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グラタン&マルゲリータ。  作者: さんまぐ
マルゲリータ。

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12/14

第12話 ホームパーティー。

2人で駅向こうにある商業施設まで買い物に向かう。

普段は近所の商店街を使うが、この日は特別感を出したくて駅向こうまで歩く。

同衾の影響か、手を繋いでしまうと照れてしまう。

家から離れているといっても十分に地元だし、誰かに見られる事もあるが気にならなかった。


朝ごはんのお礼がしたいと言うと、萩生紅葉はモジモジしながらも最後には「小さなホットプレートを買って、今晩は焼肉にしませんか?」と聞いてきた。


俺は勘違いしていて、家電売り場でホットプレートを買おうとすると、「ちちち……違います!匠さんはお肉を買ってくれれば」と言われた。


「え?ホットプレートを頼まれたんだと思ったよ」


俺がそう言うと、萩生紅葉は真っ赤な顔で「そんな図々しい真似出来ないですよぉ」と言った。


「しかも大きいのしかない。ウチには大きすぎます」

「仕方ない。ホットプレートは今度一緒に見に行こう」


改めて朝ごはんのお礼を聞くと、「ではホームパーティをしましょう」と言われたので、食品売り場でお刺身やお酒、出来合いのお惣菜を買って帰る。


「高くなりましたよね?」

「気にならないよ」

「でも、いつも食材を買ってもらっていて申し訳ないです」

「それを言えば俺の方だよ、美味しい朝ごはんもだけど、歯ブラシとかありがとう」


顔に「ふふん」と書いてある萩生紅葉が、「いえいえ。歯ブラシとかで言えば、ウチはいつでもOKという意思表示です」と言い、俺はその顔を可愛いと思いながら、「うん。ありがとう」と返して萩生紅葉の家に帰った。



・・・



ホームパーティは急がなかった。

2人で笑いながら用意をして、時計も見ずに始める。

スローペースのホームパーティはとても楽しい。

乾杯でお酒を飲んで、同じものを食べて感想を言い合う。

それだけなのにとても楽しくて仕方なかった。


気付くと萩生紅葉は横にいて、涙を浮かべて「嬉しいです。匠さんといられて、いろんな事を知っています」と言っていた。


きっと父なら「それは俺の方だよ。楓がいろんな事を教えてくれている」と言うのだろう。


「俺は母さんに似てしまったのだろう。言葉がうまく出ない。でも父さんならなんと言うかわかるよ。紅葉さんと一緒で、父さんを通せばキチンと言葉が出る。それは俺の方だよ。紅葉さんがいろんな事を教えてくれている」


俺の言葉に萩生紅葉は頷いて、胸に顔を埋めて深呼吸する。

俺は柄にもなく……やったこともないくせに、萩生紅葉の肩に手をやって抱き寄せると、「のんびりしよう」と言って窓の外を見るともう夜になっていた。


2人で片付けをしている時、食べ残しを見て笑ってしまった。

それはピザで、宅配や店で食べるものからしたら、味が薄くてチーズの量も物足りなくて、後に回したらお腹いっぱいになってしまい手が伸びなかった。


俺は食べ残したピザを片付けながら「今度はピザを食べよう」と言う。


「はい。真さんはどうしていたんですか?」

「父さんは生地とピザソースを作っていたよ。具はよくあるハムと玉ねぎとピーマンだったかな」


俺の言葉に萩生紅葉は「美味しそうですね」と言って、萩生楓さんの遺影を見る。


もしかしたら2人で作ったのかもしれない。

俺も萩生紅葉と作れたらなと思いながらも、頭の片隅にいる母の存在が邪魔をして、萩生紅葉に「ピザを作ろう」とは言い出せなかった。


片付けが終わり、残りの食材を明日に持ち越すためにラップを巻いていると、天気予報に無かったゲリラ豪雨が降ってきた。


突然のゲリラ豪雨に肩を落として、「くそぅ。冷たそうだな」と漏らすと、萩生紅葉が「匠さん、下着も買いました。泊まれますよ」と言った。


「雨です。とても帰れません」


そう続ける萩生紅葉と、朝2人で眠った布団がある寝室を見ると、弱い心はすぐに白旗を掲げてきた。


「いいの?」

「私はずっと待っていましたよ?」


それでも「うん」となかなか言わない俺に、萩生紅葉が「明日の朝ごはんはパンにしますか?」と聞いてきた。


「目玉焼き?」

「はい。匠さんはソース派ですか?」

「うん。でも黄身が硬い時は醤油」

「母さんと同じですね。私は硬い時は塩かケチャップです」


俺は、萩生紅葉と食べる目玉焼きとパンの魅力に負けた事にして、「お世話になります」と言うと、萩生紅葉は嬉しそうに「はい!」と言ってくれた。

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