表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
War Ensemble/ウォー・アンサンブル ~戦争合奏曲  作者: 改案堂
第二章 Divine Intervention/神の干渉
53/144

053 tr03, innocent/無垢

ーーーーーーーーーー

【AD:2110年, 革命新暦:188年】


8才の誕生日会。

もう残ったのはピャーちゃん、ドベちゃんに僕の3人だけ。

皆体のぐあいがうんと悪かったり、お勉強の点がうんと悪いと処置室へ連れてかれて、それっきり。

でも僕なんてテスト終わったら抜け出してあちこち行ってるのに連れてかれないんだぜ、いいでしょ?

DDTには相変わらず怒られるけど。


5才の頃にシティアと名付けてくれたおじいちゃん博士、おばあちゃん博士の会話を今でも覚えてる。

僕らはグループ分けされてて、ここで残れるのは一人だけ。

けれどまだ時間はある、いっぱい抜け道探して、どうにかココから逃げちゃうもんね。

ピャーちゃんかドベちゃんを選んでもらって、みんな生きてて欲しいもん。


誕生日会で、初めて3人にそれぞれのプレゼントをもらった。

なんか、箱?

大事な物入れとして使えだって、いつもDDTは説明が足りない。

ただの箱なら自分でも作れるのに、これは特別製で、トーロク?した人しか開けられないんだって。

DDTとピャーちゃんとドベちゃんといっしょにトーロクした。

自分の名前のある箱しか開けられない!

すごい、どうなってるんだろ?

あとで図書室行って調べよう!

…でもお腹すいたから、チュウボーの後かな!



「おじいさん、何年か前に03で名前付けた子の事、覚えてます?」

「お?お、おお…アメちゃんあげた子だったな、ズブロッカちゃんだったかな?」

「もう、お酒呑み過ぎですよ…すっかり忘れて。

 シティアちゃんの活動報告、職員が気を利かせて毎月来てるんですから、見てあげて下さいな」

「そうは云うが、他のグループの子らのもあるし…誰かまとめてくれんかね」

「完全に自業自得ね、ほんとにもう。

 そのシティアちゃん、素行に問題はあるけれど成績は優秀みたいよ。

 他の名前を付けた子達も順調に育っている様だし、見る目はあったのかしらね」

「職員共の欲目もあろうがの。

 そろそろ幼児発達期も終盤、次は集団生活による能力開発じゃな。

 ばあさんの方は遺伝子操作とインプラントはひと段落じゃろ、ヒマになったんじゃなかろか?」

「何を言ってるんですか、これからが本番ですよ。

 論文としてまとめたり発育の進捗チェックもありますし、なによりDNAゲノムマップ刷新の作業が待ってますからね

 こういう時部下を育てて良かったと思いますよ。

 おじいさんの進捗はいかが?」


「よくぞ聞いてくれた!

 例の人権云うとった連中、民主主義?が中心の平衡世界軸の連中な。

 身体ごと転送された転移者と新生児に脳情報の書き込まれた転生者以外に、転写とでも云うべき第三の症例が幾らも居ったわ。

 新生児に転生があるんじゃから成人にもあるじゃろ、と探したら案の定じゃ。


 その転写者な、自分は病床で死ぬ間際だった者、日常生活の最中だった者、トラック?乗り物で轢かれたと言う者もおったわ。

 ルスキ語を話せるもの、日本語?皇国語の様な言葉しか話せないもの、転写前の農奴の記憶のある者にない者、健常に身体を動かせる者にやたら転んだりあちこちぶつかる者など、バラエティ豊かじゃったよ。

 貴重なサンプルじゃ、脳に直接電極はツブシが利かんからの、外側から情報を抜き取る方法も開発したわい。


 他の献体と並行してシナプスの階層分布解析に使えば、マリアベルのオーダーした人格移植の参考になりそうじゃ。

 比較検討可能な素材なぞ、望んでも手に入らんからの!」


「…おじいさんたら、相変わらず興奮すると話が止まらないんだから。

 脳分布解析なんて専門外もいいところですし、部下達ともちゃんと議論するんですよ?」

「う…もちろんじゃ!プレゼン資料も作らんとな!ああ忙しい」

「…シティアちゃんの報告書、ちゃんと読むんですよ?」

「う……わかったわい」

「これはダメね、私の方からマリアベルに掛け合って脳神経科学の専門家を引っ張ってこないと。

 それに名付けした子たちの報告も、担当官つけましょ」



「準備は全部で30年、これ以上は私が待てない。

 大半を場所と地位の入手にかけてしまったが、まだ12年ある。

 日程同意した豚は革命新暦の記念式典で使いたいのだろう、政治とは気長なものだ。

 立ち上がってしまえば施設の方は順調だ、教育の手間は面倒だがこちらも仕込み甲斐がある。

 03グループか、博士共のお節介で名付けなど始めて何事かと思ったが…優秀な個体を持ち出さない、良い口実になった。

 残った子らには、アベルに従わせるための精神教育も必要だな。


 それよりツングースカだ、見込みより埋蔵量は少ないかも知れん。

 他国家の所有物ならいざ知らず、我がSSSRでは絶対的に魔石資源が不足する。

 外交取引では秘密を洩らしかねないし、どうするか…


 …まあいい、政治と予算は豚預かり案件だ。

 引き続きヤツには踊ってもらおう。

 既に廃棄予定だったバイオロイドを『新型農奴』と銘打って何体か渡してある。

 ヤツは変態だが、政治手腕だけは認めてやらんでもない。

 次期国家元首候補たるもの、どっしりと構えてもらわねばな」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ