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異世界行ったら……  作者: 片馳 琉花
第2章 王立騎士団 編
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21.広まる闇騎士(ダークナイト)の輪

闇騎士(ダークナイト)の愛馬は漆黒の馬なんだよ」

「あ、じゃあさ!愛剣はこの世のどこかにあると言われている、鎧と対の剣の闇の剣とかどう?!」

「いやそれ聞いたことねぇよー」

「なら、闇騎士(ダークナイト)の正体を知った者は闇に葬られる、とか」

「お、それいいなー」


……はい。

食堂は今、『俺の考えた闇騎士(ダークナイト)発表会』の場と化しています。

みんな心に厨二病抱えていたらしくて、闇騎士(ダークナイト)発言をキッカケに一人二人と思いつくまま心の中の厨二を発言して言って、今では食堂全ての騎士を巻き込んで大盛り上がりを見せています。

その様子を、既に厨二病卒業した僕は少し離れて見守っているところであります。


「お、シノブ。もう起きて大丈夫なのか?」


生温い目で、食堂の騎士たちを見守っていた僕の後ろからケイレブが声をかけた。


「あ、ケイレブおかえり。うん、さっき起きた。なんか急に寝ちゃったみたいだけど特に異常はないよ」

「騎士たちに何か言われたりしてないか?」


ちょっと目を逸らしながら問うケイレブに、「あぁ、やっぱり」と思う。

魔法アレルギーで色んなところに迷惑かけちゃってるから他の団員にお荷物だと思われてるのかなぁ……

しばらく訓練場には顔を出さないで、騎士団の迷惑にならないようにしよう……

とりあえず他の人から直接なにか言われたわけじゃないから


「うん、特には何も言われてないよ」


と言っておく。


「ならいいんだ。ところで……」


ケイレブは異様な盛り上がりを見せる食堂の一角を指差し、


「あいつらなんであんなに盛りあがってんの?」


と聞いてきた。


「あー、あれね。闇騎士(ダークナイト)についてみんなで盛り上がってる」

闇騎士(ダークナイト)?」

「あ、そっか。ケイレブ言ってもわからないよね。なんかさっき闇の鎧の適合者は闇騎士(ダークナイト)って呼ぼう!ってみんなで盛り上がっちゃって、そこから色々キャラ付け大会が始まって、最終的に『闇騎士(ダークナイト)の正体は異国の王子。漆黒の馬に跨り伝説の闇の剣を携えて世界を救う旅に出る。しかし、その正体を知った者は、闇の鎧の餌となり、生き延びたものは居ない……』ってことになってる」

「……なんだそれ」


ケイレブは厨二病に罹っていないらしく、その設定を聞いてポカンとしていた。


「生き延びたものはいないって、異国の王子ってバレてるじゃん」

「いや、そう言う設定だから」

「はー、よくわかんね。てかもしシノブがその闇騎士(ダークナイト)とやらだったらどうする?」


ケイレブは闇騎士(ダークナイト)の設定に興味がなさそうで、盛り上がっているみんなを冷めた目で見たあと、僕にそんな質問をしてきた。

もし僕が闇騎士(ダークナイト)だったら……?

そんなの決まってる。


「もし僕が闇騎士(ダークナイト)だったら……恥ずかしすぎて全力で正体隠す!!正体バレるくらいなら逃げる!」

「な……なるほど。そっか、逃げるか……」


僕の謎の気合いに気圧され、ケイレブは何故か考え込んでいた。


「あ、そうだシノブ。アレックス騎士団長がお前に会いたがってたから近いうち面会するぞ」

「騎士団長?!」

「魔法アレルギーの件もあるし、まぁ他にもいろいろな」

「そっか……僕も王立騎士団(ここ)でお世話になってるから挨拶したかったんだ。……騎士団長ってどんな人?」


騎士団長と言うからには王立騎士団(ここ)を纏めあげる屈強な強面の威厳のある人だろうと想像する。


「騎士団長なぁ……うーん、バリー副団長と同じくらいの筋肉好き?」

「筋肉?」

「あと家族思いでー、親バカでー、猫が好き」

「待って待って、情報量が多すぎた」


聞けば聞くほどよく分からなくなりそうなので、情報はシャットアウトすることにした。

うん、実際会ってみないとわからないよな、うん。


「多分明日あたりにもう面会時間作ると思うけどな。ま、俺と一緒に行動してりゃ声かかった時すぐ行けるだろ」

「わかった」

「あ、明日の朝の訓練シノブどうする?明日も一緒に行くか?」

「あー、明日は……いいや、部屋で待ってる」


今朝迷惑かけたばかりで明日は行けそうにないから部屋でラジオ体操することにしよう。ラジオ体操なら部屋でも出来るしな。


「おっけー。んじゃ明日訓練から戻ったら声かけるから部屋から出るなよ?」

「うん、出ない」

「……絶対だからな?」

「……はい」


うわ、僕の信用が落ちまくってる……

まぁ薬持ち歩けと言われて置いてったり、待ってろと言われて出歩いたりと前科があるからな……

明日はちゃんと部屋で大人しくしてるよ!


……その日の夜。

僕が寝間着へと着替えている時、脱いだ服の間からコツンと何かが落ちた。

足元を見てみると、それは夕方広間で拾った黒曜石みたいな石だった。


あ、拾ってそのままポケットの中に落ちたのかな?


何気なくヒョイとその石をつまみ上げると、また僕の意識がスっと落ちていき、床の上に倒れ込んだ。





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