054 tr04, time waits for no one/時は何人も待たず
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【AD:2112年, 革命新暦:190年、春】
10才の誕生日。
先月、ビャーちゃんは突然お股から血を流して、報せで駆けつけたDDT達に処置室へ連れ去られた。
こっそり後を付けたら、初潮が、とか、失敗だ、とか、色々騒いでたのが聞こえちゃった。
どういう意味だろう、僕ら男の子じゃないの?
確かに最近、ちょっとだけ胸にしこりがあって痛いけど…
でもちゃんと付いてるし…
うーん、なんでだろ。
それより、今日は誕生日パーティの後にお引っ越し!
今晩から他のグループの子達と同じ建物で生活するんだって。
ビャーちゃんは残念だけど連れ去られてから戻れた子は居ないもの、仕方ないよ。
他のグループの子達はいっぱい遊んでくれるかなぁ、楽しみ。
ここはもうドベちゃんと僕しかいない、寂しくなっちゃったからね。
あ、でもデザートは分けてあげないよ。
今日は10才の誕生日です。
5才の誕生日会は、白衣の不思議なおじいさんから「キミはこれからリプニツカヤちゃんじゃ!」と突然言われ、上手く返事出来なくて怖くて泣いてしまい、愛称でユーリャと呼んでもらったっけ。
以来、私の名前はユーリャ。
結構気に入ってるんですよ。
私は04と呼ばれるグループと一緒に生活しています。
小さかった頃はたくさんの女の子達と暮らしてたのに、今はスエミさんとトゥリナータッチさんと私の3人だけ。
二人は仲良しだけど、私は何かと置いてけぼり。
でもいいの、DDTのロメオさんは優しいし、一人で本を読むのも好きよ。
ロメオさんは素敵な男性で、私のことたくさん褒めてくれるの。
今晩から違う場所に住むって聞いたけど、ロメオさんも居るといいな。
「よく集まってくれた同志よ、私はこの施設の責任者マリアベル・アレキサンドロヴナ・ウリヤノフだ。
気軽に所長とでも呼んでくれ。
残念ながら多忙で、常に居るとは限らないがな。
さて諸君、君らは無事10才の誕生日を迎え、この中間訓練所に至ることが出来た。
君らはいづれ更に選抜され、特別な任務に就いてもらう。
それまでに皆存分に切磋琢磨し、祖国の為に尽くして欲しい。
以上だ」
綺麗なお姉さんだ、眉間のしわと真っ赤な唇はおっかないけど。
前に図鑑で見た軍人さんみたいな格好で、大きな胸には溢れそうなくらいたくさんバッヂが付いてた。
ひとつもらえないかな。
あ、所長さんの後ろにおじいちゃん博士とおばあちゃん博士も居た!
ちっちゃく手を振ってみよ、あ、気がついた。
嬉しいな、またアメちゃんくれるかな。
他の軍人さん?もたくさん居たけど、僕ら子どももいっぱいだ。
全部で50人くらい?
大きい子と小さい子は少ないけど、中くらいの子は多いかな。
ここは講堂だから、これから移動して自分たちの部屋に行くんだって。
それぞれのグループは似た背格好だね…おっと、隣の女の子が他の子に足引っ掛けられて転んじゃった。
みんな避けて…足引っ掛けた子なんてクスクス笑ってる、何かやな感じ。
転んだ女の子が可哀相だから助けてあーげよ。
「大丈夫?ぶつけて痛いところはない?」
「あっ、あありがとう…あの、えっと……ううん、大丈夫。
ちょっと立ちくらみしたみたい」
「良かった、僕は03のシティア。
困ったことがあったら、相談にのるよ」
「う、うん…私はユーリャ、04なの」
「そっか、じゃあお隣さんかな?これからよろしくねー」
「は、はい。あっ、みんな行っちゃう、またね!」
「はいよー、おやすみー」
手足も長いしすごくキレイなのに、元気なかったな。
お腹空いてたのかな?
もう、こんな時までいじわるなんだから…。
でもシティアちゃんか、ちっちゃくて可愛くて親切な子が近くにいて嬉しかった。
男の子か女の子か判らない不思議な子だったけど、仲良くなれると嬉しいな。
私、かわいいの大好き。
新しく割り当てられた先は、狭いけれど専用の独り部屋。
今までは大きくて皆と一緒の部屋だったから、ずっと図書室に籠もってたの。
他の人の居ない部屋で試したいこともあったから、ちょうど良かった。
ウフフ。
「ユリアおっはよー、隣いい?」
「は、はいっ。…一昨日はありがとうございます。
ユーリャですよ」
「ユリアこそ大丈夫だった?部屋で突かれてないかなーって」
「いえ、私たちのグループは個室みたいで、特には…
シティアさんの処は違いましたか?」
「うん、うちはドベちゃん、もう一人と相部屋。
今までと変わんないから、気楽でいーよ」
「グループ毎に違うんでしょうか…それより昨日は大変でしたね」
「ねー、数字で名前付けるもんだから重複してさ」
「04のスエミさんは7、トゥリナータッチさんは13だけど、大丈夫だったみたいです」
「うちのドベちゃん12だけど、こっちも平気。
10グループや14グループは大変だったみたいねー」
「それより、シティアさんこんなにたくさん食べるんですか?
あすこの大きい人並みじゃ…」
「むしろユリアこそこんな少しで大丈夫?
大きくなれないよ、てゆうか座る位置近すぎないかい」
「え、くっついてた方が暖かくて良くありません?」
「そんならくすぐっちゃうぞ!ほれほれーっ」
「きゃーくすぐったいですー」
「…なにもうイチャついてんのあいつら、早すぎない?」
「それよりウチらの14グループ、一番多くない?天下取れちゃう?」
「なに言ってんのアンタ…直ぐにふるい落とされて、生き残るのはどうせ独りだけよ」
「もしかしたら全体で14人になるかもでしょ?
実際もう単独になったグループも幾つかあるみたいだし、そういうの蹴落とせばイケるんじゃない?キャハッ」
「…まあ、好きにしなよ。アタシは参加しない」
「もーリザったら付き合い悪いんだからー。
じゃあアタシ達だけで独占しちゃおっかー!」
「「「おー!」」」
「どこからヤっちゃう?」
「そーねぇ…あいつどう?あの、でっかいハゲの隣の。
なんか弱そうだし」
「いーねぇ、アタシら10人で囲っちゃえば軽いっしょー!」
「あすこの連中、なんか面白そーな相談してるッキャね」
「俺らもいっちょヤっちゃう?」
「ヤっちゃうーッキャ!」
「なんだよそのキャって。エテかよ」
「あのデカ女、気ぃ弱そうじゃね?
サルみてーにキャッキャ言ったらビビんねーかと思ってwww」
「へっ、趣味わりーな。でもま、手頃だな。
あのデカ女いびってやろーぜ!」
「なにお前リーダーぶってんだよ、ボスザルか!」
「あー俺がここの施設全体のボスにのし上がってやんぜ!
そんで所長オトすwww」
「チョーシのってんなーwww
そんならさっさとメシ終わらせて、サクっと行こーぜ!」




