バランス1
今回も覗きに来て下さった方、ありがとうございます。
彼女のモットーは一見狭く深く、のように見える。
しばらく見ていて、気が付いた。
来るものは拒まない。
そして、去る者は追わない。
彼女だけに限らず、入学当初は不安からか期待からかは分からないが、グループ行動が増える。
仲良くなったり、疎遠になったり、それは当然のように行われる。
そんな中、じっと動かない彼女はあまり人の視線を集めることは無い。
かえってそれが理由で自分の眼に留まったのだが。
もうひとつ、彼女の友人は女だけで数も多くは無い。
自分と違う、それが気になった。
彼女は初めての会話を覚えているだろうか。
頭を悩ませ続けている、問題。
「アタシにどうしろと?」
夢に魘されて起きた回数を数える気にもならない。
あれ以来顔を合わせていない、虎はその分だと言わんばかりに夢で現れる。
「甲崎くんから虎に変わって…」
そう、返事を返す相手は二人。
甲崎 肇を認識したのは通学中の電車の中だっただろうか。
具合が悪いのか青白い顔で扉近くに立っていたのだが。
……別段、どうとも思わなかった。
ひとつ前の駅で大勢人が乗り込んだので動くと迷惑だし。
かといって、気付いた存在を忘れる程ではなかったが。
一時間も揺られる電車、決して乗り心地がいいものではない。
カーブに差し掛かったところで、先程まで揺られていた長身が見えなくなった。
眼を凝らせば僅かに避けるような周囲の動き。
どうやら、しゃがみこんだらしい。
「大丈夫ですか?」
薄情な、と思いながらも避けられてできた間を潜り抜けて、辿り着いた青年は初めて見た時よりも気分が悪そうで、青白さを通り過ぎて土気色になっていた。
「座った方が今よりマシになると思いますよ」
動かない青年の傍にしゃがみこむ。
「運よく、酔止めも水もありますし」
経験上、気休めにはなる。
手を引いて、自分の鞄のところへ向かう。
好奇の視線が集まろうと構わない。ただ、道を開けてくれるなら。
二度目に見た時、最初は眼を疑った。
彼は派手目な大勢の友人に囲まれて快活に笑っていた、が。
「お腹でも痛いのかな」
右手が横腹を絶えず擦っていた。
たったそれだけ。
いつの間にか話すようになって、何故か一緒に帰るようになっていて、ついこの間は遅くなったからと彼にとっては二つ先の私の家の近くまで送って貰った。
その途中で、突然手を握られたと思えば告白。
色々と間をすっ飛ばした気がするのは私だけだろうか。
ふと、考えたら問題は二つ。
可哀想にセカンドインパクトに消えかけていたファーストインパクト。
彼女にはきっかけが足りない様子。
彼には確固たる理由がある様子。
R&Tの話を期待した方、ごめんなさい。
次回も覗きに来て下さるとうれしいです。