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War Ensemble/ウォー・アンサンブル ~戦争合奏曲  作者: 改案堂
第三章 Diabolous in Musica/音楽に潜む悪魔
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105 tr05, between the lines/真意を汲み取る

まず私達工作員の生まれ育った社会主義国家のある世界、転移の直前では西暦2122年だったわ。

第二次大戦はドイツ第三帝国、イタリア王国、大日本帝国の勝利で幕を閉じていた。

ソヴィエト連邦も勝利したと云え、世界の大半をこの四国で割譲し、社会主義国家もたくさん発足していたわ。

ただ、社会主義と云っても内情はひどくて、身分制度は実質的により格差の広がる構造になっていたの。

事実上の奴隷身分の人たちなんて、どれだけ命を奪われても気にされることすらなかった…



全体的な文明は資本主義より少し先行する程度だったけど、分野によって…特に兵器開発に係る重工業・物理とか、人間の整理をよく知っているから生物工学・医学は進んでいたといえるわね。


私達工作員はちょっと特殊で、実は遺伝子操作されて作られた人間なの。

私、キレイでしょ?

自惚れではなくて、そう造られたからなの。

こう見えてももう100歳超えてるんだから。

シーちゃん…シティアや、他の工作員も100歳超えているし、たぶん寿命までまだ猶予はあるはず。


寿命だけじゃなくって、皆それぞれ特徴的な遺伝形質を持っているのよ。

ルーちゃんはライカンスロープって呼ばれてる、お耳のかわいい子だったわね。

それに、やたら背の高い巨人族と云われてる人たちも。

彼らは皆、持ち込まれた遺伝形質よ。

工作員は全部で14人いるんだけれど、これはまた後で教えてあげる。

今後の話にもつながるから。


その造られた私たちは、社会主義国家…SSSR(ソビエト社会主義共和国連邦、Union of Soviet Socialist Republics=USSR、Soyuz Sovietskikh Sotsialisticheskikh Respublik)で生まれ育ったわ。

一番最初にヴォルケインさん、次の年にアベル、その次には番号付きで03~14までの12グループに分かれてた。

ヴォルケインさんとアベルはオリジナル1名だけだけれど、その後番号付きはずいぶんたくさん作られていたわ。

身体の弱い子やデザインされた能力の内基準に満たない子達は、どんどん淘汰されていった。


今考えても、淘汰の過程私たち相当にひどい扱いを受けていたと思う。

衣食住は満たされていたし、基本的には勉強していればよかったら生活は満たされていたのよ?

けれどまだ成人に満たないような子に麻薬を与えたり、性行為を推奨したり、時には人肉まで与えられたわ…しかも、仲が良かった人たちの。

あれ自体は所長の趣味でしょうから憎むべきは所長なんでしょうが、一番許せなかったのは人命が恐ろしく軽かったこと。

私たち訓練生は落ちこぼれた子達は『予備』と称して軟禁状態で生活していたし、働く側の職員も、どんどん居なくなってた。

何より国民の大半を占めるはずの農奴と呼ばれる人たちは、訓練と称してたくさん殺させたり、火を点けて遊ぶ者や進んで食べる者、アベルに至っては小さい子までわざわざマンハントして切り刻んで喜んでた…

当時だって嫌な気持になっていたけれど、外の世界を知れば知るほど異常な世界だ、って確信したわ。



14人の中であの世界に反感を持っているのは、四姉妹って自称している私含め同期の4人。

この4人は社会主義世界へ魔石を送らず、最終的に計画を頓挫させる反抗を試みてるわ。

シーちゃんと私、リザ…エリザヴェータ、ナージャちゃん…ナージャシュディね。


一方で計画に忠実たれというのはアベルとその部下、4人。

フセスラフくんと仲の悪かったドラクルや付け火で喜ぶグリゴリ、さっき出た転移の検証で多重人格になったアジンちゃん、転生者への転移検証で人格崩壊したメドベージェフくん。

やっかいなのはアベルで、私たちの生まれ育った施設の所長だったマリアベルという女性がいて、その人格を転移されているのよ。

元々の遺伝子もマリアベルを基にして帯電体質などの性質もあるから、対峙するなら準備が必要かもしれない。


スタンスが不明なのはシャスチちゃんとシスナタッチくんだけど、彼女らは消息不明だからなんとも。

フセスくんがなくなってるのは知ってるわね。

それからオズベヤーナっているおサルみたいな男の子は、もう亡くなってる。


それぞれ特異な特徴を持っているけれど、ケインさんはいづれ推進派と反対派の争いに巻き込まれるはず。

どんなスタンスで私達や彼らと向き合うか、しっかり考えておくといいわ



これから各地を回って世界を旅するんでしょう?

彼らの居る地域に行ったり、ゆかりの地を訪れるといいわよ。


ここボーフスもそうだし、あとはここから東にあるノヴゴロド、昔はホルムガルドって地名だったところと、サンクトペテルブルク、モスカウ、ツングースカまで抜けちゃえば、陸路でニッポン?まで行けるわよ。

ちょっと寒い地域だけど、そこの狼ちゃん達にはちょうどいいんじゃないかしら。

帰りはそのまま戻ってもいいし、ぐるーっと南側を海路で渡るのも楽しいわね。

海路は通商のルートでもあるから、向こうで珍重がられそうなものを持っていけば、船賃の足しになるかもしれないわよ。


このルートもね、私たちがこの世界に来てからの出来事に関連するから、それも説明しましょうか。

今日はもう遅いから、また時間の取れる時にこの部屋へ来るわね。

期待…してもいいわよ♡

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