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FreeDom  作者: ユユキ
仮想世界
17/138

エタの依頼2連3/12 4


翌日。ゼウスの記憶操作によりあそこは空き家となった。少しオーバーだが、二人共戻る場所がなくなったことになる。ちなみに、荷物は引越し用キューブの中だ。外での日用品。部屋単位で中の物を収容できる。だいたいワンフロアだからこれに瞬時に収容し、そのまま拠点を撤退という感じだ。これも六面で、一面に一部屋となっている。

そして今は那綱、飛鳥と通学中。

 飛鳥「アイス買って行きましょうか」

 優「朝から冗談きついな、それ」

 那綱「はっ、仕方ない。貰ってやるよ」

 優「仕方ない。たまには意に沿わないことをするのもいいだろ」

 飛鳥「なんだかんだでいい人ですよね」

 優「お人好しか、それもいいかもしれないな」


と、いうことで那綱と外のベンチで待つことになった。

 那綱「さっさと諦めろ。親殺しじゃどうにもならねぇよ」

 優「いや、まだまだいけるだろ」

 那綱「どこにだよ」

 優「生きていればどこへでもな」

 那綱「臭い台詞だな」

 優「いや、物理的な話だ。逆に死んだら何もできないわけだ、物理的にな。本音はどうなんだ?」

 那綱「……このまま死んだら惨め過ぎるだろ」

 優「決まりだな。まあ、俺がうまくやるよ」

 那綱「勝手にやる分には許してやるよ」

 優「じゃあ、そうさせてもらおう」

飛鳥がアイスを3本持って出て来た。

 飛鳥「話が纏まったみたいでなによりです」

 優「これでハッピーエンドだな、俺が」

 飛鳥「そうなんですね」

 優「いやー、最近すごいのばっか出てくるからな。このままじゃ置いてけぼりくらいそうだし、それ以前に殺されそうだ。ここは冗談抜きで本気ださないとな。ああ、どっちも生かす必要があるらしいから、俺がそういうオチにすることはない。安心していいぞ」

 那綱「誰も心配してねぇよ」

 飛鳥「お人好しですからね」

 優「話噛み合ってないぞ」

 飛鳥「いいんですよ、こういう時は」

 優「へー、そうなんだ」

 飛鳥「うわー、馬鹿にした言い方」

 優「残念ながら声音通りだ」

 飛鳥「ひどい」

 優「でもまあ、今の感じならいいかもしれないな。定型文は勘弁だけど」

 飛鳥「その話、押しますね」

 優「突っ込みとしては、ギャルゲーか、だからな。そう考えると、頑張ってほしくもなる」

 飛鳥「あー、以外と的を射ているかもしれませんね。頑張ります」


校門から校舎への道。その左側には運動場がある。そのど真ん中に佇むのは黒コート。フードを深く被っていて顔を見ることはできない。あれがエース様。まあ、蓮だけど。ちなみに、余裕で遅刻だ。今は授業中だが、校舎には野次馬が溢れている。公認のイベントということか。こうなったら、邪魔は万が一にも入らないだろう。校舎側からは。

 優「見せしめか。悪趣味だな、蓮」

蓮は文字通り問答無用でこちらに向って来る。話し合いが無理とは、残念なことだ。と、思っていたらすぐ横で黒い穴が開いた。いわゆる次元の穴というやつ。縁には電脳粒子っぽいやつ(淡い緑色だから)で派手な装飾が円に沿って描かれている。蓮は構わずこちらに向かって来る。こういう時は様子を見た方がいいんだが。言っているそばから蓮はフェイに組み伏せられる。次元の穴からの特攻。正直ほとんど見えなかった。とりあえず、あの穴はワープの類だったようだ。おあつらえ向きに校門からヨナがやって来る。ちなみに、俺達はまだ運動場に降りていない。

 ヨナ「サプライズ」

 優「もはやうぜー」

フェイは文字通り問答無用で蓮のコートを無理やり脱がすと、俺の隣の穴からさっさと帰って行った。

 ヨナ「あ、あいつ閉じやがった。まあいいか、ティナの土産でも買うかな」

そういうことらしく、ヨナもさっさとこの場を去る。

 優「やったな、那綱」

 那綱「いや、ひど過ぎるだろ」

 優「まあ、結果オーライにしておこう。実際そうだしな」

 飛鳥「そうですね」

 那綱「……」


向かいのマンション。実は二階建てで明と蘇芳以外は住んでいない。つまり一室以外すべて空き部屋。その空き部屋、明と飛鳥の隣の部屋、そのリビング。面子は俺と飛鳥、那綱と蓮だ。

 飛鳥「終わりましたね」

 優「そうだな。後はゼウスが事後処理して終了だ」

 那綱「ああ、兄様が私を殺して終わりだ」

 優「もうこの流れならいいだろ。な、蓮」

 蓮「そうだね」

那綱は勢い良く顔を上げる。

 蓮「一緒に生きよう」

那綱は泣きながら兄の元に飛びついて行った。

 飛鳥「萌えポイント1000」

 優「もうそれに関しては突っ込まん」


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