閑話休題
何故に閑話休題?早すぎやしないか?と思われた方、いらっしゃるかも知れませんね。
すいません、書きたいという気持ちに負けました。
本編を読んでいなくても読めますが、本編を読まれた方はこの回も読むと、今までの話に繋がるものがあるかもしれません。
虎はウチのお隣に住んでいる5歳下の男の子だ。
これだけ年が離れていると、虎が覚えていないことも覚えていたりする。
最初に話した言葉が、パパママでなく、うーちゃ(兎ちゃんと言いたかった模様)だったりとか。
虎ママはこれはシスコン(あの時は意味が分からなかった)間違いなし、と笑っていた。(虎パパはへこんでいたけど)
一人で歩き回れるようになったら、一日中べったりだったりとか。
それが可愛くて、抱きしめてるあたしも十分ブラコンなんだけどさ。
まるで、本当の姉弟のように育って、お出かけもいつも一緒。
それは私が中学生になっても変わらなくて。
あの日は初めて二人だけの遠出だったかな。
隣町の図書館に行く予定で、電車に乗ったんだよね。
虎と二人でお出かけが出来ることに嬉しくて、前日はなかなか寝れなかった。
後で知ったんだけど、睡眠不足は乗り物酔いのもとらしい。
「兎?具合悪い?」
「そ、そんなことないよ…」
強がって見せるものの、心配で曇った顔が晴れることは無い。
自己嫌悪に陥りながら笑ってもちらちらとコッチを見る様子におねぇちゃん、形無しである。
ぎゅ、と手が握られる。
「大丈夫。兎には僕がいるんだから!」
隣から、一生懸命な声が聞こえて。
「……そうだね」
情けないのと、頼もしいのとごちゃ混ぜになりながら笑う。
ちゃんと笑えてなかったらしいけど。
目的の駅まで、虎が一生懸命になって楽しい話をして気を紛らわせようとしてたのは薄ら覚えている。
駅に着いたまでは良かった。
フラフラしているアタシを虎がおぶると言いだしたのだ。
以前、虎のお兄ちゃんの龍兄が私をおぶっていたのを覚えていたらしい。
「兄ちゃんにできるなら僕にもできるもん!」
それは流石に無理なことは気分が優れずとも分かる。
「大丈夫だよっアタシ重いし!」
虎が潰れる。流石に私が小柄だとしても7歳に12歳は背負えまい。
「兄ちゃんは羽のように軽いって言ってたもん!」
中学生のあの時でさえこう思った。
――龍兄、虎に変なこと教えないでよ!!と。そんな臭いセリフを龍兄がどこで覚えて来たのかも甚だ疑問だ。
変な駄々をこねだした虎に困って、出した妥協策は背負われるフリをすること。
「じゃ、お願いしようかな」
手を虎の首に回して、後ろで足を動かして歩く、という感じだ。
これで、うまく行っていたのだ。
虎が躓くまでは。
どうやら、前のめりになり過ぎていたのが原因らしい。
このままじゃ、虎が下敷きになる……!!
と思った時、予想とは逆にふわりと体が浮く。
「兄ちゃんのばかぁー!出てこないって約束だったのにー!!」
どうやら、元の計画は虎と龍兄と私で行く予定だったのを虎が二人(虎と私)で行けると言い張って聞かなかったらしい。
変なところで頑固な虎に私達の両親はお手上げ。
そこで、龍兄が遠くから見るという条件で決行されたらしい。
私たちは、はじめてのおつ●いかと言われても仕方ない状況で撮影までされていたというのだ。
虎の家族と私の家族、(常識的に)大丈夫なのか?と思ったのはよく覚えている。
「何見てんの」
不機嫌そうな虎は二人掛けのソファの隣に腰を下ろす。
「懐かしいでしょ」
「悪夢だ、何度見ても」
俯いて顔は見えないが、耳は真っ赤。
「確かに。でも、アタシにとっては」
――大切な宝物だったりするんだけど
虎の兄、龍が出てきました。
行き当たりばったりで今まで存在しなかった龍が出来ました。
本編に出て来るかは微妙ですが。本編に『乗り物酔い』のエピソードがあったので閑話休題として挟ませていただきました。