7.絵本のおはなし
次の日から僕はケイレブについて回ることになった。
と言っても王宮の中を案内してもらって、入っちゃいけない場所とか聞いているうちに午前中は終わった。
……王宮、広いよ……
午後は事務作業だと言うので僕に手伝えるか不安に思っていたら、ここ使って、と言われた机の上にドサドサと十数冊の本が積み上げられた。
色々な種類の本があるのか、絵本に始まり専門書のような装丁の本もある。
「シノブ、この辺の地理とか歴史よく分からないでしょ?この時間はちょっと勉強しよっか」
地理……歴史……
あ、それなら楽しんで覚えられそう。ちょっと興味あるし。
あまり難しいのはハードルが高かったので、まずは絵本を手に取ってみる。
【せいじょとかみさま】
あるところに、かみさまがいました。
かみさまはひとりぼっちでした。
かみさまはひとびとのすぐそばにいましたが、だれひとりかみさまにきづきません。
あるひ、ひとりのしょうじょがかみさまのもとをおとずれました。
かみさまのこえが、しょうじょにとどいたのです。
かみさまとしょうじょは、まいにちおはなしをしました。
つぎのひも。そのつぎのひも。
かみさまはしあわせでした。
しかし、そのしあわせはながくはつづきませんでした。
しょうじょが、てんにめされたのです。
そこにかみさまはいません。
しょうじょにあえなくなったかみさまは、まいにちかなしみました。
つぎのひも。そのつぎのひも。
そのすがたをてんからみたしょうじょは、たましいとなってかみさまのもとをおとずれました。
「いつかまた、あいにきます」
ふたたびてんにめされたしょうじょのたましいをみおくりながら、かみさまはしょうじょがまたあいにくるのをいまでもずっとまっているのです。
【みことかみさま】
ある日、気まぐれな神様は聖女様の護石を持った神子と一緒に旅に出ました。
二人は行く先々の街でたくさんの人々を救いました。
ある時、訪れた街で大きな瘴気の疫病が流行りました。
二人はいつも通り人々を救って回りましたが、いつの間にか二人の姿が見えません。
それから二人の姿を見たものはいなくなりました。
ただ、不思議なことにそれ以来、瘴気が出ると聖女様の護石の力を持った石が現れるようになりました。
人々は神子様の奇跡としてその石を大切に大切に扱いました。
すると、石の力はどんどん強くなりたくさんの人を救いました。
反対に、粗末に扱うとその者には天罰が降りました。
人々は、その石を宝珠と名付け今でも大切にしているのです。
……へぇ、聖女様とか神子様とか神様とかそういうのもいる世界か。
宝珠ってあれかな、僕が持ったら火傷したあの石?
こんな逸話があるのかー。
じゃあ次は……
僕が読書に夢中になっていると、ケイレブに肩を叩かれた。
「ちょっと今いいかな?」
「あ、はい」
本に伸ばした手を引っ込め、部屋の外へ出ていくケイレブの後を追う。
「シノブ、魔法アレルギーあるだろ?王宮にいる間はそんな怪我することもないと思うけど、念の為回復薬は持ち歩いた方がいいと思って」
「あ、ありがとうございます」
「んで、今この国一番の腕前の薬師様が手が空いたから薬作ってくれるってさ」
「え、一番?!」
そんなすごい人じゃなくても……
遠慮しようと、手を振ろうとしたらその手を止められる。
「あー、なんか魔法アレルギーに興味があるから直に診たいんだって。もしかしたら体調に合わせた薬も作れるから、ってさ」
「そんなすごい人……時間取らせていいんですか?」
「うーん、シノブに対して興味津々になっちゃったから、逆にどこに行ってもついてこられるかも。そっちの方が面倒臭……大変だから今日ちゃっちゃと挨拶して薬作ってもらっちゃおう!」
今、めんどくさいって言おうとした……
変な人じゃなきゃいいなぁ……
通された部屋は、さっき『一人で入っちゃ行けない場所』と説明を受けたエリアの中にある立派な部屋だった。
その中に……
窓から差し込む陽の光を受けてキラキラと反射する見事な銀髪を携えた、彫りの深い男の人が窓辺に立っていた。
……絵画かな?
「テセウス様、お待たせ致しました」
「あぁありがとう。わざわざ来てもらって悪いね」
「いえ……」
部屋の中には本物のメイドさんがいて、お茶を用意してくれていた。
うわ、本物初めて見た!すごい!
「じゃあそこにかけてくれる?」
お茶を用意してくれた机は社長室にあるようなすごい立派な応接セットだった。
高そう……
そっとソファに腰掛けると、程よいスプリングが効いていて座り心地も素晴らしかった。
「初めましてシノブくん。バリーからさっき話を聞いてどうしても君に会ってみたくて。私はテセウス。よろしくね」
絵本、ひらがなばっかりで読みにくかったらすみません……
どうしてもひらがなのイメージだったので……m(_ _)m
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……あれ?!予約投稿した時より1000文字くらい減っている……
投稿失敗してたのかも……
消えた部分、思い出せるかな……Σ(´ロ`)
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続きに書き足そうかとも思ったんですが、かなり時間が経ってしまっていたので今回のお話はこのままにします。
訳の分からないところで終わっていて申し訳ありません……