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FreeDom  作者: ユユキ
真・世界
103/138

愛憎 5


大窓が割れる。そして、そこから現れたのは飛鳥だ。電脳の翼はもうないが、機械で造られた剣『王剣』を携えている。

 優「ああ、わかった。前の反省点を生かして俺に協力しに来たんだな。おまえも今や王だからな。話術は割りと必須なんじゃないか?」

 飛鳥「残念ながら反省はしていません。あれはあれでよかった、の方を取らせていただきました。いえ、もはやそんなことも言いません。私がそうしたいからです」

 優「それはそれで自由なんだろうが、元に戻ったと思ったらまた変にやさぐれたな」

 飛鳥「あなたは眩しいぐらい変わりませんね」

 優「そう思うなら見習ってほしいものだな。その一歩として俺と一緒に説得してみるのはどうだ?」

 飛鳥「一緒に、ですか?」

 優「嬉しいだろ?ここは素直になっとこうぜ」

 飛鳥「そうですね、素直が一番です」

飛鳥の王剣が銃に変形する。

銃口が狙うのは実はさっきから「殺さなきゃ」と連呼し続けている夜宵。

引き金は躊躇なく引かれる。

そして、そのレーザーに撃たれたのは俺だ。

夜宵はあっさり俺の手を離しこの場を離れ、すでに臨戦態勢に入っている。

どうやら、戦闘能力は俺より上らしい。

 優「なんか俺、どんどん下にいってないか」

 飛鳥「いつまでもそんなことをしていたら乗り遅れる、ということです」

 優「いや、俺は大器晩成だ。人生急いでもいいことないぞ。むしろ、ゆっくりしていた方がいいことあるかもな」

 飛鳥「私達一般人には荷が重い生き方です」

 優「まだ言ってるのか。それこそ乗り遅れるぞ」

様子を伺っていた夜宵が動く。

見を低くし、飛鳥に突っ込んで行く。

その身のこなしは、とりあえず俺以上だ。飛鳥が対応する前に夜宵は王剣(今は銃)が握られている水平状態の右手をそのまま右手で掴む。

しかし、それ自体に意味はない。たまたま利き手だからだろう。重要なのは触れることだ。

つまり、それが夜宵の能力の発動条件。

飛鳥は夜宵の能力で身動きがとれなくなる。

ちなみに、指一本完璧に動かなくなる。

そして夜宵は飛鳥の腹部をひたすらナイフで突き刺す。ナイフの出所はその辺。電脳印は使えなくなったが、そもそも似たような機能があるようだ。俺の印はただのおしゃれアイテムになったらしい。

飛鳥は防御のイメージでひたすら弾いている。が、このままではジリ貧だろう。

 優「助けてやろうか?」

 飛鳥「その必要はありません」

と、言ったそばから夜宵の動きが止まる。

そして、飛鳥は右手の王剣を一度消し左手に銃のまま再び錬成。左肘を曲げ銃口を夜宵に向ける。

 飛鳥「まずは例の能力で私にかかっている効果を封印。そして動けないのは夜宵の能力を私が真似たからです」

 優「さらっと言ったが、後者すご過ぎないか」

 飛鳥「意外にそういう才能があったみたいですね。さすがに自分でもびっくりです」

 優「もうそれ一般人じゃないだろ。と、いうことでもう少し余裕を持ってみようぜ。ゆとりは大事だろ?」

飛鳥は返答せず、代わりに銃を夜宵に撃ちまくる。

しばらくは持ち堪えたが、すぐに夜宵の身体が吹き飛び始める。

 優「そうなると、俺が相手しないとな」

とりあえず後ろから肩を掴み、夜宵を飛鳥から引き剥かす。

第三者には干渉しないようだ。難なく引き剥がすことに成功した。

 飛鳥「相変わらずですね」

 優「結局、このままでいくことにしてな。俺は乗り遅れてもゆっくりいくよ」

 飛鳥「強いですね」

 優「おまえはいつもそれだな。そう思うなら見習ったらどうだ?」

 飛鳥「結局、私はあなたのようには生きられないようです」

飛鳥が俺の身体越しに(視界に入っていなくても霊子体のレーダー能力で位置がわかる)狙いをつけようとするのが右目に伝わる。

飛鳥の動作が終わる前にその右手を刀で切り落とす。

その次も、その次も。

結果としては先手だが、ある意味カウンターみたいなものだ。飛鳥の行動を悉く封じる。

 飛鳥「なるほど、あなたらしい詰めの甘い能力です」

 優「甘いのかよ」

 飛鳥「激甘ですね」

飛鳥がまた行動を起こす。ちなみに、王剣は最初切り落とした時に消えので飛鳥は素手だ。

そして、例によってその前に刀で切り落とす。

と、同時に飛鳥は俺の左肩を左手で掴む。

 優「いわゆるカウンター返しといったところか。カウンターということは、ある意味される側も攻撃が読めている。確かに、詰めが足りなかったようだな」

 飛鳥「相変わらず嫌味なぐらい冷静ですね」

 優「いっそのこと、俺のモットーにでもするか」

と、今まで大人しかった夜宵が俺の隣に立つ。

 飛鳥「それなりには愛している、ということですか。その誠意には応えましょう」

 優「最初からそのつもりだったんだろ?」

 飛鳥「こんな時にもですか」

 優「今の俺にはこれぐらいしかないみたいだからな。と、いうわけで考え直せ」

 飛鳥「勘違いしているようですけど、この子の為でもあるんですよ?それを言い訳にする気はありませんが、少し無責任だと思います」

 優「そんなに凝り固まったものでもないだろ。割りといいかげんだからな、人間は。意志の強さが強さなら、むしろ一般人にとっては得意分野だろ?短所ばかり見てないで、長所も見ないとな」

 飛鳥「まったく、確かに口では負けますね」

飛鳥は夜宵の脇腹を撃つ。

夜宵は霊子体だが、その身体が再生することはない。

 優「えげつない能力だな」

 飛鳥「恨み言ぐらい言ってもいいですよ」

 優「まあ、お互い受け入れるとしよう。いろいろとな」

 飛鳥「そうですね、相容れることはないですけど」


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