愛憎 2
とりあえず物陰から出て来てもらい、普通の距離で正面から話し合うことにした。
引き続きビルの屋上。
優「しかし思いっきり初対面だな」
夜宵「話しかけてきてくれたということは、そう、そうなのね」
優「残念ながら、一目惚れはしないタイプだ」
話を聞かないタイプらしい。文字通り問答無用でアルルの頭をパンチで吹き飛ばした。
アルル「ヤンデレですね」
夜宵の猛攻は続く。完全に殺す気らしい。
優「確かに病んでるな」
アルル「とりあえず、ロコ爺バリア」
と、アルルはロコの背後に回り盾にする。
夜宵は当然の如くターゲットをロコに変える。もはや見境なしらしい。
ロコ「これが本来か、いっそ束縛されている方が本来なのか。今となっては微妙と言わざる得ないな」
優「殴られてるどころか身体吹き飛んでるのに冷静だな」
ロコ「銃弾、レーザーを防ぐぐらいのイメージ力はあるのだが、いやはややはり同じ人間ということか。実に素晴らしいことだ。確かに、君の言う通り一人よがりでは暇を持て余すからな」
優「それはよかったな」
ロコ「しかし、どうも自滅傾向があるな。そうなるから本能的に束縛されていたのか否か。これもまた微妙なところだ」
優「それより大丈夫か?」
ロコ「ふむ、交代を求もう」
と、ロコはアルルの背後に回り盾にする。
そして夜宵も律儀にターゲットをアルルに変える。とりあえず、素直ではあるらしい。
ロコ「つまり決めるのは当の本人ということだ」
優「つまり俺はまだ何も決めてないということか?」
ロコ「そういうことだ」
優「断言したな」
ロコ「さて、そろそろわたしはお暇するとしようか」
優「ついでにアルルも連れて行ってくれるとありがたいな」
ロコ「いいだろ。長い付き合いだ」
優「長居する気満々か。意外に俺は『解放者』向きかもな」
ロコ「そうか、門戸はいつでも開けておこう」




