ。
向かいだけあって高低差なしの距離は道路一つ分。シオンはキューブから掌サイズの小型衛星を練成する。それを六枚の球体で護る。キューブ製のシオン秘密道具だ。六枚なのは一人一つの人数分。大きさも対象に合わせることが出来る。衛星は今六重の球体に護られている。さらにシオンはキューブからノートパソコンを練成すると、衛星に追跡対象を入力する。もちろん例の五人だ。衛星はそのまま下って行き、例の五人の上空5メートル程度で制止する。衛星は対象の遺伝子情報を読み取る。完了までは一分。これに成功すると相手がどこにいようと見失うことはない。遺伝子情報を書き換えたり、(電脳粒子の関係上)宇宙にでも出れば話は別だが。後者の場合、逆に電脳粒子があればどこまでも追跡できる。そして、この星に電脳粒子が存在しな場所はない。
リリエラ「おー、誰か仕掛けてきたね」
衛星の有効範囲は100メートル、移動することも出来ないので逃げようと思えば逃げることはできる。
サルサ「破壊しましょう。そうしましょう」
答えはリオの予想通りのようだ。
結果もリオの予想通り、二枚破られただけだ。と、いうことでシグナル(遺伝子情報)を読み取ることに成功した。居場所はさすがにわかっていただろうが、襲われることはなく例の五人はさっさと立ち去って行った。そしてその夜。
優「勝手に野宿していいのか?」
ちなみに、ずっと同じビルの屋上だ。
リオ「私達は自由だからね」
桜「フリーダム」
シオン「私は床で寝るのはお断りです。しかたがないので夜更かしですね」
と、言いつつノリノリでノートパソコンを開く。ちなみに、動力源はバッテリーではなく電脳回路。いわゆる永久機関だ。ノートパソコンに内臓できるくらい小型化されている。
凪「私は優と添い寝ね」
カシヤス「俺は普通でいいか」
優「ここにいる時点で普通じゃないけどな」
凪「やっぱり、一言多いよね」
優「まあな」




