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War Ensemble/ウォー・アンサンブル ~戦争合奏曲  作者: 改案堂
第二章 Divine Intervention/神の干渉
67/144

067 bonus01, blood sucker/吸血

ーーーーーーーーーー

【AD:2117年, 革命新暦:195年、秋】



何という事だ…

我輩は、今まで一体何をしてきたのか…


シャスチとシスナータッチの所へリザ殿が赴き火事が起こってからしばらく経ち、ようやくリザ殿が皆の前に姿を現した。


絶望が、そこに立っていた。


おいたわしや、リザ殿が大火傷、顔に大きな痣を…

右目と左目の色が違う、腕はまだ治療継続のため固定、そしてあの美しかったご尊顔に…

全部、我輩のせいだ。

我輩とグリゴリはいつもリザ殿を見守り、いざという時のために備えていたというのに。

あのクソ生意気なシティアの時だって、備えるだけで何もできなかった!


夏のボヤ騒ぎの時もリザ殿は我輩たちがこっそり尾いて回っているのを知っていたはず。

でなければ迂闊にデカチビの遊び場なぞ寄らなかった。

身軽に単独であの二人の工場へ行ったのに、事故で助けることができなかった。

フセスラフの犬野郎に引き留められたせいで、安否の確認すら取ることができなかった…

全部、犬野郎のせいだ。

情けなくて、悔しくて、眠ることもできない。



リザ殿は復帰後、妙に優しくなった。

我輩やグリゴリだけでなくメドベージェフ達にも声をかけるし、ユリアとも親しげだ。

他の連中とも、自分から声をかけて談笑する機会が増えた気もする。

だが・・・なんであろう、この疎外感。

ただでさえ気に入らないシティアのチビ助と距離が近い。

なんだあのリザ殿の顔…ま、まるで恋する乙女の様ではないか!


我輩やグリゴリとの時間は減りつづけ、もはや授業しか顔を合わせてもらえない。

シラバスは変更できないが、イニシエーションを増やしてもらい役に立たねば、見捨てられてしまう!

「残念だけど、イニシエーションの予定を変更することはできないわ。

 他の子も志願してるけど、その前の自主学習が大事なのよ」

たまたま通りがかった老婦人の学者に懇願した。

「だけどそうね…あなた06グループだったかしら?

 もしかしたら機能追加の依頼が出せるかもしれないから、聞いておいてあげましょうか。

 貴方、生物学に関する知識はあるかしら?」

「はっハイ!昆虫は大好きであります!」

「そう、生物としての昆虫を足掛かりに、生物学を学ぶといいわ。

 あと、公衆衛生学と生理学、心理学ね」

「ハイ!ありがとうございますであります!」




「ねえおじいさん、さっきちょっと面白い子に声を掛けられたわ」

「なんじゃ?珍しい。ばあさんはあまり子供たちに興味ないかと思ってたら」

「あら、失礼しちゃうわね。私なりに見守ってはいるのよ。

 それでね、06のドラクルくんに『我輩は強くなりたい!』って言われちゃって」

「んむ?たしか06は内務じゃから経営や経済、行政運用をメインに学んで、体力面はそうでもなかったか?」

「そうなの、でも先日のボヤ騒ぎ、あれで憧れの子を護れなかったのが辛かったなんて言ってて。

 『我輩はいつでも!どこでも!どんな時でもリザ殿を護りたいのですぞ!』と熱く語られて、久々に熱意に押されちゃったわ。

 若いって、いいわねぇ」

「また酔狂なことを…そうはいっても、これから体力を上げたり反射神経を取り換えるなぞ無理じゃろうに」

「ええ、だから追加の新機能として、『寄生生物』を付与しようと思って」

「どういうことじゃ?」

「体内で生物を飼って、有効利用するのよ。

 彼本人に有用な機能はないけれど、向こうの世界で農奴の様な使い勝手の良い手駒を増やすような生命体ね。

 例えばドラクル君の消火器内でその生物を育成して向こうの人間に寄生させれば、隷属してある程度の高次機能を持たせた奴隷を作成できるような。

 そうすれば、彼自身はヴォルケインくんやメドベージェフくんのように個人で強力な戦闘力を持たなくても、数の力で彼の希望を果たせるかもしれないでしょ?」

「またエゲツナイことを考えるのう…そうはいっても、まだ発案段階じゃろ」

「ええ、でもアテはあるの。これから上申書をだして使用可能設備もピックアップあいなくちゃ、忙しくなるわよ!」

「ばあさんも、好きなことにはまっしぐらじゃからのぅ…」


ーーーーーーーーーー

【AD:2117年, 革命新暦:195年、冬】



「できたわ!会心の出来よ!」

「おお、ばあさんや。最近見ないと思ったら」

「聞いてちょうだい、この新生物!

 回虫をベースにしたんだけど、女王虫を体内に常駐させて鉤虫様の子虫を対象者に寄生させることで、ある程度の依存性を持たせるの」

「それだけじゃ、全然隷属せんじゃろ」

「ここから先がミソなのよ。

 その鉤虫は、一定周期で女王虫の分泌する成分を経口摂取したうえで、主食を人間の血液に頼らせたり、特殊製法の薬物で抑制させないと、体内で異常増殖したり苦痛行動をとらせるよう設計したわ。

 女王虫の方も体内で単為生殖させれば、世代交代で彼の寿命まで持たせることができるわ」

「なるほど、共生関係?みたいなもんかの。直ぐに投与かね?」

「いいえ、女王虫の住環境を整えたり彼以外のメンバーには免疫付与したり、何より彼自身への知識授与が必要ね。

 寄生生物自体も農奴で薬研しないと狙った効果が出るかどうか、狙っていない効果があるかどうか調べないといけないもの。

 その辺は追々で、転移前までには仕上げる感じね」

「うむ、他のメンバーにもいろいろ出てきそうじゃからな。

 あのずんぐりむっくりも何やらムニャムニャ云っておったし、まだまだ休まることはなさそうじゃの」

「グリグリくんね、彼も同じようなこと言ってたかしら?」


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