リアルファンタジー終 終わり
ゲーム内、のいつもの草原。今回はお呼び出しだ。
呼び出したのは目の前のエタとロロ。
エタ「今回はおまえの実力がどの程度か、という話だ。もうこれでこの仮想空間も幕引きだが、最期がこうでは締まらない、というなら配慮してやらんでもないぞ?」
優「いや、もう十分感傷に浸ったからな。そろそろ進ませてもらおう。と、決めている俺にとってはむしろこういう最期の方がありがたいな。期待されているようだし、ネタ切れの奴もいるしな。ちなみに、このローブの製作者だったりするのか?」
エタ「いや、私ではない。とにかく、そういうことなら遠慮せずいかせてもらおうか」
優「おお、直々か。そういえばデジャブだな」
エタ「あの頃よりも実感できるだろ?」
優「そうだな」
エタ「ここではそうだな、無限の維持力みたいなものか。つまり現実でもゲーム的にも死ぬことはない。そういえば、現実での私の能力と同じだな」
優「それはとんだチート能力だな」
エタ「『絶対女王』の名は伊達ではないということだ。あれは仮想空間での通り名ではなく現実でのだからな」
エタがこちらに向かってくる。
武器は右手の刀。
対する俺は今やお馴染みの右目と刀だ。戦闘スタイルは同じだが、むしろその方が相性はいい。
はずだったが、世の中そんなに甘くないらしい。まあ、相手も得意か。
いや、むしろ上手だ。
行動する前にその箇所を切り落とす
俺のしようとしていたことをそのままやり返された。
エタ「ちなみに、コピーなどではないぞ。この程度の芸当、電脳体の基本スペックだ」
優「それは何気にショックだな。知っているのは、もう突っ込まなくていいか」
エタ「さて、どうする?少しは進歩してみせろ」
優「じゃあ、芸はないが」
飛鳥の真似、カウンター返し。切り落とされた右手を囮に左でパンチ。
エタの頭部を吹き飛ばした。が、同時に刀で胴体を横一文字に切断された。
相打ちだ。
と、思った時点で詰めが甘かったようだ。
ちなみに、再生される箇所は表面積で決まる。この場合足が消滅し、今絶賛仰向けに倒れ込んでいる胴体に足が再生される。
その無防備な状態を突いて、とっくに再生を済ませたエタは俺の心臓あたりに右から刀を突き刺す。
床に縫われた状態だ。
エタ「これがおまえの負っているハンデだ。こちらは純粋に戦闘のことしか考えていないが、おまえは余計なことに気を取られ過ぎだ。お得意の説法然り、もはや相打ちと認識することも余分だな。その頃にはもうこちらは次の行動に移っている」
優「まあ、正論だな」
とりあえず、刀を引き抜こうとしたがエタが上から押し付ける。
エタ「再チャレンジだ」
優「純粋に相手を倒すことだけを考える、ってことでいいのか?」
エタ「違うな、貪欲に自分を愛する、相手を蹂躙するとはそういうことだ。己の意志を相手に押し付ける。こういう場合は信念も快楽と同類だな。いわゆる生存本能、獣性とも言える。人間に限らず生命には必ずあるものだ。敵か味方か。敵は問答無用で潰し、そこに快楽すら覚える。優越感、自分の思い通りになるのは気分がいいだろ?その全ては自己保存に繋がっている。全ての生命体の行動原理はそれだろうな。それ以外で世界が動いたことはない。仮にあったとしても、それは些細なことだ。現に、世界は今も保全に努めている」
優「確かに好きだからな、何かを護るとかいうやつ」
エタ「批判はしたが、実際大したものだと感嘆している。この際敢えて文明を抜きにしても、よく出来たシステムだよ今の社会というやつは。無論、生存においてだが。全体そうに見えて、ちゃんと自己にも繋がっている。隙を見つける方が難題だ」
優「ベタ褒めの割に不満そうだな」
エタ「ただの生物の営みだからな。芸のない話だ。だが、それを越えた者は誰もいない。所詮私も一般人より生存本能が高いだけだ。もはや一般人代表と言ってもいいのかもしれんな」
優「抑止力か?」
エタ「そうだな、私もただの歯車ということだ。私の力では世界は動かないだろうな」
優「結局、どっちに行かせたいんだ?」
エタ「それはおまえが決めろ。私はただ事実を述べただけだ」
優「事実か、確かにつまらないな。ただ生きるだけというのも。そうなると、選択肢はなさそうだ。『解放者』として世界を次の段階に進化させよう。って、言った方が面白味があるしな」
とりあえず、そろそろ立ち上がりたいので刀を刃ごと握りつぶす。
普通の強度なら少し気合を入れれば問題ない。手へのダメージは避けられないが、それも大した問題ではない。
が、普通ではなかったようだ。強度は問題ない。刀は確かに折れたが、何事もなかったかのようにまだ突き刺さっている。上からの圧力を伝えながら。
エタ「一般的な幽霊みたいなものだ。すべてスリ抜け無効化し、干渉できない。ちなみに、この刀の能力ではなく私自信のものだ。この刀は私が精製したからな。ある意味、これも私の身体の一部ということだ」
優「手応えはあったし、手にダメージもある。こっちは干渉できないが、そっちらからはできるということか?」
エタ「そういうことだ。このようにおまえの手が割り込んで刀の刃を形成できていなくても、この刀はその干渉を受けずその役割を果たす。握られている部分はスリ抜け状態になり無力化されるが、異物を取り除けば即時再生する。その維持力は無限。これは私の能力だ。再生も含めてな。つまり、そもそも維持力を使っていない」
優「『王』半端ないな」
エタ「おまえもハンデを捨てれば可能性はある。蘇芳がそういう風にしたからな」
優「それは悩み所だな」
エタ「なんだ、しおらしいな。お得意の屁理屈はないのか?」
優「そういうものか?」
エタ「何でもできると蘇芳に聞いただろ?その道でこちらを越えることも可能ということだ」
優「そこは割りと融通が利くんだな」
エタ「精々気張ることだ。私もただの抑止力に成り下がるつもりはない。できるだけ生かしておいてやろう」
優「それは助かるよ」
ロロ「次は隔壁解放ね。もういっそ全部開ければいいのに」
アルル「そうだ、そうだ」
優「あんまり急ぐものじゃないぞ、そういうのは」
エタ「まあ、おまえはそれでいい。さっさく微力ながら助力してやろう」
優「それは賑やかでいいな」




