エタの依頼 3
私立の高校。転校生としてではなく概存の生徒だ。その辺りはゼウスが融通を利かせたらしい。神様パワー恐るべしだな。俺とリオ、ターゲットの飛鳥は同じクラスだ。席は窓際一番後ろが俺、その前の席がリオ、隣が飛鳥だ。まあ、これも神様パワーの賜物だろう。そして席に着く。飛鳥はすでに着いている。授業開始前の朝の時間。
優「で、最近どうよ?」
飛鳥「え、私ですか?」
優「他にもいっぱいいるけど、おまえだ」
飛鳥「えーと、元気ですよ」
優「お父さん、お母さん、あるいわ両方にあんなことやこんなことされてるのにか?」
リオ「さっきからどストレートね、最高」
優「そうか、それはよかった」
飛鳥「えーと、私の意見は?」
優「とりあえず、もう事情はわかってる。さすがに、このままでいいとは思わないだろ?」
飛鳥「そうでもないです。むしろ本音を言うなら、放っておいてほしいです」
リオ「あー、よくある逆のことを言うやつね」
優「なるほど。勉強になるな。つまり非常になんとかしてほしいわけだな」
飛鳥「お願いだから話を聞いて」
優「遠慮するな。俺が灸を据えてやろう」
放課後。飛鳥の帰路に俺とリオが同行する。
優「最近親と話してないだろ」
飛鳥「まあ、そうですけど」
リオ「私も引くくらいノリノリね。で、どうするの?」
優「火つけてやろうと思う」
リオ「ほうほう、その真意は?」
優「おそらく、金でなんでもできると思ってるだろうからな。あんなものただの紙切れということを実感してもらうというわけだ」
リオ「なるほど。今まで散々やったことが、たかだか火で消えるわけね」
飛鳥「えーと、かなりやめてほしいんですけど」
優「女王様の命令みたいなものだからな。なんなら直談判するか?」
飛鳥「……」
優「まあ、女王と言われても実感はないか。しかし、なんだかんだでこうして拒絶せずに道案内をしているということは少しは期待しているんだろ?ここは考える場面だ。頭使えよ」
飛鳥「あれですね。荒んだ家庭を修復しに来た神の使い的な」
リオ「あ、自分で言った」
優「ちなみに、神様に嘘をつくとバチが当たるらしいぞ。そして俺的には逆に面倒だ」
飛鳥「はー、わかりました。いえ、よろしくお願いします」
リオ「そうそう素直が一番。自由への第一歩ともいえるわね」
優「そういえば、まだノーパンなのか?」
リオ「当然」
優「ズボンにはしないんだな」
リオ「それじゃ意味ないでしょ?」
優「意味あったのかよ」
リオ「体現よ。た・い・げ・ん」
優「そうか。いっそこのまま頑張れ」
飛鳥の家に到着。庭付きの屋敷。THE金持ちだ。しかしその威厳も今は形無し。俺が火をつける前に絶賛炎上中だ。屋敷の庭にはリオと同い歳ぐらいの女性とその女性に後ろ襟をつかまれている男性。歳からして男性の方は飛鳥の父親だろう。ちにみに、つい先ほど聞いたが飛鳥はシングルファザー。母親は愛想を尽かし出て行ったらしい。あんなことやこんなことをしていたのは父親というわけだ。それに愛想を尽かしたのだろう。使用人らしき人達がぞろぞろと屋敷から出て来る。そして俺達を横切る。俺とリオはともかく、飛鳥にすら目もくれない。
優「世知辛いな」
飛鳥「仲がいいわけではなかったんですけど、まさかここまで嫌われていたとは。少しへこみますね」
ゼウス「ああ、それは私の暗示だよー。この火も人は焼けないようになってるんだ」
リオ「それはゼウス様々ね」
優「ゼウスって神か?」
ゼウス「そういうこと。以後、お見知りおきを」
ゼウスは手に持っていた飛鳥の父親を立たせる。
ゼウス「ついでに会社も潰しといたから。ああ、次ぎの仕事は用意しといたからねー。社会の為に頑張ってください」




