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第8節:給湯室はオアシス   給湯室をリラックススペースへ改装し始めた凛子。西園寺派による嫌がらせを受けるも、創意工夫と「答えを決めない」心構えで乗り越える。

第8節:給湯室はオアシス   給湯室をリラックススペースへ改装し始めた凛子。西園寺派による嫌がらせを受けるも、創意工夫と「答えを決めない」心構えで乗り越える。


「あら、ずいぶん勝手なことをしているのね」


給湯室に、トゲのある声が響いた。

西園寺紗良部長だ。彼女の後ろには、取り巻きの社員たちが控えている。


私は社長の許可を得て、殺風景だった給湯室に小さな観葉植物を置き、ハーブティーの無料コーナーを設営していた。


「社長の許可は得ております。社員の皆様の福利厚生の一環として……」


「福利厚生? 掃除婦が、私たちの健康を管理するつもり? 烏滸がましいわ」


西園寺部長は、私が丁寧に並べたドライハーブの瓶を指先で弾いた。


「こんな枯れ葉、ゴミと同じよ。……行きましょう」


彼女たちが去った後。

翌朝、私が給湯室に行くと、ハーブの瓶はすべてゴミ箱の中に捨てられ、中身はコーヒーかすと混ざってドロドロになっていた。


「……ふぅ」


私は一瞬、胸の奥が熱くなるのを感じた。怒りだろうか、それとも悲しみだろうか。

だが、私はすぐにその感情を「答えを決めない/保留する」という箱に仕舞い込んだ。

ここで怒りに身を任せれば、私はまたあの「戦い」の渦に戻ってしまう。


「……無ければ、あるもので作りましょう」


私はゴミを片付け、近くのスーパーや自宅から持ってきた予備のストックで、即座に新しいブレンドを調合した。

今ある状況で、最高の結果を出す。それは前職で叩き込まれたスキルだ。


その時、視界の端に「おつまみモンスター」がゆらりと現れた。


『モグ……モグ……』


おつまみは、私が捨て去ろうとした「悔しさ」をパクリと食べた。

代わりに、私の脳内に「枯れ枝から新芽が吹き出す」映像を送ってきた。


「そうね。壊されたら、また新しいものを作ればいいだけ」


私は新しく、より香りの強いブレンドを置いた。

不思議なことに、嫌がらせを受けたはずの給湯室は、前日よりもさらに清々しい空気に満たされていた。

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