協力してね
久しぶりの更新の上、短文。
すみません……
「何、拗ねてんだ」
式が間近になり、頻繁に帰ってくるようになった兄貴はノックもなしに部屋へと入る。
「……入ってくんな」
ご機嫌伺いのつもりなのだろうか。
硝子越しに見える顔が酷く腹立たしい。
「なんで毎週家に居るんだよ?陽子さんと一緒に行けよ」
こちらで式を行う事に決めた二人は休日をこちらに滞在し、式の準備を行い、向こうへ帰るという酷く面倒臭い生活をしている。
「や、俺が行っても意味ないし。つーか、俺が行っても暇だろ」
ムカつくったらねぇ。
「陽子さんに愛想尽かされてしまえ」
ぼそりと零した本音に兄貴が肩眉を上げる。
多少のことなら、適当やっても余裕ってか。
そらそうだろうな、幸せの絶頂期なんだから。
心配なことなどあるまい。
比べて俺は避けられ、ここ一カ月まともに口利いてない。
僻みだと分かっているが為に、自分の顔も歪む。
「情けねー顔だな、虎」
情けない。その通りだ。
机に突っ伏して顔を隠してはいるが隠せていない。
俺の考えていることなんて兄貴には透けて見えているんだろう。
「だからどーした」
会って話すにも、何を話す?
推測が間違ってたら大恥もいいところだ。
それならまだしも、修復不可能にでもなった日には立ち直れる自信が無い。
時間をかけて姉弟に戻った方が良いんじゃないかとさえ思えてくる。
正直、参っている。
「―――なぁ、兄ちゃんに言ってみろよ」
昔から気に食わない、余裕ぶった声に耳を傾けるくらいには。
「これなんてどうかしら?」
「…あの」
「この前のとどっちが良いかしら」
Tシャツにジーパンの私と目の前に居る、ドレス姿の陽子さん。
その落差は何だろうか。
それ以前に―――
「龍兄なら、呼びますけど」
何故、私がここにいるのでしょうか。
携帯を取り出せば、千鳥さんの鞄へと入れられてしまった。
「兎ちゃんの意見が聞きたいの」
「驚かせたいのよ」
―――だから、協力してね?
陽子さんの言葉に違和感は残ったものの、二人に協力したいという気持ちは本物だ。
「……私で良ければ」
最後のひと押しが弱い子です。