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War Ensemble/ウォー・アンサンブル ~戦争合奏曲  作者: 改案堂
第二章 Divine Intervention/神の干渉
94/144

094 tr37, fortless/要塞

ーーーーーーーーーー

【AD:1518年】


やっと到着だ。

途中揺れた所為で少し警戒したが、着いてしまえば何ということはない。

着陸方法も頭にインストール済みだし、あとは仲間と合流するだけだ。

ポッドを降り、私物を引っ張り出し、石板を取り出し、表示内容を確認…おかしい。

どうも年代の表示が予定と違う。

あちこち設定をいじってみるが…表示内容自体に問題は無いようだ。

ということは、この1518年という言うのが正しいのか。

一瞬、眩暈で倒れそうになった。


「よおナージャちゃんよお、ここにゃ俺とオマエしかいないみてぇだなぁ!

げへへへ、オメーでかくて生意気だけど俺の女にしてやっからよ、とりあえず服脱げや」

全く、空気の読めないサルだ。

軽く殴って適当なロープで近くの木に縛りつけて黙らせた。


よくよく石板をチェックすると、老人博士たちからと、フセスからのメッセージがあった!

逸る気持ちを抑えつつ、まずは博士たちからの伝言を確認する。

打ち上げの直前に転送先の時間軸を変更したようで、2号機と5号機はこの時代を選択されたようだ。

つまり、フセスとドラクル、私とエテ公の突入ポッドだけが予定より500年近く早く到着したことになる。

地球は常に移動しているから年単位ならば近くに転移できるものの、それ以下だと地中や、最悪の場合は宇宙空間に放り出されてしまう。

500年だと年単位でもその恐れはあったが、今回は大丈夫だったようだ。


吸血のドラクルとサルのエテ公はともかく、フセスがいるのはとても嬉しい!

結局彼とお揃いのチョーカーは、渡すことができなかった。

最後のチャンスだった冬至までは私達四姉妹の取り決めで記憶を一時的に封印していたから、一緒に彼の分のプレゼントも忘れていたからだ。

最後の冬至に、彼には半年かけて作った銀の腕輪をあげた。

最初のものよりうまく出来ている自信はあるが、気に入ってもらえただろうか…

チョーカーはそのまま小箱へ収め、今はまだ手元にある。



さて肝心のフセスからの伝言。

彼は、私達よりさらに4年前にこの異世界へ到着していたようだ。


到着してすぐにドラクルが独断行動したこと。

フセスラフは完全にこの世界で孤立したこと。

この世界の文明は我々の世界に比べて数世紀遅れ、不便な事。

今はホルムガルドという町に滞在している事。

但し私を見つけ次第迎えに行きたいこと。


残念なことに、ここ一年程度の日付の入った伝言はなかった。

マシントラブルでなければいいが、心配だ。

とはいえ現在地がわからないので、まずは到着したとだけメッセージを入れておく。



彼が来て、おそらくこちらを探しているだろうことは解った。

入れ違いになるのも嫌だったので、まずは近隣の施設を接収して生活の空間を作ろう。

突入ポッドは移動の為数百km程度の飛行は可能だが、あまり長距離を飛ぶことはできない。

幸い5号機は通信機材を搭載しているから、レーダーによる周辺の探知は可能だ。

だが充電する手段はない。

早期に判断し、機材は静置する必要がある。


縛りつけたエテ公はそのままに、上空までポッドを浮上させて周囲の情報を取得する。

あった。

北西方面に70km、要塞がある。

人間もいるようだが、それは解決可能だろう。


降下し、木に縛りつけたエテ公を開放して再び持ち運びできる形で拘束、投下ポッドへ積み込む。

何かキーキー喚いているが、聞く気は全くない。

こうなると、ただの煩い荷物だ。

夜間まで待ち、要塞の近くへ移動し、ポッドを下ろす。

煩い荷物は察知されると困るからそのままだ。


決めた。

実物を見たが、堅牢そうな建物じゃないか。

東側に塔、西側は川に跳ね橋をかけ、中央部分は山をくりぬいて居住区にしている。

大きさは…250m x 150mくらいか?あまり大規模だと意地が大変だから、この点も良い。


戦術を練るため、数日間様子を見る事にした。

煩い荷物は排泄物を撒かれると困るので、再び木に巻き付ける。

飲食可能なように片側の手足は自由にしたが、奴の力で私の拘束を解くことはできない。


ありがたい事に現地人の言葉も理解できたので、内情もある程度わかった。

ここはボーフス要塞という、ノルウェー王国の所有物だ。

イェータ川とノルダー川の合流地で、戦はたびたび起こるものの、今は閑散期で気が緩んでいる。


彼らノルウェー人もまた、戦いで物事を決める

領主と司令官を潰せば奪取可能だろう。

建築物を維持するために兵隊は必要だから、頭は潰してあとは使わせてもらう。

SSSRの職員や農奴と同じだ。

それにある程度騒ぎを起こせば、フセスも気が付いてここへ来るかもしれない。

私がこの場所の詳細を知らなくたって、現地人が勝手に私の存在を広めてくれる。



深夜、塔の側からひっそりと侵入する。

花崗岩とレンガでできた壁なぞ、登ってくれと言わんばかりだ。

この時間は見張りも集中力が切れている、どれも音を立てずに気絶させておく。

交代のころ、せいぜい騒ぐんだな。

凡そ自分が偉いと思っている人間は贅沢なつくり、高い場所に住みたがるものだ。

主要設備の上階を目指し、明らかに下の階とは作りの違うエリアに入った。

よし、ここから先は皆殺しだ。


老若男女問わず、待遇の良い寝室にいたものは全て殺した。

見張りの気絶した件を報告しに来た兵隊は、従うなら生かす、従わぬなら同じ目に合わせると宣言した。

単身者が多く、大半はここに残り従うと返事をもらった。


よし、これでこの要塞は私のモノだ。

ここから先暫くは元の所有者、国家とのケンカになる。

私が倒れるのが先か、フセスが現れるのが先か。

ワクワクしてきた。


*2024/08/14:こっそり到着年を修正、AD1518年が正しいです。ゴメンナサイ。

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