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第29節:式典後、負の感情が消えた凛子の前に現れたおつまみモンスター。彼は「命の流れが続く再生」のビジョンを残し、「あなたはもう苦しみから外れている」と告げて消える。

第29節:式典後、負の感情が消えた凛子の前に現れたおつまみモンスター。彼は「命の流れが続く再生」のビジョンを残し、「あなたはもう苦しみから外れている」と告げて消える。


式典から数日後。

私の心は、かつてないほど穏やかで満たされていた。

過去の自己否定も、競争への恐怖も、誰かに対する怒りも、もうどこにもない。


夕暮れのサロンで一人、今日一日の感謝を思い返しながら、いつものように自分用のハーブティーを淹れた。

その瞬間。


『……モギュ』


久しぶりに、**おつまみモンスター**がぼんやりとした輪郭で現れた。

しかし、彼が吸い取るべき「負の感情」は、今の私にはもう残っていない。


おつまみは、私の心をそっと撫でるように優しく触れた。

そして、私に最後のイメージを送り込んでくる。


それは、一粒の小さな種がふかふかの土に根付き、芽を出し、やがて多くの人に木陰を提供する大樹へと成長していく映像だった。

その木の下で、人々が笑い合い、休み、また新たな種を風に乗せて蒔いていく。

「魂の引っ越し型の転生」などではなく、今ここにある「命の流れが続く再生」の美しさ。


映像と共に、私の心に直接、言葉のような感覚が流れ込んできた。


『あなたはもう、苦しみから外れている。あなたの灯した火は、もう消えない。……さようなら』


おつまみモンスターの輪郭が、夕日に溶けるようにゆらりと薄れ、やがて完全に消えていった。


「……」


私の目から、すーっと涙が流れた。

それは悲しみではなく、深い深い感謝と、やり遂げたという達成感からの涙だった。


私は、彼がいた空間に向かって、そっと一礼した。


「ありがとう。……あなたのおかげで、私はここまで来られたわ」

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