カシヤスファミリー
ルリベラ「全然来んし。暇つぶしにでも行くか」
そう言ったのは全身フリフリコーディネートのカシヤスの妻、ルリベラ。周りはお花畑で、今いるのは全部ピンクに塗装された家の三角屋根の上だ。見た目は二十代前半の女性。天使だ。
ルカ「その必要はない」
そこにやって来たのはカシヤスとルリベラの息子、ルカ。見た目は十八歳前後。ちなみに、こちらは普通の格好だ。羽織っているコートの背中に『反神派』のシンボルが描かれている。『反神派』、神とその使いの天使からの解放を目的とする組織。つまり天使であるルリベラはルカの敵ということになる。そしてもう一人、ルカと同い歳くらいの少女、シャロン。こちらのコートにも同じシンボルが描かれている。ルカはシャロンを置いて、ルリベラの元へ先行する。
ルカ「俺が相手してやるよ」
ルリベラ「まあ、その辺の奴よりマシかもしれへんな」
ルリベラは屋根から飛び降り、ルカにゆっくりと近づく。
ルリベラ「悪まで、私の息子というレッテルがあってやけどな。『止まれ』」
そう言われた瞬間、ルカの動きは強制的に止められる。
ルリベラ「やっぱ動けんか。血を分けてやっても所詮奴隷は奴隷やな。『死んどけ』人間」
意志に関係なく、拳銃がルカの手に精製される。そして銃口はルカのこめかみに向う。
リオ「ナイスタイミングだったわね、カシやん」
カシヤス「さすがにアニメ観ていて息子死にました、はきついからな」
カシヤスはルカの後頭部を軽く殴る。脳が刺激され、ルカの自由が戻っていく。
ルカ「はっ、感謝くらいはしておいてやるよ」
カシヤス「もう退け。『依存』に引っかかる時点で終わりなのはよくわかってるだろ?」
ルカ「……ちっ」
ルカは素直にその言葉に従い、踵を返す。
ルカ「覚えてろよ」
カシヤス「その捨て台詞はどうかと思うぞ」
ルリベラ「三下丸出しやな」
ルカ「……」
ルカはシャロンを連れてこの場を後にする。
ルリベラ「しかし老けたな」
カシヤス「あれから十年だからな。そっちはいろんな意味で変わってないみたいだな」
ルリベラ「いや、そうでもない」
そこでタイミング良く、一人の天使が空から舞い降りる。
フェイ「さっさと行くぞ」
ルリベラ「相変わらず忙しい奴やな。少しは無駄を覚えたらどうや?」
カシヤス「えー、あれか、たまたまじゃなかったってオチだな」
ルリベラ「リオだったか。おまえには感謝しているよ。おけげで楽しみが増えた」
リオ「それはどうも」
ルリベラ「あー、早く殺してー」
ルリベラとフェイは空に舞い上がり、この場を後にする。
リオ「結構きつかったわね、奥さん」
カシヤス「そうだな、付き合えるのは俺ぐらいだと自負はしている」
リオ「とはいえ、萌えポイント100かな」
カシヤス「最近押しているようだが、基準がわからん」
リオ「基準は私よ」
カシヤス「そうか。よくわかった」




