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War Ensemble/ウォー・アンサンブル ~戦争合奏曲  作者: 改案堂
第二章 Divine Intervention/神の干渉
71/144

071 tr18, chaste flesh/情欲の城

※今回は性描写を含みます、苦手な方はご遠慮ください。




ーーーーーーーーーー

【AD:2118年, 革命新暦:196年、夏】



ここのところ、ドラクルとグリゴリを捲くのも面倒になってきた。

なんであいつら、僕に執着するんだろうね?

リザともっと仲良くしたいなら、本人と直接話せばいいのに…

僕からだと聞いてくれないから、今度リザにお願いしよう。




別棟の渡り廊下と外棟の監視は、結局単独で行動することにした。

前回・前々回とも目撃されたのはお昼頃だし、周期的にはそろそろだろう。

別棟の上の階は、人がいないときに行ったらあっさり登れるのは確認済み。

特に警戒はしていないみたい。

外棟・別棟どちらも4階建てで渡り廊下自体の長さは50mほど、外棟の西側3階と別棟の東側3階をつないでいる。

渡り廊下には窓があるけれど、外棟の西側は一面壁で窓はない。

屋上はいろんな設備が置いてあるのは別棟から見えたし、渡り廊下の屋根へ上り下りして屋根伝いに走れば、往来は簡単だ。


念のためぼんやりしたPCBからセキュリティカードはくすねておいた。

毎日トレーニングで放置されてる時間帯の、今なら上に潜んでてもバレないはず。

何度目かの潜伏で、遂に当たりを引いたらしい。


「よう、これでもう出荷は3回目かぁ。

 1回目は近くでボヤ騒ぎがあって驚いたけど、結局計画は変更なしだったなぁ」

「14グループはあと2回で全員だからな。

 他の03や07はどうするんだろうな?」

「調整に難儀してるみたいだな、03は。

 07は別用途だって、博士共がこないだ引き取っていったよ」

「かーっ、オレはペドフィリアじゃねーからあのチビ助はちょっとなぁ。

 つーかウチの息子がよぉ…」


引き渡しらしき職員たちが会話に気を取られてるうちに、少しづつ窓から内側を覗く。

窓は換気の為か全開だ。

少し先でこちらを背にして14らしき子が二人、焦点の合わない目をしてぼんやりと立っている。

その向こうに職員も二人、こちらは何か端末を覗き込むのに夢中で、こちらに気が付いていない。

セキュリティ全然ダメだろ…

とはいえチャンスだ、窓伝いに扉を抜け、施設の外側へつながる廊下へと身を潜めた。



空調の利いた、ひんやりした廊下だった。

後で抜けることを考え、階段を上へ。

4階に上がるとさらに上へ行ける階段があり、扉は施錠されていなかった。

ここから外に出られそうだ。


こちらの建物はずいぶん広く、廊下も画一的に敷かれているので迷いそう。

外側だけ作ってから内側の用途を考えたんだろうか。

その分標識や案内図があちこちに張ってあるから、きっと職員やここの利用者も間違うことが多いんだろう。

それに1階ごとの高さが僕らの居住棟より高いから、天井と床の間はかなり広い空間がありそう。


そっと階段を降り、4階の案内図を探す。

手近な図面には警備室や研究室、給湯室のほかに、上から紙を貼り『保留室:03』『保留室:04』『保留室:06』『保留室:07』『保留室:08』『保留室:09』『保留室:10』『保留室:13』『保留室:14』と表示されたエリアがあった。

もしかして、これかな。

でもおかしい、僕の知っている番号と法則性が違う。

03,04,07,14の4グループなら今消息不明になってる子のいるところだし、施設に入った頃には06,08,10も見かけたけれど、じゃあ09と13は?逆に数字のない05,11,12はなんだろう?

そもそも保留って、何をしているんだろう…


わっ、階段を上がる足音がする!えーとえーと、屋上の扉前に行く!

…聞き耳を立てると4階で廊下に出たみたい、そーっと鏡を差し出して様子を窺う。

さっきの職員だ。

少し進むと、その職員の走る足音が聞こえた。


ばたばたばたばたっガン!

「またお前か、ほんとに懲りないな!」

「あーあーあー」

「おーい警備、誰かいないか!また03が抜け出したぞー」

えっ僕?来たの初めてだけど、てか誰か来ちゃう?!

「おーまたか、04の部屋に忍び込もうとしやしたかー?」

「ああ、この部屋はもう隣接止めた方がいいんじゃないか」

「まー悪いとも云われてないからそのまんまだったんですがね。

 一人に集中すると不満が出るし、そこの04は03嫌がりますからねぇ…」

「調整しても好き嫌いはあるんだな」

「ある程度は残るみたいッスねー」

「ならばアレだ、たしか03は10を嫌ってなかったか。

 あと09とか13あたりのデカいのだったら怯むかもしれない」

「だーめだめ、もうどっちもガバガバだから大小の違いじゃ意味ねーんスよ。

 それにコイツ両方ついてるから見境なしだし。

 けどそうッスね、確かに10を隣にして隔離すればちったぁマシになるか。

 後で警備主任に提案しときますわ」

「頼むよ。我々も博士達に提案しておく。

 しかし、なぜ未だに鎖にも繋がず放っておくのか理解に苦しむな」

「一応感知式の手錠・足錠はつけてるから、フロアより外に出ることはないっすけどね。

 ある程度検体同士で交流を認められてるとはいっても、ちょっとねぇ…

それはそうと研究者様、本日はどいつと交流をご希望で?」

「ぬ、そう露骨に言わないでもらいたいね。

 今日は04だ、14はさっき出荷したてであまり顔を見たくない」

「へーへー、見ての通り部屋はいつでも使えますから、03連れて行くんで後はご自由に」


「へっ、だから03追い出すですかい、研究者様もお盛んですなぁ。

 おーおーお前もかわいそうになぁ、あっちの詰め所で慰めてやるぜ」

「あーあーあー」




…酷い、なんだここは。

保留室っていうのは、つまり僕ら候補生以外の検体たちを集めておくためのエリアか。

気持ち悪い、今すぐ逃げ出したい。

だけど忍び込める機会はそう多くない。

吐き気を抑えてできる限りフロア・エリアの案内図を手帳に書き留め、屋上から渡り廊下を抜けた。

辺りはもう夕方だった。

これ以上いないのは不審がられるから、一旦部屋に戻ろう…



だめだ、手が震える。

今晩の食事はパス。

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