第17節:毒気が抜ける瞬間 凛子のお茶を飲み、張り詰めていた糸が切れる西園寺。凛子の過去の「壊れた」経験を聞き、彼女の中で何かが変わり始める。
第17節:毒気が抜ける瞬間 凛子のお茶を飲み、張り詰めていた糸が切れる西園寺。凛子の過去の「壊れた」経験を聞き、彼女の中で何かが変わり始める。
西園寺部長は、最初は拒絶するようにカップを見つめていたが、やがてその香りに誘われるように、ゆっくりと口をつけた。
「……何これ……」
彼女の目から、大粒の涙が溢れ出した。
鎮静効果のあるお茶が、彼女の極限まで張り詰めていた神経を解きほぐしたのだ。
「あなたは、頑張りすぎて、自分を見失っているだけです。誰かに認められたくて、完璧でなければならないと思い込んで……」
「……うるさい。あなたに何が分かるのよ」
「分かりますよ。戦うと、壊れるから。……私は、壊れたことがあるんです」
私の言葉に、西園寺部長はハッと顔を上げた。
「私は前職で、すべてを犠牲にしてトップに立ちました。でも、心も体も壊れて、何も残らなかった。『苦しみから外れる』には、戦いから降りるしかなかったんです」
西園寺部長は、複雑な表情で私を見つめた。
彼女もまた、自分が壊れかけていることに、薄々気づいていたのだろう。
私は「敵への同情」を感じて戸惑ったが、**おつまみモンスター**がその感情を吸い取り、「人を支える連鎖」のビジョンを見せてくれた。
「……ありがとう」
西園寺部長は、消え入るような小声でそう言い残し、給湯室を去っていった。
彼女の背中からは、あの刺々しい「毒気」が少しだけ抜けていた。




