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War Ensemble/ウォー・アンサンブル ~戦争合奏曲  作者: 改案堂
第三章 Diabolous in Musica/音楽に潜む悪魔
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108 tr08, back on track/軌道に戻す

私たちのお話はねぇ…他のお話で長引いちゃったけれど、私達のはたいして面白くもないわよ?

一方は国王様に見初められて召し上げられ、もう一方は国同士の協力に手を貸しました。

おしまい。

…じゃあ納得しない顔ね、あはは、感情が顔に出やすくって面白わね。

シーちゃんでなくても、こんな面白いおもty…いや頼もしい人カワイイに決まってるわよ!


とは言っても本当に大したことは無くてね。

こちらに到着して、私とシーちゃんでリザちゃんを探して、会って、決別して…

リザちゃんの事は、先日もある程度は教えたし…やっぱり本人から直接聞くのがいい。

彼女の本当の葛藤は彼女だけしか分からないわ。



別れてから私とシーちゃんは、海を目指したの。

大した理由じゃないわ、この世界の良いところを目にしておきたかった、ただそれだけ。

私たちの育ったところは川も湖もあったけれど、内陸部に育つと海が見たくなるらしいわよ。

それに過酷な永久凍土なんて行く理由がない、私が耐えられそうにないもの。

優れた身体能力の多い工作員仲間たちのなかで、私なんて一番かよわい。


私たちの搭乗した突入ポッドはモスカウ郊外に隠して、街道を北西に向かってシーちゃんと旅した。

女の二人旅は危険じゃないかって?

あら、行く先々で殿方がエスコートしてくださいましたのよ。

人となりの観察とシーちゃんが先行して集めた情報があれば、事前に問題は回避できる自信はありますわ。

もちろん、場合によっては女の魅力も利用して、ね。



河沿い、湖沿いの道が楽しかったから次は港町かなって、サンクトペテルブルクっていう北の港町に行く途中にね。

偶然、ノヴゴロドっていう湖の綺麗な、交易で栄えている町に着いたの。

驚いたわ。

獣の様な柔らかな耳の人が、そこかしこに居るんだもの。

それが私達とライカンスロープ一族の初めての出会いだったわ。

彼らからエウロパ大陸ではこの辺ともう一つ、バルト海の向こうにもそんな地域があるって聞いて。

もしかして、と思ってシーちゃんと調べることにしたの。


急ぐ旅でもなし、ライカンスロープの人たちと仲良くして起源を聞いたら、ここノヴゴロドはもともとホルムガルドっていう名前の町で、フセスラフくんが一時定住していた町だと判った。

彼らはここに来ていた!

関係者だと教える確認が取れると、そこから先は怒涛の情報攻めだったわ…。


まず彼らから黒い髪の一族、ロマを紹介された。

そう、転生者や転移者が相互補助で寄り集まってできた一族の一つ。

もちろん転生者全員がロマと名乗っているわけじゃない、転生者以外にもインダス大陸…あなたの知るインドね、大陸の南東側から流れてきた人々が本来のロマ族だから、うまく隠れるために使ってるみたい。


ロマ族にはとある手紙や包みが、代々大切に保管されていたわ。

私たち後続の工作員のために、フセスくんが遺してくれたもの。

そして当時のロマ族が、経緯を記してくれた資料もあった

残念ながら宝飾品や彫刻などは流失したものも多かったけれど、手紙は幸い残っていた。



手紙には、後でナージャちゃんが語ってくれた当時の状況をフセスくんなりの言葉で綴ってあった。

ただ彼はナージャちゃんの仮死後、ひたすらに軍隊を南進させてニーノシュクを拡大させた。

理由は、ドラクルを探し出して抹殺する事。

足を悪くしていたから自分で探しに出ることも適わないし、かといって当時既にニーノシュク王国の戦力は彼の戦略に頼りっきりで抜けることもできない。

だから陸戦が苦手でも何でも、とにかく自分の目的優先で目指したみたい。


ライカンスロープの人たちの補足では、この南進でニーノシュク勢力は急速に拡大したけれど、彼の死後は維持できずニーノシュク国自体がうんと縮小せざるを得なかったって。

だから当時既にストックホルムはスヴェリエ、スウェーデンね、別の王国の首都になっていたし、ルスカーヤ近傍諸国にはノルウェーの血や親ライカンスロープ・反ライカンスロープの国家が点在しているの。

このおかげと言っていいのかしら、ドラクルが解凍されてうろうろしているのを見つけたのは、その近隣にある親ライカンスロープ国家だったわ。


この話を聞いて、手紙を読んで、私は決心がついた。

私はスカンジナヴィアへ行こう、と。

シーちゃんはシーちゃんで考えがまとまったみたいで

「俺はこれから、皆に会いに行く。

 会って、話がしたい。

 実は地図を持っててね、突入ポッドと石板の位置は判るんだ。

 ドラクルやグリゴリはいらないけど、アベルが来るまでに皆の気持ちを聞いておきたい。

それに、俺は定住なんて向いてないよ。ふらふら生きるのが一番さ」

あの子は、本当にカッコつけなんだから…

シーちゃんはこの後しばらく一緒に居てくれたけど、やがて旅に出ちゃった。


ライカンスロープやロマ族とも知り合っておいた方がいいから、ケインさんも彼ら一族に会っておくといいわ。

そのためにノヴゴロドをお勧めしたの。

もちろん、観光地としても良いところだし、のんびりしていくといいわ。

あとで紹介状を書いてあげるし、ロマの子もボーフスに出入りてるから、そちらにも話を通しておいてあげる。



なかなか終わらないものねぇ。

私達のお話はあと少しだけ、その後ケインさんがどうするのかちょっと相談しましょうか。

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