第21節:オアシスの誕生 ついに完成したサロン。オープン初日から社員の心と体を癒やし、こっそり訪れた西園寺にも凛子は最適な一杯を差し出す。
第21節:オアシスの誕生 ついに完成したサロン。オープン初日から社員の心と体を癒やし、こっそり訪れた西園寺にも凛子は最適な一杯を差し出す。
月曜日の朝。
「リラクゼーション・ティー・サロン」がついにオープンした。
広々としたスペースには、自然光が差し込み、ゆったりと座れる木の椅子が配置されている。
カウンターには、数十種類のハーブが入ったガラス瓶が並び、セルフサービスで自由にお茶を淹れられるようになっていた。
入り口には、私が手書きした小さなボードを掲げた。
『今日のおすすめ:週明けの重い体に「ペパーミント&レモングラス」』
最初こそ遠巻きに見ていた社員たちも、奈々さんが「これ、すっごく美味しいですよ!」と配り始めると、一人、また一人と足を踏み入れた。
「……あ、すごい。肩の力が抜ける」
「なんか、イライラしてたのが嘘みたいだ」
温かいマグカップを両手で包み込みながら、社員たちの顔から険しさが消えていく。
肩書きも部署も関係なく、ただ「お茶を飲む人」として、自然な会話が生まれていた。
午後、総務部が実施した簡単なアンケートの結果が出た。
『サロン利用後、ストレス度が平均30%低下』。
数字としても、はっきりと成果が表れたのだ。
夕方、サロンに人影が少なくなった頃。
そっと入り口から覗き込んでいる人物がいた。西園寺部長だ。
私は気づかないふりをして、カウンターで一杯のお茶を淹れた。
「……西園寺部長」
「っ、別に、入りたいわけじゃ……。視察よ、視察」
強がる彼女に、私は湯気を立てるカップを差し出した。
「今日は少し肌寒いですから。カモミールと、緊張を和らげるリンデンフラワーのブレンドです」
西園寺部長はしばらくカップを見つめていたが、やがて、観念したようにそれを受け取った。




