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異世界行ったら……  作者: 片馳 琉花
第2章 王立騎士団 編
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38.闇の加護

「わ、なんか文字が出た」

「これで登録は完了。そこに文字が出ている通り期間限定の手形だから定期的に再登録しないとダメだけどな」

「へぇ。あれ、そういえば騎士団の人達は宝珠で登録してるとして、エレンみたいに騎士団の所属じゃない人はどうしてるんですか?」


エレンの方を見ると、エレンは首から革紐でぶら下げたネックレスを外して僕に見せた。


「宝珠の欠片を通行証に出来るのは騎士団だけだから、それ以外の人はこの通行用魔石で登録してるよ」

「そうなんだ」


僕が思わずエレンのそのネックレスをじっくり見ようとその水晶のような魔石を手に取ると、バッ!とそのネックレスを取り上げられる。


あ、人の物触るのに許可を得ないとダメだったか……


「エレン、勝手に触ってごめん。それちょっと見せ……」

「手は?!」

「え?」

「手は火傷してないか?!」


必死の形相で僕の手を調べ始めたエレンを見て、僕のやった失敗に気がついた。


あー……魔石触ったからか……


宝珠と生活魔石は輝きが違うので、少しくすんだ魔石に対しては警戒心が薄れていた。

通行用魔石もその部類で、あまり輝いていなかったので思わず触ってしまったけどよく考えたら今まで触ったことない石だから警戒しないといけなかったんだよなー……


ただ……


手のひらを見つめてみても火傷のあとや痛みは全くない。


「んー、触っても大丈夫みたい」

「よかった……」


エレンは安堵の表情をうかべる。


「不用意に魔石を触らないでくれ。見ているこっちがハラハラするよ」

「ごめん。てか、通行用ってことはこの魔石はここを通る人全員持ってるんですか?」

「いや、この通行用魔石は仕事柄検問を超える必要がある人だけだ。他の人はもし検問所を抜けるなら、もっと色々手続きをしないと検問所(ここ)からは出られない」

「私は薬草を採取しに森に出たりするからね。東の森はまだ王都内の森だから検問はないけど、守護の森に出るなら検問所(ここ)を通らないと出られないし」

「へぇー」


……あれ?なら僕もこれから王都出る機会増えるなら期間限定の臨時通行手形よりもそっちの通行用魔石の方がいいんじゃないか?

そう思って提案してみる。


「あ、確かに」

「通行用魔石を作る時に微量に光珠の魔力を流して精製するから、魔法アレルギーのシノブは通行用魔石これには触れないと勝手に思い込んでいたな。この魔石は生活魔石に分類されるのか」

「臨時通行手形だとずっとは使えないんでしょ?ならそっちの方が楽だよね?」


そう返してふと思い出す。


……鎧の魔石にも魔力流したよな?

これは使えないのかな?


「ケインさん、闇の魔石(これ)は登録できない?」

「それは……闇の鎧の魔石か……?うーん、今まで登録したことのない魔石だからな……一応試してみるか」


先程と同じように、鎧の魔石ごと目の前の水晶玉に触れる。


するとじわじわと水晶玉に鎧の魔石を通して魔力が流れ込み、先程と同じように文字が浮び上がる。

ただし、浮かんだ文字は違うものだった。


名前:シノブ

所属:闇を司る者

加護:闇の加護


「え、なにこれ?!」

「『闇を司る者』……そうか、鎧の魔石は黒珠の欠片だったのか」

「黒珠?それって……」


驚く僕とケインさん、そしてケインさんの言葉に反応するエレン。


「あぁ、恐らく黒の大陸の宝珠の欠片だろうな。だからこそ近づけるのか、あの大陸に……」


深刻な顔で話し始めたケインさんとエレンだったけど、()()()()には突っ込まない。なに、この闇の加護って。何この闇騎士(ダークナイト)っぽい単語……

二人とも突っ込んでくれないので自分で突っ込むことにした。


「てか、なんなんですか?()()()()って……これじゃますます僕、闇騎士(ダークナイト)って呼ばれ……」

「え!」

「なっ……!」

「へ?!」


僕のツッコミに対して二人とも突然声を上げる。

え、もしかして言いたかった?


「加護?加護がついているのか?」

「……」


慌てふためく珍しいケインさんと、押し黙るエレン。

あれ?なんかマズかった?


「え……と。いや、だってそこに書いてあるでしょ『闇の加護』って」

「それは……俺達には見えない」

「え?」


──加護は、ワタリビトにしかつかぬし、その水晶玉を通しても他のものには見る事は出来ぬ。


え!?そうなの?!


「ケインさん、『加護』はワタリビトにしかつかないって鎧の魔石が言ってるんですけど……」

「あぁ、やはりか。昔聞いた話でそんなことを耳にしたことがある。シノブ、加護の件は吹聴するなよ」

「わかりまし……た……」


そこでふと、黙ったままのエレンと目が合った。


あ、エレンいたんだった……

どう誤魔化そう、いやここはもう説明を……


と冷や汗を流しているとエレンが、ふ、と寂しそうに微笑んだ。


「……知ってたよ。シノブがワタリビトなのは」

「え?」

「あの日、一度広間から出たあと再び広間に戻ったんだ。そこで聞いてしまった。シノブとケインが広間で話しているところを」




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