第22節:敵も味方に変わる お茶を飲んで涙をこぼす西園寺。かつての敵が心を開き、サロンを手伝い始める。喜びを分かち合う連鎖が生まれる。
第22節:敵も味方に変わる お茶を飲んで涙をこぼす西園寺。かつての敵が心を開き、サロンを手伝い始める。喜びを分かち合う連鎖が生まれる。
西園寺部長は、窓際の椅子に座り、ゆっくりと一口飲んだ。
「……っ」
その瞬間、彼女の目からポロポロと涙がこぼれ落ちた。
「……美味しい……。すごく、優しい味がする……」
彼女は両手で顔を覆い、静かに泣き始めた。
長年、彼女を縛り付けていた「完璧なエリートでなければならない」という緊張の糸が、温かいお茶によってプツリと切れたのだ。
私は彼女の隣に座り、ただ黙って背中をさすった。
「……私、社長に認められたくて……。他の誰にも負けたくなくて、ずっと必死だった」
「ええ。あなたは、とても頑張っていましたよ」
「でも……いつも追い詰められていて、苦しかった。自分を責めて、他人も責めて……」
私は優しく首を横に振った。
「認められるために戦うのは、もう終わりにしましょう。まずは、自分自身を整えることから始めませんか? 『苦しみから外れる』には、武装を解くしかありません」
西園寺部長は、涙で濡れた顔を上げて私を見た。
「……私にも、ここでお茶を飲む資格は、あるの?」
「もちろんです。ここは、誰もが休める場所ですから」
彼女は小さく頷き、カップのお茶を最後まで飲み干した。
数日後。
西園寺部長は、自分の部署の部下たちを連れてサロンに現れるようになった。
「ほら、あなたたちも飲みなさい。肩が凝ってるわよ」
かつてパワハラで部下を追い詰めていた彼女が、率先してお茶を勧めている。
その光景を見て、私はふふっと笑ってしまった。
『モグ……モグモグ!』
**おつまみモンスター**が現れた。
今回は負の感情ではなく、私の「和解の喜び」を美味しそうに頬張っている。
そして、「喜びを分かち合う連鎖」の温かい光のイメージを私に送ってくれた。




