エタの依頼2連3/12 2
昼休み後の授業中。
飛鳥「この学校の七不思議の一つ、エース様ですね。七不思議と言っても、エース様は実際に存在します。私も何度か見かけました。そしてこの紙が投票紙で、票数が一定数集まると下駄箱の方にある掲示板に書き出され、可か不可か通達されます。こういう形以外にも、自主的にやったりもしているみたいですね」
優「黙認なのは今までの流れでだいたいわかるが、こういうことはよくあるのか?」
飛鳥「こういう内容は今回が初めてだと思います」
優「これはエース様こと蓮も分岐点だな」
内容は那綱をなんとかしてほしいというものだ。
那綱「もう道は決まっている。兄様はこれで完全なるエース様になるわけだ」
優「それじゃ蓮が悲しむぞ」
那綱「それでいい。私を殺した罪悪感でもう後には退けないからな。そして、私は兄様の心の中で一生生き続けるわけだ。これぞ私の愛。拒むわけないよね、兄様」
優「悪趣味な女だな」
那綱「おまえには関係ないだろ。シャシャリ出てくんな」
優「残念ながら結構関係あるんだよ」
ヨナ「ちなみに、俺もな」
予期せぬ声が聞こえたので窓の方に目を遣ると、壁に垂直に張り付いているヨナがいた。おそらく重力制御だろう。『蛇』の造ったデータチップはだいたい蘇芳に貰ったが、重力制御関連の物はない。やっぱり蘇芳に出し惜しみされたようだ。
優「カシやんがたまたまじゃないって突っ込んでたぞ」
ヨナ「俺なりのサプライズだ。驚いただろ」
優「今驚いてるよ。じゃ、本題に入るか」
ヨナ「蓮君が『妄執』持ってるからさ、それくれって話だ」
優「なんか集め始めてるみたいだな」
ヨナ「とりあえず、かわいいティナの為ということで。嬉しいだろ?」
優「ああ、面倒臭いからそれで」
ヨナ「なに、平和的にいこうという話だ。解決したらいらないだろうから、こっちに流してくれればいい」
優「一応、那綱のルートでいけば必要なんだけどな」
ヨナ「そうなったら仕方ない、というやつだ。俺はティナ一筋だからな」
優「そう言ってるぞ、那綱」
那綱「知るか、ボケ」
ヨナ「おー、怖いな世間知らずは。フェイは怖いぞ、マジで」
優「おまえじゃないのかよ。まあ、俺とは利害一致だな。那綱に死なれたら困るし」
ヨナ「それは安心だ。脅しじゃないが、取れなきゃ本当にフェイが来るぞ」
優「それは大変そうだ」
飛鳥「私が言える立場ではないですが、さすがに先生が哀しい目でこちらを見てますよ」
優「俺は自由だ」
突っ込みがてら、若干本気で飛鳥に殴られた。調子に乗り過ぎたようだ。




