エアポンプとの出会い
自分の小説、ワンダーワールドに登場するキャラクターを膨体させてみた小説です!本編の子達とはあくまで
別人のパラレルワールド設定である事をご了承下さいm(_ _)m
科学が発展したとある町、テクニカルシティ。
ここにはある一人の摩訶不思議な女の子が住んでいた。
白く長い後ろ髪に短いツインテール、赤いつり目に紫の服。
ドクロマークの髪飾りにリボンをつけた端正な顔立ちの女の子だ。
彼女の名は見かけ通り、「ドクロ」。
人間のような姿をしているが、実際は違う。彼女はこう見えて、死神なのだ。
では、人の魂を狩り取ったりするのではと思いきや、そうでもない。いつも適当にブラブラして、適当に暮らしてる。
この日も、テクニカルシティの町並みを横目に、穏やかな足取りで歩いていた。
普段は仲間達と交流している事が多い彼女だが、こんな風に一人散歩も悪くない。
「はあ、今日も日差しが強いわね」
髪を撫でながら、ドクロは空を見る。
暑い日だった。他の仲間たちは暑さの中でも元気に動き回るが、ドクロは特に美容に気を使う。
こういう日は肌が気になって仕方ない。少しでも日差しを避ける為、ドクロは近くにあった路地裏へと駆け込んだ。
静かな路地裏だ。賑やかだった雰囲気が、風一つない奇妙な雰囲気に一転する。
まあ、こんな雰囲気は何て事ない。ドクロはこう見えて武道を学んでおり、死神特有の強力な魔力も備えてる。
これまでも多くの敵と戦ってきた。ちょっと不気味な雰囲気は何て事はない。
…が、この日は違った。
「っ!?」
ドクロは振り向く。気配を感じたのだ。
が、それは速かった。振り向いた頃にはもう遅く、ドクロはその何かに衝突されてしまう。
「きゃ!?」
高い声をあげながら、ドクロはうつ伏せに倒れる。
「ち、ちょっと!何よ…えっ!」
ドクロは、突き飛ばしてきた何者かに文句を言う前に、自分の体の異変に気がついた。
何と、体が微妙に膨らんでいたのだ。
体全体が小さく張りだしている。まるで、膨らみ始めたばかりの風船のように。
「ええ!?ええ!?何!?何よ!?何!?」
何が起きてるのか分からず、ドクロはバタバタと慌てふためく。
更に驚く事が起きた。
「ええー!?」
ドクロの体が、更に膨らんだのだ。
どんどん大きく膨らんでいき、最終的に球体型の体になってしまった。
それに伴い、手足も先程よりも短くなる。
太った…という感じの外見ではない。正に風船のように、体が真ん丸に張っているのだ。
「ちょ、ちょっと!!誰よ!許さないわよ!」
一気に怒りが噴き出すドクロ。周りを見渡そうとするが、この膨らんだ体ではどうも上手く動けない。
「ひひひ、真ん丸で可愛いねえ」
甲高い声が聞こえてきた。
顔をしかめながら見上げると、そこにはおかしな物が浮いていた。
その姿はまるで手押し式空気ポンプ。風船を膨らませる時によく使うアレだ。
その空気ポンプに、何とも迫力のない顔がついたヘンテコな生命体。
死神であるドクロはこういう生物は割と見慣れてる。
この世界は不思議だ。我々人間が知らないだけで、こういう生物は世界にはありふれてる。
…しかし、ドクロが置かれているこの状況は珍しかった。
いや…というかこんな事例も過去には見当たらない。体が風船のように膨らむなど…。
ドクロは拳を握りながらその生命体に怒鳴りつける。
「あ、あんたの仕業ね!元に戻してよ!」
「あんたじゃ呼びにくいだろ?オイラの名は『ポンプ』!」
「そのまますぎでしょ!」
ドクロはポンプを一発殴りつけようとした。…が、こんな短い手では全く届かない。
ヨチヨチと手を動かすドクロ。今自分がどんな姿なのかを思い出し、顔を赤らめる。
ポンプはニヤニヤしながらドクロに言う。
「これは良い風船娘だ。オイラはこのように相手を膨らませる事ができる。膨らんだ者は真ん丸な体に手足もチョコンと短くなり、まるでマスコットキャラクターのようになる。特に女の子は格別だ!」
「愉快犯かい!」
顔を真っ赤にしながら怒鳴るドクロ。
「とにかく元に戻してよ!」
「まぁまぁ落ち着きなよ。君みたいな可愛い子が膨らむのを見るのは楽しいからね。これからしばらくお世話になるよ」
ドクロは怒りと恥ずかしさに顔を真っ赤にしながら、悲鳴をあげるのだった…。