first contact
本日も覗きに来てくれた方、ありがとうございます。
恋愛経験皆無の白兎が始めた為に、何じゃこれは!と思う部分もあるかと思います。
その時はビシバシ指摘しちゃってください。
皆さんに楽しんでもらえるよう、精進いたしますので、今回もよろしくお願いします。
「そうだね、教えてくれてありがとう」
ソイツは笑う。
知っている、と感じさせる表情。
俺がコイツを知っているように、コイツも俺に気付いていたらしい。
話しかけて来たことに驚きがない。思ったより、厄介かもしれない。
眼が俺たちの間を右往左往する様子から兎は気付いていなかったらしいが。
「もう少し話がしたかったんだけど、時間がないんじゃ仕方ないね」
自身の時計を見て苦笑いをしながらも、兎の隣から立ち上がる。
「今じゃまだ駄目だって、分かってるから。返事は急がないで」
名残惜しそうにその場を離れないソイツは俺と同じ。
「僕は結構気は長いし、いくらでも待つよ」
それが言いたかったんだ、と穏やかに笑うと足を踏み出す。
『今日はありがとう』、と扉をくぐる時に振り返った時の笑顔は俺のことは無視したのだろう。
それ程までに柔らかい。
ま、それ程のことはしたような気もする。
電車は10分後出発した。
「虎、知ってた?」
「……何が?」
「さっきの駅は15分停車だったってこと」
一瞬どう答えるべきか考える。
「俺の時計がずれてたみたいだ」
そんなこともないが。
ただの、悪戯心だ。そんなに責められるほどのことじゃない、と口を噤む。
そんな俺の内心も知らず、ふぅん、と納得する兎。
顔を伺えば、見返されて「何?」と言葉が返ってくる。
「いや、何でもない」
彼女は静かに笑う。
時計がずれていたなんて、嘘だ。
瞬時に察しておきながら何も言わなかったのは何故か、……そんなの決まっているではないか。
「それが、虎の妥協点?」
「…そんなんじゃねぇよ」
喧嘩を吹っ掛けなかっただけマシ、なのである。
最近の若者は存外にキレやすい。
私には理解しがたいが。
大人に見えるようになっても感情が分かりやすい。
確かに、苛々しているように見えた。
「ま、いいんだけど」
それより聞きたいことがある。
「甲崎くんと知り合い?」
接触するのは先程の駅に違いない。
甲崎くんにも動揺は無い。
……ならば、お互いの存在を知っている、というのがアタシの見解である。
因みに二人に互いのことを話したことは無い。
勝手にお互いで知り合ったということ。確率的にありえないが。
「顔を知ってるだけだろ、互いに」
ぶっきらぼうなそれに眉を跳ね上げる。
先程のやり取りを全体的に思いだす。
虎が乗車してから、甲崎くんは答えを先延ばしする言葉を話した。
どう考えても告白の先延ばしの言葉で。
それを、虎がどう解釈するのか。
物の貸し借り、という雰囲気と感じる奴か、コイツ。
その時の虎の様子は、どうだったっけ?
一気に駆ける思考にぐらぐらする。
「兎?」
はっと見上げれば、心配そうな顔をした虎。
「どうした?」
随分、考え込んでいたようだ。
「酔ったんなら、おぶろうか?」
「落っことすんじゃない?」
ふふっと笑って、立ち上がる。
表情に、私がよく知る片鱗がのぞいて、思わず笑う。
「あん頃は……!」
まだ二人が四六時中一緒だった時に戻ることはできないんだな、とようやく受け入れ始めた。
あの頃と言われるくらいに、昔話と語れる年月が経ったことは分かっている。
不器用なことはお互い様だ。
無理な背伸びを隠せない、虎とその感情を理解できないアタシ。
どっちが譲ることになるのかな、と不機嫌な虎に引かれる手を見て思った。
兎、虎の言葉をとりあえず、拒否することはなくなりました。
虎、一人前に嫉妬&肇に危機感を感じてます。
肇、虎に宣戦布告しました。
と言う感じで、新たなスタートかな、とも思います。
次回もぜひぜひ、覗きに来て下さいね。