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第27節:西園寺が凛子に深く謝罪し、孤立と疲労の苦しみを吐露。サロンの常連となったかつての敵たちも穏やかになり、九条は西園寺の復帰を条件付きで許可する。

第27節:西園寺が凛子に深く謝罪し、孤立と疲労の苦しみを吐露。サロンの常連となったかつての敵たちも穏やかになり、九条は西園寺の復帰を条件付きで許可する。


「森下さん……少し、お時間よろしいでしょうか」


サロンの営業時間が終わる頃、西園寺紗良が一人で訪ねてきた。

その表情は、かつての「第一公妃」と呼ばれていた頃の傲慢さは消え、どこか憑き物が落ちたように穏やかだった。


彼女は私の前に立つと、深々と頭を下げた。


「……あなたを、ただの掃除婦だと見下し、酷い言葉を投げつけ、傷つけたこと……心からお詫びします。本当に、申し訳ありませんでした」


「頭を上げてください、西園寺部長。……お茶でも飲みながら、ゆっくり話しましょう」


私は彼女に、一番優しい味の「カモミールミルクティー」を差し出した。

彼女は両手でカップを包み込み、ゆっくりと口を開いた。


「権限停止の期間中……私、自分がどれだけ周囲から孤立していたか、思い知ったわ。誰も、私を心配してくれなかった」


「……」


「でも、ここに来て、あなたが淹れてくれるお茶を飲むうちに……気づいたの。私がすり減らしていたのは、自分自身の心だったってことに。あなたの『整える』仕事の本当の価値が、ようやく分かったわ」


彼女の目から、また一筋の涙がこぼれた。

出世競争に明け暮れ、他者を蹴落とすことでしか自分の価値を見出せなかった空虚さ。

「苦しみから外れる」ことができず、もがいていた彼女の痛みが伝わってくる。


ふとサロンの入り口を見ると、かつて西園寺とともに私をいじめていたエリート社員たちが、今ではすっかりサロンの常連となり、「今日は肩凝りがひどくて……」と私に相談してくる光景が日常になっていた。

彼女たちもまた、西園寺の姿を見て、複雑な、しかしどこかホッとしたような表情を浮かべている。


数日後、九条社長は西園寺の復帰を条件付きで許可した。


「営業部長への復帰を認める。ただし、これまでのような部下の消耗を招く手法は一切禁止だ。サロンと連携し、持続可能な営業スタイルを構築しろ」


「……はい。必ず、成し遂げてみせます」


西園寺は、サロンに立ち寄り、私に問いかけた。


「教えて、凛子さん。どうすれば……人を、そして自分を壊さずに済むの?」


「難しく考える必要はありません。まずは、今日の一杯のお茶を、しっかりと味わうことからですよ」


私が新しい茶碗を差し出すと、彼女はとても美しい笑顔で「ありがとう」と微笑んだ。

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