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War Ensemble/ウォー・アンサンブル ~戦争合奏曲  作者: 改案堂
第一章 War ensemble/ウォー・アンサンブル
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002 tr02, start!/はじまり!



・・・だから目に直接血が入ったのか、納得。

ちなみに鼻毛はあった。


他に着衣もないので、手持ちの貫頭衣とズボンをよく手洗い。

もう乾いちゃったから血糊は取れないだろうが仕方な・・・あれ、取れる。

転がったのに破れも見られない。

何だこりゃ。

手触りは麻布っぽいけど、何か新素材的な?魔法素材的な??

袖は破いて止血として額に巻いたけど。

細かい傷は放っときゃ治る。

髪の毛はないけど。



さて身体も動くようになったし着るものもさっぱりした。

投げ飛ばされた以外に何か手掛かりはないものか。

・・・うーん、何もないな。

気の利いた冒険者セット的な道具とは言わねぇ、だがサイバイバルの知識なんざそうない。

いきなりハードモードかな?


まだまだ体中痛いし、もう夕暮れ時だ。

激突した大岩、脇に回るとちょうど岩がオーバーハングして洞のような形になっている。

他に宛てもなし、周囲の岩をかき集めて入口を作り、中に枯れた雑草を敷いて一晩過ごそうか。

姿が見えないだけで獣はいるだろうし、血の匂いを嗅いで何か来るかもしれないし。



――――――――――



眠れなかった。ウトウトはしていたかも。

だが額の傷が熱を持ち、意識が遠のく辺りで狼の遠吠えらしき声?や、何かをまさぐる音で目が冴え、結局一晩中まんじりとも出来なかった。


転生前の50がらみのオッサンと違いこの身体は若い、一徹くらいじゃビクともしない。

眠気よりも額の熱がつらく、夜が明けてから度々あて布を川の水に浸し、冷やした。


次の日。

昼頃フラフラと川原の岩に座り、魚群を眺める。

そういや腹減ったなぁ、昨日から水くらいしか口にしてない。


じっと魚を眺める。

・・・なんとなく、本当になんとなくだが、尾ひれを翻す瞬間、魚の背びれ下あたりで何かが散った気がした。


気のせい、かもしれない。

尚も観察。

ほんの僅かな泡のようなゴミのような、ノイズだが確かに何か見える。

どうやら魚が動くタイミングで、動かす場所にそのノイズは発生するようだ。


他の生き物は・・・ああ、一番手近にいるじゃん、自分。

右手の前腕部にグッと力を入れる。

おお、なんかノイズが飛びまくってるな。

しかも肘から手首にかけて、ビリビリビリっと流れていく。

血流か?神経伝達?それとも筋電位差でも見えてんのか?


じゃあこれはどうだ?

肘を曲げたまま、上腕二頭筋にグググーッと力を籠める。

おーおー、なんかビリビリ見える。それに何か感じる!

肘の腱のあたりに何か溜まっていく、うわなんか気持ちわるっ!

思わず手を振る。


バチーーーン!


ひぇっ、ななな何?

で、電気出た?それとも魔法か??

水面で魚が白い腹晒して浮かんでら・・・

マジか、チートかな。



――――――――――



腕だけでなく(首から上を除く)全身を使い、また目につく限りのもので検証。

どうも骨格筋とノイズ・・・蓄電・放電は連動してるっぽい。

相手が導電体、水みたいなものなら数m程度離れた場所でも電気は届く。

絶縁体、木や石は触れてないとダメ。

自分の右手と左手で電気を循環・蓄電できるみたいだけど、遮蔽物があるとそっちに行く。

どこに蓄電してるか不明だけど、感覚的には通電してる辺りの皮膚の下、筋肉。

水に手ぇ突っ込んで放電すると自分も感電するwww

金属は手元にないので磁力はワカラン。

あ、でも北の方向はいつでもすぐわかる。


そうと判れば話は早い、指先にギュッと力を込めて枯れ枝に火をつけちゃえ。

これで焚火出来るし焼き魚もイケるな。

やったぜ!



しかし、どうやって体内方向への通電から自分の身を守ってるんだろう。

身体感覚といい感電対策といい、元々この身体に備わった能力なのか?

ステータスは見えないけど、魔法の力で翻訳とかしてくれるのかしら。

神様とか居たら首根っこひっ掴んで事情聴取しないと。


目の前にないものに文句言っても仕方ない。

とりあえず地道に枯れ枝や落ち葉を拾い焚火の準備、先ほどと同じ手順で魚を獲り回収。そこそこ大きいマスですね。

夜の帳を迎えるころには、すっかり山になった木の枝と10匹近い食べ残しのマスがありましたとさ。



――――――――――



・・・やっぱり、サバイバルの素人はダメだね。

明け方に襲撃されましたよ。クマに。焼き魚の匂いに誘われたらしい。

岩穴で頭抱えてウンウンうなってた時だったので、向こうも干渉せず食うもの喰ったらさっさといなくなってくれて助かった。

食べ残し、良くない。



次の日の朝。

額の血はひとまず落ち着いたようだ。

痛みはともかく、無理しなければ血は吹き出なさそう。

血糊のつかない袖布に薬効でもあるのか、巧い具合に繊維が絡まったのか見事に固まってた。

とはいえ、まだ2晩しか経ってないのに異常じゃね?


ちょっと怖いので額の当て布はそのままに、打ち身・擦り傷の痛みはマシになったので身体を動かす。ラジオ体操だ。

むしろ関節を動かさない方がダリぃ。


うん、快調。

非常にパワフル。そして素早い。

いろんなこと試してみたいが、激しく動くとアタマ痛いので慎重に。

とりあえず降ってきた方向の森の中へ分け入って探索してみようか、今度こそ冒険者セットよこせ。

朝も漁獲したが、塩なしのマスは美味しくない。



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