飛鳥 王への道2
大通り。今だにどこかの世紀末漫画のような状態は続いており、目の前にはその光景が広がっている。むしろ拍車が掛かっているぐらいだ。
これは収集がついていないのではなく、明白な理由がある。
いわゆる二分化だ。この辺りを堺に区切られている。
そして律儀にもその境界を越えることはない。
その分こちら側で暴れ回っているわけだが。
飛鳥「完璧に調子に乗ってますね」
アカシャ「改心云々以前に見飽きたわ。これはその見飽きたものより質が悪いけど」
ダン「ああ、それで丸くなってたのか」
アカシャ「この世界にはもう飽きた、ってことよ。そういうことだから、早く面白くしなさい」
飛鳥「私は元に戻すだけですよ。どこかの誰かが荒らしていきましたからね」
茜「何なら俺が全員殺してやろうか?」
声のした方に振り返ると、そこには二十代後半ぐらいの男性と十五歳前後の少女がいた。
茜「おっす、新入り。ちなみに、冗談じゃなくてマジだぜ。遠慮するな、後輩。ついでに自己紹介、俺は茜。女みたいな名前だが、見たまま男だ。エコー的なオチはないぞ。で、王だ。こっちはナンナ、従者みたいなものだ」
ナンナ「よろしくお願いします」
茜「で、返答は?」
飛鳥「結構です」
茜「なんだ、踏ん切った割にはだな」
飛鳥「もしかして、今までの諸事情を知っているというオチですか?」
茜「ああ、そうだ」
飛鳥「そうですか、細かいことはこの際流しておきます」
茜「話を戻すとだ、俺は快楽に生きる男だ。こいつら全員殺したら気持ちいいだろうな。理由なんてそれで十分だと思わないか?」
飛鳥「思いません」
茜「それは残念、いやむしろそっちの方が楽しそうだな。よし、決めた。今頃心変わりはなしだぜ?」
と、茜は返答を待たずに王剣を精製し私に斬りかかる。
飛鳥「面倒ですね」
茜「さっさと立ち位置決めないといろいろなものに潰される、ってことだ。はは、我ながら中々の名言だ」
蘇芳「簡単に言うと自我の確立か。そのままの意味で捉えるのは馬鹿の所業だな」
と、次元の穴が開き棺桶を引き摺りながら蘇芳が現れた。
茜「ちっ、そっちの方が的確じゃねぇか。そして、そんなことできたのかよ」
蘇芳「むしろ基本何でもありだからな。優には釘を刺しておいたが、ここまで辿り着けるか楽しみだ」
飛鳥「珍しくスパルタですね」
蘇芳「緩急はつけないとな。で、こっちは王のイヴだ」
茜「おまえ結局世話役に戻るのか?」
蘇芳「その方が面白そうだろ?」
茜「なるほどな。それで、何故このタイミングでシャシャリ出た?」
蘇芳「今日は調子がいいからな。挨拶でも、と思ったわけだ。王が二人もいるしな」
茜「おいおい、俺は勘弁だぞ。それに、解放者の方がよかったんじゃないか?」
蘇芳「割りとこっちにも期待はしているからな」
茜「それは意外だな」
蘇芳「若い風、というやつだ」
茜「ジジ臭せぇ話だが、悪くないな。ま、俺は年々衰える気はないが」
何の前触れもなく、突然棺桶の上蓋が吹き飛ぶ。
そして十四、五歳前後の少女がその身を起こす。
と、認識した頃にはもう目の前にその少女がいた。
と、認識した頃にはもう少女の王剣が横一閃。私の身体は二分化された。
茜「相変わらずぶっ飛んでんな。さすがにひくわ。ま、悪くはないけどな。ああ、これ口癖じゃないぞ」
茜は私の頭を鷲掴みにすると、そのまま勢い良く後退して行く。
アカシャ、ダン、ナンナもそれに続く。
イヴ「つまんない」
イヴは欠伸混じりで退屈そうにそう言った。
蘇芳「寝るなら棺桶戻っとけよ」
イヴ「へいへい」
蘇芳「心配しなくても、その内面白くなる。今回は世界が変わる程だ。実際、隔壁が一つ開いたしな」
イヴ「へいへい、期待せずに寝ておくよ」




