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War Ensemble/ウォー・アンサンブル ~戦争合奏曲  作者: 改案堂
第三章 Diabolous in Musica/音楽に潜む悪魔
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107 tr07, who dares/誰がやるのか

来たわよ!お話しましょ。

ケインさん、おしゃべりだといい男に見えてきたわ。

え、褒めても何も出ない?つれないわねぇ。



まあいいわ。私達が到着してからのお話。

1940年代はね、4台の突入ポッドが到着したわ。

私とシーちゃんの乗る2号機。

アジンとグリゴリの乗る4号機。

シャスちゃんとシスくんの乗る6号機。

それからリザちゃんとメドベージェフの乗る7号機ね。


このうち6号機は一番遅くて1949年にようやく来たの。

だけど付いた途端、皆の石板に『あばよ、探すんじゃねえぞ』と通信が入って唖然としたわ…

事実、皆には知らせないで好きなところへ行ったみたい。

でも、元々そんなに皆と仲良くしたいタイプじゃなかったし、私とシーちゃんは納得できたわ。

後でこっそり連絡は取れたけど、相変わらず二人は仲良くしてるわ。

ああ、施設時代からその二人は仲良しで、ずっと一緒に居たの。

フセスくんとナージャちゃんとは違う形だけど、あれも愛情ね。


実は、シーちゃんだけ世界の地図を持っている。

私たち全員の突入ポッドの到着地点・到着年月日や全世界の形状図をリアルタイムで反映するの。

他の子達には内緒にしてたけど、きっと世界情勢を任された彼女だからこそ持たされたんでしょうね。

だから、今現状で誰が何処に居るのか彼女は把握して…って、え?

ブリャチスラヴィチ家で見たの??

そっか、シーちゃんそろそろ皆に荷物預け始めちゃったのね…。


え、シーちゃんは女の子なのかって?

うーん、私から言っていいのかしら…本人に会ったら必ず本人から聞いて。

あの子は、両性具有よ。男の子でも、女の子でもある。両方。

本人はどっちでもないって言い張るわ。

だけどね、施設時代にすごく辛いことがあって、彼女自身は性的なこと凄く嫌がってるの。

それもあって、デリケートな問題だから本人にはあまり言わないでね。

私の一番大切な人だから、地図のこと以上に慎重に接してあげてほしい。

その点、ケインさんは信頼されてる様だから大丈夫だと思うけれど。



それで私たちの到着のお話ね。

正直なところ…ちょっと、後ろめたいの。

リザちゃんを犠牲にしてしまったから。

少しだけ遠回りするわね。そのうえで、確かなことは本人に聞いてほしいわ。



リザちゃんとメドベージェフの乗る突入ポッド7号機が魔法世界に到着したのは、こちらの西暦で1942年。

この年代の中では一番早かったわ。

最初は彼女も自由に活動する気満々だったの、着いて早々メドベージェフを巻いて逃げた。

あ、メドベージェフっていうのは工作員の一人で、フセスくん以上に獣人化が進んでる子ね。

今見ると、多分人面羆?に見えると思うわ。


けれどメドベージェフから逃げて半年ほどで、リザちゃんは音を上げてしまった。

あいつリザちゃんの姿が見えないと大暴れして、手が付けられなくなるんですって。


最初は知らんぷりを決め込んで東の方、私たちの本当の故郷でもあるサリシャガンをのんびり目指したそうよ。

けれど、メドベージェフの大暴れする情報の方が移動より速かった。

寝食を忘れたかのような絶え間ない戦闘…とも言えないわね、彼による一方的な近隣村落の蹂躙を聞いて、仕方なくリザはメドベージェフを引取りに戻った。

リザちゃんがメドベージェフを発見した頃には近隣地域の住民は全滅、数万ともいわれる相当数の犠牲者を出していた。

主に、非戦闘員から。


彼はもともとヴォルケインさんの予備として戦闘訓練を積んでいたから、基礎的な戦闘力はあるの。

けれど脱走騒ぎの懲罰的実験で、人格を崩壊させられてしまった。

前に言ったかしら、転生した人間へ更に割り込み転生…私たちの人格イニシエーション…を施すと、多重人格になったり主人格の行動がおかしくなる、人格崩壊が起こりやすいの。

彼は隠していたけれど転生者で、人格崩壊した。

行動の制御が効かないのに放置されたら暴れる。

少し考えればわかりそうだけれど、そうは言っても起こしてしまった結果は放置した者の責任ってリザちゃんは考えたみたい。


大急ぎでメドベージェフを引き取りに行き、彼女の得意な暗示でメドベージェフを抑え、地域の救世主として知られるようになってしまった。

メドベージェフ自身も元々はアベルの言うことだけ聞くよう設定されていたけれど、この暗示でリザちゃんの言うこともある程度理解できるみたいね。



私とシーちゃんの搭乗した突入ポッドは、彼女らより3年遅れて1945年。

その頃にはもうリザちゃんはロマノフ王朝の中枢に食い込んでいた。

つまり、もう手遅れだったの。


「私は大丈夫。あなた達は己が成すことを為さい」って、それ以上は取り合ってくれなかった。

石板でも「話せるようになったら、打ち明ける。今はまだその時じゃない」って。

当時はナージャちゃんもいなかったし、ドラクルやグリゴリ管理の負担も大きかったから、私たちは近寄ることができなかった。

シーちゃんの直接接触だけが頼りだったけれど、やっぱり「向こうの事はリザに任せよう」の一点張りだったし。


もちろん私やシーちゃんも何もしないわけにはいかないから、ロマノフと近隣の国家に手を付けたわ。

私は上手くスウェーデン王国に取り入れたし、シーちゃんなんて三重帝国作っちゃったからね!

それぞれで私たちはバランスを取れるよう、国というシステムに働きかけたと言えるわ。



ああ、そんな大層なことはしてないのよ!

ちょっと不凍港が欲しいとか、通商でバルト海に出たいわねとか、そんな要望とも言えないつぶやきで旦那たちが動くの、制御と言っていいなら私達三人で世界情勢を制御しているわ。

世界と云っても、このエウロパ大陸に限るけれどね。


けれど、結局実際に世界を動かすのは表舞台の人々。

この世界の、この国の人に歴史を紡ぐのは彼らよ。

私たちは只の徒花、見えないところで佇むのが私たちの願い。


…あらやだ、また終わらなかったわね。

でもケインさんともっとお話ししたいもの、何度でも来るわね♡


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