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War Ensemble/ウォー・アンサンブル ~戦争合奏曲  作者: 改案堂
第三章 Diabolous in Musica/音楽に潜む悪魔
113/144

113 tr13, shadow out of time/時の影へ

「うふふ、予想通り。

 だから言ったでしょう、オオカミは恐れられてるのよ。

 ただでさえ定期船だと羊や他の家畜もいる、乗客もたくさん乗るの。

 そのうえあなた達、全員かなりの大きさだって自覚はある?

 多分船のチャーターも嫌がられると思って、ちょっと手助けするためにこっちへ戻ってきたのよ。

 タイミングは偶然だけどね。


 さあ、もう今日は遅くなっちゃった。

 ここに泊っていくといいわ」

いつの間にか集まっていた警備兵や門番たちを尻目に場内へ入っていく馬車と護衛達。

じゃあお言葉に甘えて、二人と二頭で場内へお邪魔します。



――――――――――



「良かったわ、あの警備の集まり具合だと不審者扱いされる手前だったかも。

 この辺も他の地域より巨人族を見る機会が多いけれど、警戒の対象なのは変わらないわ。

 何よりタロちゃんとジロちゃんよ。

 案外神話を信じてる人たち、いるからね」

「うーん、でもなあ」

「分かってるわよ、あなたお人好しだけれど言い出したら聞かないものね。

 息子にお願いして、モーレイまで行かれる船と人を準備させましょう。

 オスロに寄らないとなると小さな船で出発になるけれど、いいでしょう?」

「済まない、世話になりっぱなしで…」

「あら、誰かに教わらなかった?

 こういう時は『『ありがとう』だ』よ」

ははっ、敵わんなぁ。


「初めまして、領主代行を務めておりますニクラス・フォルケ・エリクソンです。

 母リプニツカヤから船の融通を依頼されまして…確かに皆さま、大きいですな」

「はじめまして、オレはケイン。巨人集落の出ではないが、用があってモーレイに行きたい。

こちらはヨルグ・ミカ、案内兼里帰り。オズモシス商会に勤めてる。

 後ろのハイイロオオカミは黒いのがタロ、白いのがジロ」

「とても普通には見えませんが…でも、事情は母からも聞いております。

 海の男は信心深いものも多く、頑固です。

 あのオオカミたち…私達には、伝説上の魔物に見えます。

 それがあなた達巨人といるとなると…畏れを感じるのでしょうね。


 我々も近隣国家として、あなた達巨人を何名か雇用しております。

 彼らの一部が休暇申請していますから、客人警護の名目でモーレイまで警備兵を送り込み、休みを取らせることにしましょう。

 準備に数日かかりますが、これが一番確実でしょう」

「ありがとう、とても助かる」

「では早速手配しますから、その間はここボルボ城に逗留すると良いでしょう」


「ケインさんよかったわね。

 うちの子、優秀でしょう?

 遺伝だけじゃなくて、ちゃんと教育も施しましたからね」

「スヴェリエ王国がバルトの盟主なのも納得できるわ。

 全くSSSRの工作員は化け物揃いだな…」

「あら、そんなに褒めても宿題しか出ませんよ?

「ごめんなさい」



「俺の名前はミハイル・エイモット」

「俺はクリストファ・エイモット」

「「二人そろってエイモット・ブラザース!」」

「なんでブラザーだけリアタ語なんだ」

「「かっこいいだろう?俺たちゃ博識な海の男だからな!」」

「しかし巨人で双子は珍しいな、初めて見た」

「「息ぴったりだからな、漕ぎ船の操船にゃぴったりだ」」

「え、乗組員2人とオレたちだけ?」

「「そう、今回は大型のフェーリング船だ。

漕ぎ手が巨人四人で、帆をかけられる仕様だから10日間もあれば付く」」

「マジか」

「「この時期なら天気も良い、これから早速訓練だ。行くぞ!」」

ユリアの近くにゃなんでこうスパルタな奴ばっかりなんだ。

たった数日なのに手の皮むけまくりだぞ…


ぼやいているうちに準備も整い、海路を北へ。

暖かい春を日差しを受け…るどころじゃない!なんだこの時化具合!

オレたちを拒否するかのような大荒れの海原に、もはや雨なのか海水なのか判らん位の浸水。

当然帆なんて掛けられるわけもなく、タロもジロも船のロープにしがみつくのに必死、我々四人はずぶ濡れで懸命にオールを回す。

「おい!こんな日に船出して大丈夫なのかよ!」

「「ヘーキヘーキ、俺達にゃそよ風だぜ」」

「マジかー!」


距離も方角もへったくれもない無茶苦茶な航行かと思ったが、そこは領主代行の推薦する双子の巨人。

なんとか小屋のある、接岸できる海岸までたどり着くことができた。

「「ふー、死ぬかと思ったぜ」」

「お前らが言うか!」

「「いやこの時期あそこまで荒れるのは珍しいんだよ。

 しかも一番海岸から離れた辺りで急に。

 だが俺たちにかかりゃホレこの通り、全員揃って目的の休憩小屋まで来られただろ」」

「はぁ、もう怒る気力もねえ…

 タロ、ジロ、火ぃ焚いたからお前たち身体乾かせ。

 ヨルグもお疲れだったな、とりあえず今日はここで寝てもいいんだろブラザース?」

「「ああ、ここはまだスヴェリエ王国内だから平気だ。

 そこらの備品も使っていい。

 それよりお前、魔法使いか?どうやってそんな直ぐ火を熾せた?」」

「へへ、秘密だ。魔術か、奇術かもしれないな。

 それよりあとどのくらい行くんだ?

 それに、まさか休憩したらこの嵐の中出て行かないよな?」

「「まだ半分も来ていない。

 様子は見るが、あまりに収まらなければ船を担いで海岸沿いを移動するぞ」」

「マジか」

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