056 tr06, the pit and the pendulum/くぼみと振り子
※すみません、引き続き今回も性的表現を含みます。
苦手な方はスルー推奨です。
ーーーーーーーーーー
【AD:2113年, 革命新暦:191年、春】
「…ごめんなさい、もう平気。ちょっと動揺しただけ」
上の方から、少し怒り顔のユリアがのぞき込む。
「そんな訳ないよ、あんなに取り乱したシーちゃん初めて見たもの。
私達会ってもう1年近く、親友だよ。苦しい時は頼って欲しいよ。
私の時だってスエミさんやトゥリナさんの間に入ってくれたのシーちゃんだし、他のグループの子達もこっそり助けてるのも知ってる。
私は、どんな時でもシーちゃん好きよ」
「…ごめんね、心配かけて。
ドベちゃん帰ってきたらうるさくしちゃうから、ユリアの部屋に行っていい?」
「もちろん!気兼ねしなくていいわ。
シャワーも付いてるから、着替えも持って行きましょう」
「よく見たら傷だらけじゃない、手当てするからそこに座って!」
シャワーを浴び、タオルを巻き、ベッドに座らせてもらった。
「さっきの泥だらけの服といい、もっと自分の事を大切にしてね」
「うん…ねえ、ユリア。
見て。
僕、いや私なのかな、私は欠陥品なのかな。
僕、男性と女性、両方あるんだ。
ドベちゃんも両方あった。
さっき、走って帰って来たでしょ。
見たんだ、ドベちゃんを。
別棟で、何人もの子達と性交に耽ってた。
14の女の子達もたくさん居たけど、アベルさんに相手にして貰って嬉しそうだった。
ドベちゃん前から女の子ぽかったし、アベルさんに憧れてたみたいだけど…恋すると変わるのかな。
なんだか、怖くなって逃げちゃった…」
「…ね、私の裸も見せてあげる。
私達、まだ子供でしょう?
でもね、04の子達はもう男の人を受け入れる準備が出来てるの。
14の子達はわからないけど、グループ毎に役割があるってDDTに聞いたわ。
04はね、きっとそういう風にできている。
03の子はきっと男の人と女の人、両方から愛される様に出来てると思うわ。
ドベちゃんは身体を愛されてたのかな。
シーちゃんは皆から心を愛されてる。
だから、シーちゃんは両方でもどっちでも良いの。だってシーちゃんはシーちゃん、今までと何も変わらない、私は貴方が好きよ」
「う…うう…うえぇぇぇん」
朝、二人で食堂へ行くと、何事もなかったかの様にドベちゃんが居た。
いや、正確には、今まで無かったような柔やかな表情で14グループの子達と食事していた。
14はその集まりの他に少人数の集まりがあって、グループ内で分裂してるように見えた。
昨晩の件は、見間違いじゃ無かったんだろう。
ふと、ドベちゃんと目が合った。
嫌な笑顔で、目を逸らされた。
…なんか、解っちゃった。
僕はドベちゃんと近すぎたんだ。
ずっと一緒だったから、彼女と自分は同じみたいに考えてた。
僕とあの子は違う。
僕が居なくなると、ドベちゃんは辛いと思ってた。
僕はドベちゃんとずっと一緒に居たいから。
けれど、もしかしたらドベちゃんは、僕が居なくなっても苦しいどころか、喜ぶかも知れない。
だって、ドベちゃんは僕のいないところで、僕の知らないことを体験することで、僕より上に行ったと思ったみたいだもの…
ピャーちゃんや他の03の子達と同じ、みんないつか居なくなっちゃう。
僕やドベちゃんも、もしかしたら。
僕は…それでも僕じゃない誰かが居なくなるのは、やっぱり辛いなあ。
ドベちゃんには嫌われちゃったかも知れないけど、それでも僕は彼女のこと好きでい続けたい。
もちろん隣に座ってくれた、ユリアも。
「ドベちゃん、元気そうね。良かった。
14の子達も一緒に居るし、悪いことが起きた訳じゃ無いのかしら」
「ごめんね、大騒ぎして。
僕の勘違いだったかも、アハハ」
「シーちゃん、ダメよ。私は謝られることなんてされてない。
こういうときは『ありがとう』って言ってくれると嬉しいよ」
「…うん、そうだね。昨晩から謝ってばっかりだったかも。
いつもありがとうユリア、大好き」
「やーん、シーちゃん可愛いー!
やっぱり昨日、勢いで押し倒しちゃうべきだったわ!」
「やーだよーだ!
僕こう見えても逃げ足はイチバンだもんねー!こちょこちょー!」
「きゃーくすぐったーい」
「…相変わらずイチャイチャしてるわね、朝から元気な事で」
「そこのダリヤんトコにも、金髪チビ増えたじゃない。
あいつら今日朝帰りでしょ、何やってんだか」
「しかも決まって変な匂いを染みつかせて戻って来るのよね。
あれ、リザからも注意してあげたら?」
「嫌よ、なんでダリヤなんかの為に何かしてあげなきゃ…あ、良いこと思いついた」
「悪いことでしょ?」
「うっさいわね、ちょっと他の子達をけしかけるだけよ」
「ほーら、リザ悪い子ねー」
「何言ってんの、アンタも動くのよ」
「えー面倒い、パス」
「そう、じゃこないだメドベージェフにラブレター手渡ししてたの、皆にバラしていいわね。
せっかく向こうにも廻ろうと思ったのに」
「げ、なななんで知ってるのよ?!
…ヒミツだからね、ドラクルとかグリゴリに見つかると五月蝿いんだから」
「はいはい、そんじゃ行くわよ」
アベルのやつ、手を出すの早かったな。
しかもソレ用の04でなく、副官候補の14か。
とはいえ候補検体の大半は新型農奴行きだ、好きにするといいさ。
おいたが過ぎれば、食堂行きだがな。




