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War Ensemble/ウォー・アンサンブル ~戦争合奏曲  作者: 改案堂
第二章 Divine Intervention/神の干渉
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078 tr23, sister demon/極悪姉妹

ーーーーーーーーーー



【AD:2119年, 革命新暦:197年、夏】



あれから半年余り、過去の出来事を置き去りにできるくらいには暑い時期になった。

新年会からしばらく、立ち直るまで皆反応は様々だった。


サルは相変わらず何も考えてない。04の部屋近辺に立ち入り禁止を言い渡され、しょんぼりしてた程度。

ただイニシエーションも外科手術もハードなスケジュールを組まれたようで、選択授業にはあまり顔を出さなくなった。


シスとシャスはあまりサボらなくなった。別々のイニシエーションを積極的に受け、自由時間を合わせて一緒に居るのを見かける。


フーちゃんとナージャはそれぞれ思うところがあったようで、食事自体はこなせたものの、それぞれ人前ではあまり会話をしなくなった。

何処か思いつめた顔でケーにいちゃんとよく稽古をしている。

俺も時々顔を出してるけど、二人とも前より真剣に物事を考えるようになったみたい。


というのも、新年会を欠席したアーちゃんの様子が明らかにおかしかったからだ。

以前は良くナージャと一緒に居てコロコロ笑うのを見かけたけど、今は別人のように目つきが厳しく、笑うこともなくなった。

シャス曰く『アレはイニシエーションの別バージョンで”転移”をかけられたな。記憶だけじゃなくて人格まで、しかも時間をかけないで強制上書きするもんだから、ああやって挙動がおかしくなるんだ』だそう。

以前ロミオさんと取引してた情報の中に、そんな内容も含まれてたみたい。


人格と云えばもう一人の欠席者、メドベージェフも変わった。

理由は判らないけど、ドラクル・グリゴリのコンビと行動を共にすることが増えた。

必然的にリザとも接触する機会が増えるので、それを狙ったのかな。


そのドラクルとグリゴリは平然としたもので、新年会では出された食事をぺろりと平らげ、去り際もむしろ積極的にリザへ話しかけようとすらしていた。


リザは…可哀想に、震える手を抑え、薄く深呼吸し、さも平然としているかのように食事を進めていた。

ドラクルやグリゴリの声は、全く耳に入らなかったが。

戻ってすぐ泣きだしてしまって、その後もしばらくは拒食症のようになり部屋でふさぎ込んでいたけど、ユリアが積極的に部屋を訪れてくれたおかげですっかり自信に満ちた態度で皆に接する…ふりができるようになった。

俺も良く部屋を訪れ、今も話し相手を続けている。

まだ情緒不安定で、独りでいると暴れそうになるみたい。


ユリアは、シャスのお皿を見たときにある程度覚悟はついていたみたい。

平然、とはいかないけれど、さっと口に詰め込み自室へ戻り、すぐにリザの部屋へ向かっていた。

他の04の子との折り合いよりもロミオさんの件を心配したけれど、『初恋は初恋、あの人がどの子と仲良くなってても良いわ。むしろ最期は私の処に還って来たんだもの、幸せだと思わなくちゃ』だって。

ある意味、彼女が一番強いのかもしれない。


俺は…完食したよ。ドベちゃんを。

僕と一緒に、彼女を俺の中へ連れて行った。

皆と一緒とはいえ、これから全く知らない異世界へ行かされる。

身体の中で見ててね、外の世界の事いっぱい知りに行こう。

俺は男でも女でもないけれど、せめて一緒に育った子とずっと生きていこうって決めたんだ。



新年会以降、施設の側で大きな変化がいくつかあった。


誕生日会以外に、夏至と冬至を祝うって通達があった。

一年で一番日の長い日と短い日。

実は所長の誕生日は僕らと同じ日で、今年から少しづつ盛大にして行くらしい。

今俺たちの住む国、SSSRの建国記念やその他国家の祝い事は、どうせ向こうに行けば不要になるから特に何もしないって。

ケチなのか合理的なのか…


夏至はもう過ぎたけれど、その時はお祝いとして豪華な食事とワインが出た。

今回は人間のパーツは使われてない…はず。

リザはまだダメだったみたいで、笑顔を作りながらも青い顔で食べ物をメドやんやドラクル、グリゴリにお裾分けしてた。

アルコールは、俺たち全員免疫系や酵素系をいじられてるから、特に大きく酔って潰れることも…ああ、サルだけは際限なく呑んでひっくり返ってたなぁ。あいつアホだ。

それよりワイン。このタイミングで。

…あの所長の事だ、つまり新年会忘れるべからずと、こう言いたいんだろうな。


そして、いよいよというかようやくアベル様とケーにいちゃんが俺たちの訓練設備にも顔を出すようになった。

授業自体はだいぶ違うみたいだけど、合同で受講可能なものはなるべく一緒に受けるようにするみたい。

タイミングがあからさますぎて、相当気持ち悪い。

それにどうもマリアベル所長に顔かたちだけでなく動作や喋り方も似ていて好きになれない。

俺、あの人大嫌い。


皆表面的にはアベル様を敬愛するように接しているけれど、実際には半数以上の候補生から相当警戒されている。

だって自分は参加してないのにさも『僕はキミの味方だよ。身体も心も壊さないか心配なんだ』って顔でケアしようとするんだもの。

リザとユリアは特に相当まとわりつかれてて、対処に相当苦労してた。

それのおかげでリザは立ち直るのが遅れたといっていいくらい。

あの二人、懲りずに『四姉妹同盟』なんて言って、ナージャまで巻き込んでこっそり転移後の事まで計画してる。


え?俺?一応頭数に入ってるみたい。まーどっち扱いでもいいんだ。

シスは我関せずだし、アーちゃんはもう洗脳済みだから。

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